
中小企業の経営者や管理者の皆さんは、日々の業務で「顧客管理はスプレッドシート、プロジェクト管理は別のツール、チャットはまた別のアプリ」といった具合に、複数のツールを使い分けることに疲れを感じていませんか?
そんな課題を一気に解決する可能性を秘めているのが、アメリカ発のオールインワンビジネスプラットフォーム「Bitrix24」です。
Bitrix24を調査した結果、その圧倒的な機能の幅広さと価格の安さに驚きました。CRMからタスク・プロジェクト管理、サイト・ショップ構築、HR管理まで、まさに「これ一つで完結」を実現するツールです。
本記事では、Bitrix24の機能を解説し、中小企業にとってのメリット・デメリット、そして今後のAI活用の可能性まで、包括的にお伝えします。
目次

Bitrix24は、Bitrix社が開発したクラウドベースのオールインワンビジネスプラットフォームです。現在、世界195カ国で1,500万以上のユーザーに利用されており、600名以上の企業でも導入実績があります。
最大の特徴は、通常であれば複数のツールに分かれている機能を、一つのプラットフォームに統合していることです。具体的には以下の6つの主要モジュールで構成されています:
日本のサイボウズのような統合型グループウェアに、さらに幅広い機能を追加したイメージです。しかし、価格面では大きな違いがあります。

Bitrix24の価格設定は、中小企業にとって非常に魅力的です。
特に注目すべきは、50名のチーム向け定額が月額124ドルという価格です。これは一人当たり約約2ドル(約300円)という計算になり、他の専門ツールを個別に契約することを考えると、圧倒的にコストパフォーマンスが高いと言えます。
さらに驚くべきは、無料プランでもユーザー数が無制限という点です。これにより、スタートアップや小規模チームでも気軽に導入を開始できます。

Bitrix24のCRM機能は、単なる顧客管理にとどまらず、営業活動全体を支援する包括的なシステムです。以下の7つのコンポーネントで構成されています:
顧客との全ての接点を一元管理します。電話、メール、チャット、SNSからの問い合わせを統合的に処理し、対応履歴を自動的に記録します。これにより、どの担当者でも過去の経緯を把握して適切な対応が可能になります。
商談の進捗を視覚的に管理できるカンバンボード形式のパイプラインを提供します。案件の段階(見込み客→提案→交渉→成約)を明確に分け、各段階での滞留時間や成約率を分析できます。
顧客が自分でサービスの予約を取れるシステムです。カレンダーと連動し、ダブルブッキングを防止しながら、予約情報は自動的にCRMに記録されます。コンサルティング業や美容院、医療機関などで特に威力を発揮します。
メール配信、SNS投稿、広告キャンペーンの管理を自動化します。顧客の行動データに基づいてパーソナライズされたメッセージを送信し、FacebookやGoogleの類似オーディエンス作成も可能です。
AIを活用した営業支援機能です。リードスコアリング、通話解析、リピート管理などを通じて、営業担当者の活動を最適化します。どの見込み客に優先的にアプローチすべきかを自動的に判断してくれます。
リアルタイムの売上データ、営業活動の分析、ROI計算などを提供します。どのマーケティングチャネルが最も効果的か、どの営業担当者のパフォーマンスが高いかを数値で把握できます。
営業活動全般をサポートするAIアシスタントです。通話内容の自動文字起こし、商談内容の要約、次のアクションの提案などを行います。営業担当者は商談に集中でき、事務作業の負担が大幅に軽減されます。

Bitrix24のプロジェクト管理機能は、単なるタスク管理を超えて、チーム全体の生産性向上を目指した設計になっています。
プロジェクトの進捗は、チームの作業スタイルに合わせて以下の形式で表示できます:
私が特に注目したのは、AIを活用したタスク管理機能です。具体的には以下のような支援を受けられます:
これらの機能により、プロジェクトマネージャーの負担が大幅に軽減され、より戦略的な業務に集中できるようになります。

現代のビジネス環境では、リモートワークやハイブリッドワークが当たり前になっています。Bitrix24は、こうした働き方を強力にサポートするコラボレーション機能を提供しています。
チャット、ビデオ会議、ファイル共有が一つのプラットフォームに統合されています。特に印象的なのは、最大1,000名まで参加可能なビデオ会議機能で、時間制限もありません。これにより、ZoomやGoogle Meetといった外部ツールが不要になり、コスト削減と情報セキュリティの向上を同時に実現できます。
現場作業が多い業種では、モバイルでの勤怠管理が重要です。Bitrix24では、スマートフォンから簡単に出勤・退勤の打刻ができ、作業の一時停止や再開も可能です。これらのデータは自動的に分析システムに連携され、労働時間の管理や生産性の分析に活用されます。
「Bitrix24 Collabs」という機能では、社外のクリエイター、フリーランサー、クライアントを安全にプラットフォームに招待できます。機密情報を保護しながら、プロジェクトベースでの協業が可能になります。

Bitrix24には、ウェブサイトやECサイトを構築する機能も含まれています。これは単なるサイトビルダーではなく、CRMと完全に連携したマーケティングプラットフォームです。
最新のAI技術を活用して、数秒で美しく機能的なランディングページを作成できます。テンプレートを選択し、業種や目的を入力するだけで、プロフェッショナルなサイトが完成します。
作成したサイトには以下の機能が自動的に組み込まれます:
これにより、マーケティング活動から顧客管理まで、一貫したデータ管理が実現されます。

Bitrix24のHR機能は、従来の人事管理システムに匹敵する機能を提供しています。特に中小企業では、専用のHRシステムを導入するコストが負担になることが多いため、この統合機能は大きなメリットとなります。
視覚的な組織図の作成と管理が可能です。ドラッグ&ドロップで部署の移動や人事異動を反映でき、権限管理も自動的に更新されます。
従業員の労働時間を正確に記録し、プロジェクトごとの工数分析も可能です。リモートワークでも、作業内容と時間を透明性高く管理できます。
人事関連の書類を一元管理し、電子署名機能により契約書の締結もデジタル化できます。

私が最も注目したのは、Bitrix24のAI機能の充実ぶりです。現在、主に2つのAIアシスタントが提供されています。
Marthaは、Bitrix24の使い方に関する質問に24時間対応するAIアシスタントです。新入社員のオンボーディング、機能の使い方説明、設定のサポートなどを行います。これにより、管理者の負担が大幅に軽減されます。
Co-Pilotは、日常業務を支援するAIです。具体的には以下のような機能を提供します:
私は、Bitrix24の今後の成長において、AI機能の強化が最も重要な要素になると考えています。現在でも十分に実用的ですが、以下のような発展が期待されます:

1. 圧倒的なコストパフォーマンス
複数のSaaSツールを個別契約する場合と比較して、大幅なコスト削減が可能です。例えば、Slack、Asana、Salesforce、Zoomを個別契約すると月額数万円になりますが、Bitrix24なら数千円で済みます。
2. データの一元管理
顧客情報、プロジェクト進捗、コミュニケーション履歴が一つのプラットフォームに集約されるため、情報の分散や重複入力がなくなります。
3. 学習コストの削減
従業員が覚えるべきツールが一つに統合されるため、研修コストや習得時間を削減できます。
4. スケーラビリティ
事業成長に合わせて機能を段階的に追加できるため、将来的な拡張性も確保されています。
1. 機能の専門性
私が調査で感じたのは、「1個1個のツールの完成度は専門特化したやつに比べるとやっぱり弱い」という点です。例えば、プロジェクト管理ならAsana、CRMならSalesforceの方が高機能です。
2. 習得の複雑さ
機能が豊富すぎるため、「使いこなすのは機能が多いより大変」という課題があります。特に初期設定や運用ルールの策定には時間がかかります。

Bitrix24の導入を成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。私は以下のような戦略を推奨します:
まずは最も重要な機能(CRMまたはプロジェクト管理)から導入を開始し、チームが慣れてから他の機能を追加していきます。
基本機能に慣れたら、AI機能を積極的に活用して業務効率化を図ります。特に、「いかにこれをAIを導入して入り口にやりたいことから操作を楽にするか」が重要になります。
組織の業務プロセスに合わせてワークフローをカスタマイズし、最大限の効果を引き出します。

私は、Bitrix24の今後について「AI活用でさらにばけるか?」という視点で注目しています。現在のAI機能でも十分実用的ですが、以下のような発展が期待されます:
現在のルールベース自動化とAIを組み合わせることで、より複雑で柔軟な業務自動化が可能になるでしょう。
蓄積されたデータを活用して、売上予測、顧客行動予測、プロジェクト完了予測などの精度が向上していくと考えられます。
「来月の売上予測を教えて」「プロジェクトAの進捗はどう?」といった自然な言葉でシステムを操作できるようになる可能性があります。

Bitrix24は、中小企業が抱える「複数ツールの管理負担」「コスト圧迫」「情報分散」といった課題を一気に解決する可能性を秘めたプラットフォームです。
特に以下のような企業には強くお勧めします:
一方で、各機能の専門性や日本語サポートには限界があるため、導入前には十分な検討と段階的な導入計画が必要です。
私の調査結果として、Bitrix24は「使いこなすサポートが強化されたら企業は増えそう」という印象を持ちました。AI機能の進化により、この「使いこなし」の壁が低くなれば、日本の中小企業にとって非常に魅力的な選択肢になると確信しています。
デジタル変革を検討中の経営者の方は、まずは無料プランから始めて、自社の業務にどの程度フィットするかを確認してみることをお勧めします。
本記事の作成にあたり、以下の情報源も参考にしています:
Bitrix24は、中小企業向けのオールインワンビジネスプラットフォームです。CRM(顧客管理)、タスク・プロジェクト管理、サイト・ショップ構築、コラボレーション、HR管理、自動化・AI機能など、通常は複数のツールを必要とする機能を一つに統合しています。
Bitrix24には無料プランと有料プランがあります。無料プランはユーザー数無制限で、基本的なCRMやタスク管理機能が利用できます。有料プランには、Standard、Professional、Enterpriseがあり、ユーザー数やストレージ容量、利用できる機能が異なります。10名程度のチームであれば、月額124ドルのプランが利用可能です。
Bitrix24のCRM機能は、コンタクトセンター、営業パイプライン管理、予約・ブッキング機能、マーケティング自動化、セールスインテリジェンス、アナリティクス、AIコパイロットといった機能で構成されています。顧客との接点管理から営業活動の効率化、データ分析まで、営業活動全体を支援します。
Bitrix24のプロジェクト管理機能は、カンバンボード、ガントチャート、スクラムなど多様な表示形式に対応し、チームの作業スタイルに合わせてプロジェクトの進捗を管理できます。AIを活用したタスク管理機能も搭載されており、チェックリストの自動生成やタスクサマリーの作成、作業時間の予測などをAIが支援します。
Bitrix24を導入することで、コストパフォーマンスの向上、データの一元管理、学習コストの削減、スケーラビリティの確保といったメリットが得られます。複数のSaaSツールを個別契約する場合と比較してコストを抑えられ、情報の一元化により業務効率が向上します。

Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、
AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、
チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。