
2025/08/03(日)
ChatGPTに新しく追加された「プロジェクトメモリ機能」をご存知でしょうか。これまでのChatGPTは、会話が終わると記憶がリセットされ、毎回同じ説明を繰り返す必要がありました。しかし、プロジェクトメモリ機能により、特定プロジェクト内で継続的な記憶を保持できるようになりました。
この機能は、単なる便利機能を超えて、ビジネスや学習における作業効率を劇的に向上させる可能性を秘めています。特に、継続的なプロジェクトや複数のテーマを並行して進める方にとって、画期的な変化をもたらすでしょう。
目次
プロジェクトメモリ機能は、特定のプロジェクト内でのみ記憶を共有するChatGPTの新機能です。従来のメモリ機能が全てのチャットで共有されていたのに対し、プロジェクトメモリはプロジェクトという「箱」の中だけで記憶が機能します。
具体的には、プロジェクトをフォルダのような概念として捉えることができます。例えば、「YouTube企画」「ニュース記事サマリー」「事業相談」といったテーマごとにプロジェクトを作成し、それぞれの中で関連する会話を蓄積していくのです。
この仕組みにより、テーマごとに会話を切り替えつつ、無駄な影響を受けることなく、一方でプロジェクト内では緩やかに記憶がつながっている状態を実現できます。過去に話した内容も参照できるため、継続的な議論や作業において大きなメリットを発揮します。
プロジェクトメモリ機能には、「プロジェクト専用メモリ」と「デフォルトメモリ」という2つの設定方式があります。この選択により、記憶の範囲と参照方法が大きく異なります。
プロジェクト専用メモリを選択した場合、完全に独立したワークスペースが作成されます。具体的な動作は以下の通りです:
この設定は、機密性の高い作業や、特定のテーマに集中したい場合に最適です。プロジェクト内の会話だけに基づいて、そのプロジェクト固有の文脈や履歴を構築できます。
デフォルトメモリを選択した場合、従来のメモリ機能との連携が可能になります。ただし、プランによって挙動が異なる重要な特徴があります:
プラン種別 | 参照範囲 | 外部からの参照 |
企業・エンタープライズ・エデュケーション | プロジェクト内完結 | 参照されない |
個人プラン(Plus/Pro等) | プロジェクト内外両方 | 外部からも参照可能 |
企業プランの場合は、デフォルトメモリを選択してもプロジェクト内で完結し、セキュリティが保たれます。一方、個人プランでは幅広く参照できる反面、他のプロジェクトからも見られる可能性があります。
プロジェクトメモリ機能を使用するには、まず個人設定での準備が必要です。「保存されたメモリの参照およびチャット履歴参照」を有効にする必要があります。この設定をオンにしないと、プロジェクト専用メモリ機能は使用できません。
プロジェクト作成時の手順は以下の通りです:
重要な点として、プロジェクト専用メモリは新規プロジェクト開始時のみに設定可能です。既存のプロジェクトは全てデフォルトメモリとして動作します。
プロジェクトメモリ機能の便利な特徴として、既存のチャットをプロジェクト内に移動できる機能があります。過去に行った関連する会話を該当するプロジェクトに移動することで、その内容も参照対象に含めることができます。
移動したチャットの内容は、プロジェクト内の新しい会話で参照可能になります。例えば、過去にAIに関する調査を行った会話を「AIサーベイ」プロジェクトに移動すると、新しい質問に対してもその調査内容を踏まえた回答を得ることができます。
この機能により、関連する過去の議論を無駄にすることなく、継続的な作業を効率的に進められるようになります。
プロジェクトメモリ機能は、特に以下のようなビジネスシーンで威力を発揮します:
特定の会社やサービスについて継続的に相談する場合、プロジェクトメモリ機能が非常に有効です。プロジェクト内で話している内容が特定の会社のことやサービス内容に関するものであれば、1つのチャットではなく複数のチャットに分けても、プロジェクト全体で文脈が保たれます。
これにより、毎回会社概要やサービス詳細を説明し直す必要がなくなり、より深い議論や具体的な改善提案に集中できるようになります。
チャットが長くなりすぎると、参照が重くなったり、重要な情報が埋もれてしまう問題がありました。プロジェクトメモリ機能により、テーマごとに適切な長さでチャットを分割しつつ、全体の文脈は保持することが可能になります。
これは、長期にわたるプロジェクトや複雑な課題に取り組む際の効率性を大幅に向上させます。
ChatGPTのプロジェクトメモリ機能は、AI活用の新たな段階を示す重要な機能です。主要なポイントを整理すると:
この機能により、ChatGPTは単なる質問応答ツールから、継続的な思考の伴走者へと進化しています。ビジネスや学習において、より深く、より効率的なAI活用が可能になるでしょう。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
ChatGPTのプロジェクトメモリ機能は、特定のプロジェクト内でのみ会話の記憶を保持・共有する新機能です。これにより、テーマごとに会話を切り替えつつ、過去の内容を参照しながら継続的な議論や作業を進めることができます。プロジェクトを「箱」のような概念で捉え、テーマに関連する会話を蓄積していくイメージです。
プロジェクトメモリには、「プロジェクト専用メモリ」と「デフォルトメモリ」の2つの設定方式があります。「プロジェクト専用メモリ」は完全に独立したワークスペースとして機能し、他のプロジェクトや全体のメモリを参照しません。「デフォルトメモリ」は従来のメモリ機能と連携しますが、個人プランと企業プランで挙動が異なります。
プロジェクト専用メモリは、新規プロジェクト作成時のみ設定可能です。プロジェクト作成画面で「プロジェクト専用メモリ」を選択し、プロジェクト名を設定することで、そのプロジェクト内で独立した記憶領域が作成されます。既存のプロジェクトは全てデフォルトメモリとして動作します。
ChatGPTでは、既存のチャットを特定のプロジェクト内に移動することができます。チャットのオプションメニューから「プロジェクトに移動」を選択し、移動先のプロジェクトを選択することで、そのチャットの内容がプロジェクト内で参照可能になります。これにより、過去の関連する会話を無駄にすることなく、継続的な作業に活用できます。
プロジェクトメモリ機能は、特に事業・ビジネス相談や長期プロジェクトの管理に役立ちます。特定の会社やサービスについて継続的に相談する場合、プロジェクト内で文脈が保たれるため、毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなります。また、長期プロジェクトでは、テーマごとにチャットを分割しつつ、全体の文脈を保持することが可能です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。