Qwen3-Thinking-2507登場|推論能力最強のAIモデルが無料で試せる!一部ベンチマークを超える性能とは? - 生成AIビジネス活用研究所

Qwen3-Thinking-2507登場|推論能力最強のAIモデルが無料で試せる!一部ベンチマークを超える性能とは?

Qwen3-Thinking-2507登場|推論能力最強のAIモデルが無料で試せる!一部ベンチマークを超える性能とは?

この記事はこんな方におすすめです!

  • AIの最新動向をキャッチアップしたい開発者・研究者
  • 論理的思考や数学的推論が得意なAIを探している方
  • オープンソースの高性能AIモデルを活用したい方
  • ChatGPTやClaude以外の選択肢を知りたい方

2025年7月にQwen3-2507シリーズがリリースされ、AI業界に大きな話題を呼んでいます。Qwen3-235B-A22BでKimi-K2を上回る性能を示し、続いてQwen3-Coder、Qwen3-MTと立て続けにリリース。そして今回登場したのがQwen3-Thinking-2507です。

これは単なるファインチューニングや指示追従の改良版ではありません。構造化された、ステップバイステップの推論能力に特化したモデルです。


Qwen3-Thinking-2507とは?|推論に特化した革新的AIモデル

Qwen3-Thinking-2507とは?|推論に特化した革新的AIモデル

主な特徴と革新性

Qwen3-Thinking-2507は推論能力を別次元に押し上げました。論理、数学、科学の問題、コーディングなど、実際にステップバイステップで考える必要がある分野で、単なる「それらしい答え」ではなく、真の思考プロセスを実行します。

注目ポイント:

  • ✅ 学術ベンチマークで優秀な成績
  • ✅ 指示の正確な理解と実行
  • ✅ ツールの効果的な活用
  • ✅ 人間の好みにより良く整合したテキスト生成
  • ✅ 最大256Kトークンの長いコンテキストをネイティブサポート

💡 実用例: 書籍一冊分の内容を丸ごと読み込ませても、処理能力が落ちることがありません!

思考モード専用設計

このモデルは純粋に「思考」タスクのために設計されており、思考モードのみで動作します。

内部的に計画マーカー(<think>など)を含む構造になっており、明示的に追加しなくても自動的に思考プロセスが組み込まれます。出力が</think>で終わっている場合、それは設計通りの動作です。カジュアルなチャットではなく、バックグラウンドで思考している証拠なのです。

質問者

「思考モード」って言われても、普通のAIとどう違うんですか?何か特別なことをしているんでしょうか? 

回答者

Qwen3-Thinking-2507は複雑な問題に対して、ステップバイステップで段階的に考えてから回答を提供するモード専用に設計されています。普通のAIが「質問→即座に回答」なのに対し、思考モードでは「質問→内部で段階的に推論→回答」という流れになります。例えば数学の問題なら、内部に<think>…</think>タグで思考プロセスを表現し、問題を複数のステップに分解して一歩ずつ解決していく過程が見えるんです。


技術仕様|MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャの詳細

技術仕様|MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャの詳細

基本スペック

項目詳細
総パラメータ数2,350億個
アクティブパラメータ数220億個(推論時)
専門家(Experts)数128個(うち8個が同時アクティブ)
レイヤー数94層
アテンション設定GQA:クエリ64ヘッド、キー/バリュー4ヘッド
ネイティブコンテキスト長262,144トークン

MoEのメリット: 大容量の知識を保持しながら、実際の計算負荷は軽量。1回の推論で使用される計算量を抑えつつ、高い性能を実現しています。

質問者

MoEって、なんだか難しそうですが、簡単に言うとどういう仕組みなんですか? 

回答者

複数の専門家モデルを組み合わせて使用する手法で、入力データに応じて、それぞれの専門家モデルの出力を重み付け平均することで、1つのモデルよりも高い性能を発揮できます。Qwen3-235B-A22Bでは、128個の専門家の中から8個を同時にアクティブ化し、総パラメータ数は235Bですが、実際に使用されるのは22Bのアクティブパラメータです。会社組織に例えると、「全部門の全員が毎回会議に参加する」のではなく、「案件に応じて必要な部門の専門家だけが参加する」ような効率的な仕組みです。これにより、大容量の知識を保持しながら計算負荷を軽量に抑えられます。


性能ベンチマーク|他の主要AIモデルとの比較

性能ベンチマーク|他の主要AIモデルとの比較

数学・論理的推論

AIME25ベンチマーク:

  • o4-mini: 92.7点(1位)
  • Qwen3-Thinking-2507: 92.3点(僅差で2位)

HMMT25ベンチマーク:

  • Qwen3-Thinking-2507: 83.9点
  • Claude及び他の主要モデルを上回る

GPQA(科学的推論):

  • 前バージョンのQwen3: 71.1点
  • Qwen3-Thinking-2507: 81.1点
  • 🚀 10ポイントの大幅向上! バージョン間でこれほどの飛躍的改善は稀です

プログラミング・コーディング

LiveCodeBench(最も注目すべき結果):

  • 前バージョンのQwen3: 55.7点
  • Qwen3-Thinking-2507: 74.1点
  • 🏆 テスト対象モデル中最高得点(OpenAI o3、o4-miniを含む)

CFEval:

  • Qwen3-Thinking-2507: 2134点(セット内最高得点)

⚠️ 注意点: OJBenchでは前バージョンの25.6点から32.5点へと大幅向上。ただし、他の主要ベンチマークと比べると相対的にスコアが控えめです。

エージェント・マルチステップタスク

複数ステップのツール使用と計画立案で大幅な性能向上を実現しています。

ベンチマーク前バージョンQwen3-Thinking-2507改善率
TAU2-Retail40.4点71.9点+78%
TAU2-Telecom21.9点45.6点+108%

単なるスコア向上ではなく、異なる領域での意思決定能力が根本的に向上していることを示しています。

文章作成・アライメント

WritingBench:

  • Qwen3-Thinking-2507: 88.3点
  • OpenAI o3やClaudeを上回る

Creative Writing:

  • Qwen3-Thinking-2507: 86.1点
  • トップティアの出力品質とほぼ同等

多言語推論

MultiIF:

  • Qwen3-Thinking-2507: 80.6点(他の多くのモデルを上回る)

PolyMATH:

  • Qwen3-Thinking-2507: 60.1点
  • 最難関の多言語ベンチマークの一つでこの高得点は驚異的


実際に使ってみよう|無料で試せる方法

実際に使ってみよう|無料で試せる方法

方法1:Qwen Chatで無料体験

最も簡単な方法は、公式のWebインターフェースを使用することです。

👉 Qwen Chat で今すぐ試してみる

  • 基本利用は登録不要でアクセス可能(完全な機能にはアカウント作成を推奨)
  • チャットボット機能に加え、画像・動画理解、画像生成も包括的にサポート
  • 初心者でも直感的に操作できるUI

方法2:Hugging Faceからオープンソース版を取得

より技術的なアプローチを好む方や、カスタマイズしたい方には以下がおすすめです。

👉 Hugging Face: Qwen/Qwen3-235B-A22B-Thinking-2507

  • オープンソースの重みデータを無料でダウンロード可能
  • 自前の環境でホスティング・カスタマイズが可能
  • 研究目的や商用利用にも対応

💡 推奨される使い方:

  • 複雑な推論が必要なタスク:PolyMATH、AIME、長文コード生成など
  • 評価用出力長:最大81,920トークン
  • 通常タスク:32,768トークンまで


こんな場面で活用しよう|具体的なユースケース

こんな場面で活用しよう|具体的なユースケース

おすすめの活用シーン

✅ エージェント開発

  • マルチステップの計画立案が必要なタスク
  • 複雑なツールチェーンの構築
  • 長期的な目標達成に向けた戦略策定

✅ 長文コンテキスト推論

  • 研究論文の詳細分析
  • 法的文書の解釈
  • 大容量データセットからの洞察抽出

✅ 複雑な問題解決

  • 数学的証明の構築
  • 科学的仮説の検証
  • システム設計の論理的検討

❌ 向いていないタスク

  • 簡単なメール要約
  • カジュアルな会話
  • 単発の質問応答
質問者

推論特化のAIって、実際にどんな場面で使えばいいんでしょうか?普通の作業には向いていないんですか? 

回答者

推論特化AIは複雑な問題に対してステップバイステップで丁寧に考える必要がある分野で真価を発揮します。具体的には、数学的証明の構築、科学的仮説の検証、複雑なプログラミング問題の解決、長期的な計画立案などが得意です。一方で、簡単なメール要約やカジュアルな会話には向いていません。人間でいうと「大学受験の数学や物理の問題は得意だけど、日常会話は苦手な理系の研究者」のようなイメージです。時間をかけて深く考える必要がある作業なら大きな力を発揮しますが、素早いレスポンスが必要な軽い作業には適していないんです。


まとめ|推論特化AIの新時代が始まった

まとめ|推論特化AIの新時代が始まった

Qwen3-Thinking-2507は「何でもできるチャットボット」を目指していません。考えることに特化したモデルです。

  • より優れたステップバイステップの分析
  • より効果的なツール活用
  • ハルシネーションの大幅な削減
  • 長期タスクにわたる実際の計画立案

💪 こんな方は今すぐ試してみてください

  • エージェントを構築している開発者
  • 長文コンテキスト推論をテストしたい研究者
  • メール要約以上の複雑なタスクに取り組みたい方

派手な宣伝も誇大広告もありません。ただ、より優れた「頭脳」がここにあります。


🚀 今すぐアクション:

  1. Qwen Chatで実際に推論タスクを試してみる
  2. 既存のAIツールと性能を比較してみる
  3. あなたのプロジェクトでの活用可能性を検討する

推論特化AIの新時代が始まりました。ぜひこの革新的なツールを体験してみてください!

この記事の著者

Mehul Guptaのプロフィール写真

Mehul Gupta

DBS銀行のデータサイエンティスト。生成AIの実務活用や教育に精通し、情報発信も積極的に行う。

Mehul Gupta(メフル・グプタ)は、DBS銀行のデータサイエンティストであり、 著書『LangChain in Your Pocket』の著者としても知られています。 AIや機械学習の知見を発信するプラットフォーム「Data Science In Your Pocket」を主宰し、 Mediumでは350本以上の技術記事を執筆するトップライターとして活躍中です。 過去にはTata 1mgにて医療データのデジタル化にも取り組みました。 趣味はギター演奏とAI教育への貢献です。

この記事は著者の許可を得て公開しています。

元記事:Qwen3-Thinking-2507 : The best reasoning LLM is here

この記事の監修・コメント

池田朋弘のプロフィール写真

池田朋弘(監修)

Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。

株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。

主な著書:ChatGPT最強の仕事術』、 『Perplexity 最強のAI検索術』、 『Mapify 最強のAI理解術

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