GLM-4.5:中国発オープンソースAIモデルの実力とスライド作成機能を徹底検証 - 生成AIビジネス活用研究所

GLM-4.5:中国発オープンソースAIモデルの実力とスライド作成機能を徹底検証

GLM-4.5:中国発オープンソースAIモデルの実力とスライド作成機能を徹底検証

中国のAI開発企業Zhipu AI(現Z.ai)が開発した大規模言語モデル「GLM-4.5」が、AI業界で大きな注目を集めています。このモデルは、オープンソースでありながら、OpenAI GPT-4やxAI Grok 4に次ぐ世界第3位の性能を誇り、特にエージェントタスクやコーディング分野で優れた結果を示しています。

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GLM-4.5の最大の特徴は、Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用していることです。これにより、パラメータ効率と性能のバランスを最適化し、競合モデルと比較して少ないパラメータ数で高い性能を実現しています。

GLM-4.5の技術仕様と性能

モデルの基本仕様

GLM-4.5は2つのバリエーションで提供されています:

  • GLM-4.5(標準版):355億パラメータ(32億活性)
  • GLM-4.5 Air(軽量版):106億パラメータ(12億活性)

特に注目すべきは、GLM-4.5 AirがQwen3の約半分のパラメータ数でありながら、多くのベンチマークで競合モデルを上回る性能を発揮していることです。これは、MoEアーキテクチャによる効率的な設計の成果と言えるでしょう。

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ベンチマーク性能の詳細

GLM-4.5は、Agentic Reasoning and Coding Benchmarkをはじめとする様々なベンチマークで優秀な成績を収めています:

評価項目GLM-4.5の順位主な競合との比較
総合性能世界第3位OpenAI O3、Grok 4に次ぐ
エージェントタスクClaude-4-Sonnetを上回るツール呼び出し成功率90.6%
コーディング性能Qwen3-Coderを上回るSWEベンチで優秀な結果
WebブラウジングClaude-4.5を明確に上回る実用的なタスクで高い精度

特に印象的なのは、パラメータ効率の観点から見た性能です。モデルサイズに対するSWEベンチの結果では、GLM-4.5は「量体効果」の非常に際立った位置にいることが示されています。つまり、大きなモデルサイズを必要とせずに、高い性能を実現している点が評価されています。

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エージェントタスクに最適化された設計

GLM-4.5の最大の強みは、エージェントタスクに特化した最適化が施されていることです。128Kのコンテキスト長とネイティブな関数呼び出し能力を提供し、複雑なタスクを段階的に処理できる設計となっています。

エージェントネイティブコアの特徴

GLM-4.5は「エージェントネイティブコア」と呼ばれる機能を搭載しており、以下のような複雑なタスクを効率的に実行できます:

  • マルチステップタスク処理:問題を段階的に分解して処理
  • 自動ツール選択:タスクに応じて最適なツールを自動選択
  • コンテキスト保持:長い対話や複雑な処理でも文脈を維持

これらの機能により、従来のAIモデルでは困難だった、人間のアシスタントのような複雑な業務支援が可能になっています。

実践的なスライド作成機能の検証

GLM-4.5で生成された「タディ・ポガチャル」についてのプレゼンテーションスライド画面。
GLM 45による自動生成スライド例タディポガチャル

GLM-4.5の実用性を確認するため、実際にスライド作成機能を試してみました。この機能は「モデルネイティブなPPT/ポスターエージェント」として提供されており、ユーザーは簡単なデザインから複雑なデザインまで要求でき、ドキュメントをアップロードすることも可能です。

スライド作成のワークフロー

実際の使用体験では、以下のような流れでスライドが作成されました:

    1. プランニング段階:Thinkingモデルでまず全体のプランを考案
GLM-4.5がWeb検索クエリを表示し、情報収集を進めている画面。
GLM 45の思考プロセスWeb検索による情報収集
  1. 情報収集段階:ウェブ検索機能を使用して関連情報を自動収集
  2. 画像収集段階:適切な画像を検索・選択して組み込み
  3. スライド生成段階:HTMLベースで視覚的に魅力的なスライドを作成
GLM-4.5の概要、開発元、パラメータ数、アーキテクチャ、特徴的な機能が網羅されたプレゼンテーションスライド。
Zaiで生成されたGLM 45概要スライドのプレビュー

作成されたスライドの品質は「結構レベルが高い」と評価できるものでした。HTMLベースでの出力により、編集も可能で、実用的なレベルに達していると感じました。

開発企業Zhipu AIの背景

GLM-4.5を開発したZhipu AI(現Z.ai)は、2019年に設立された中国のAI企業です。評価額は約30億ドルに達し、中国のAI業界において重要な位置を占めています。

同社は基盤モデル開発に集中する戦略を取っており、他の中国AI企業が医療AIへの転換や基盤モデル開発からの撤退を進める中、一貫してLLM開発に注力している点が特徴的です。この戦略により、GLMシリーズは4.5まで継続的に進化を遂げています。

オープンソースライセンスと商用利用

GLM-4.5はオープンウェイトモデルとして提供されており、商用利用も含むライセンスが適用されています。これにより、企業や個人開発者が制約なく利用できる環境が整っています。

モデルはHugging FaceとModelScopeの両方で利用可能で、開発者コミュニティからのアクセスも容易になっています。このオープンな姿勢は、中国のAI技術の国際的な普及と、グローバルなAI開発エコシステムへの貢献を意図していると考えられます。

実用性と今後の展望

GLM-4.5は、中国発のオープンソースAIモデルとして、非常に高い実用性を示しています。特に以下の用途において、その価値を発揮すると考えられます:

  • エージェントタスク:複雑な業務プロセスの自動化
  • コーディング支援:プログラム開発の効率化
  • コンテンツ作成:スライドや文書の自動生成
  • 情報収集・分析:ウェブ検索と情報整理の自動化

パラメータ効率の高さは、リソースが限られた環境での利用において大きなメリットとなります。特にGLM-4.5 Airは、16GBのGPUメモリで動作可能とされており、個人開発者や中小企業でも導入しやすい仕様となっています。

今後、中国のAI技術がグローバル市場でどのような影響を与えるかを占う上で、GLM-4.5の動向は重要な指標となるでしょう。オープンソースという戦略により、世界中の開発者コミュニティからのフィードバックを得ながら、さらなる改良が期待されます。

まとめ

GLM-4.5は、中国発のオープンソースAIモデルとして、以下の点で高く評価できます:

  • 優秀な性能:世界第3位の総合性能を誇り、特にエージェントタスクとコーディングで優秀
  • パラメータ効率:MoEアーキテクチャにより、少ないパラメータで高性能を実現
  • 実用的な機能:スライド作成をはじめとする実践的なツールを内蔵
  • オープンアクセス:商用利用可能なライセンスで幅広い利用が可能

GLM-4.5は、AI技術の民主化とオープンソース開発の重要性を示す好例と言えるでしょう。中国のAI技術力の向上と、グローバルなAI開発エコシステムへの貢献という両面で、今後の動向が注目されます。

📺 この記事の元となった動画です

よくある質問(FAQ)

Q1 GLM-4.5とは何ですか?

GLM-4.5は、中国のZ.ai社が開発したオープンソースのAIモデルです。OpenAIのGPT-4oやxAIのGrok 4に並ぶ性能を持ち、特にエージェントタスクやコーディングにおいて優れた能力を発揮します。Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、少ないパラメータ数で高い性能を実現している点が特徴です。

Q2 GLM-4.5の標準版と軽量版の違いは何ですか?

GLM-4.5には、標準版と軽量版の2つのバージョンがあります。標準版は355億パラメータ(32億活性)、軽量版(GLM-4.5 Air)は106億パラメータ(12億活性)です。軽量版はパラメータ数が少ないにもかかわらず、多くのベンチマークで競合モデルを上回る性能を発揮します。リソースが限られた環境でも利用しやすいのが特徴です。

Q3 GLM-4.5はどのようなタスクに適していますか?

GLM-4.5は、特にエージェントタスクに最適化されています。マルチステップタスク処理、自動ツール選択、コンテキスト保持などの機能を持ち、複雑な業務プロセスの自動化に役立ちます。また、コーディング支援、コンテンツ作成(スライドや文書の自動生成)、情報収集・分析など、幅広い用途で活用できます。

Q4 GLM-4.5のスライド作成機能はどのように使えますか?

GLM-4.5は、モデルネイティブなPPT/ポスターエージェントとしてスライド作成機能を提供しています。ユーザーは簡単なデザインから複雑なデザインまで要求でき、ドキュメントをアップロードすることも可能です。プランニング、情報収集、画像収集、スライド生成の各段階を経て、HTMLベースの編集可能なスライドが作成されます。

Q5 GLM-4.5は商用利用できますか?

はい、GLM-4.5はオープンウェイトモデルとして提供されており、商用利用を含むライセンスが適用されています。Hugging FaceとModelScopeの両方で利用可能で、企業や個人開発者が制約なく利用できます。


この記事の著者

池田朋弘のプロフィール写真

池田朋弘(監修)

Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。

株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。

著書:ChatGPT最強の仕事術』(4万部突破)、 『Perplexity 最強のAI検索術』、 『Mapify 最強のAI理解術

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