WordPressでカスタムブロックを作りたいと思ったことはありませんか?従来であれば、React、JavaScript、PHPなどの専門知識が必要で、開発環境の構築から始めて相当な時間と労力を要する作業でした。しかし、Automattic社が開発した実験的AIツール「Telex」は、この常識を覆そうとしています。
Telexは、自然言語での説明を入力するだけで、動作するWordPressブロックを自動生成し、プラグインとしてダウンロードできる画期的なツールです。「本の著者をアピールするブロックを作って」と伝えるだけで、CSS、JavaScript、PHPを含む本格的なブロックが数分で完成します。
この記事では、実際にTelexを使用した体験をもとに、その驚くべき機能と実用性について詳しく解説します。
目次

Telexは、Automattic社が2025年のWordCamp USで発表した実験的なAIツールです。WordPress共同創設者のMatt Mullenweg氏は、これを「V0やLovableのWordPress版」と表現し、「バイブコーディング」という新しい開発手法を提唱しています。
バイブコーディングとは、開発者がAIと対話しながら、「こんな感じのものが欲しい」という曖昧な要求を具体的なコードに変換していく手法です。従来のコーディングのように厳密な仕様書は不要で、自然言語での説明だけで機能するソフトウェアを作り上げることができます。
Telexの最大の特徴は、WordPressのGutenbergブロックシステムに特化している点です。一般的なAIコード生成ツールとは異なり、WordPressの規約、ブロックの登録方法、エディターとフロントエンドの違い、テーマとの互換性などを深く理解しているため、実際に使用できる高品質なブロックを生成できます。

私が実際にTelexを使用して「本の著者をアピールするブロック」を作成した際の体験をご紹介します。最初は「数十秒程度の軽いコード」を想像していましたが、実際に生成されたコードの充実度には驚かされました。

生成されたブロックには以下の要素が含まれていました:
特に印象的だったのは、単なる表示機能だけでなく、WordPressのブロックエディターでの編集機能まで完全に実装されていた点です。管理画面で著者情報を簡単に更新でき、リアルタイムでプレビューも確認できる本格的な仕様でした。

Telexの使用プロセスは驚くほどシンプルです:
WordPress.comアカウントでログイン後、作りたいブロックを自然言語で説明します。例えば「証言ブロックを作って。著者名、写真、5つ星評価、引用文を含めて」といった具合です。
Telexは入力されたプロンプトを解析し、必要なPHP、JavaScript、CSSコードを自動生成します。この処理には通常2〜3分程度かかります。
生成されたブロックは、ブラウザ上で動作するWordPress Playground環境で即座にテストできます。実際のWordPress環境と同じ条件で動作確認が可能です。
満足のいく結果が得られたら、ZIPファイルとしてダウンロードし、WordPressサイトにプラグインとしてインストールできます。

| ステップ | 所要時間 | 必要なスキル |
|---|---|---|
| プロンプト作成 | 1〜2分 | 日本語での説明能力 |
| AI生成 | 2〜3分 | なし(自動処理) |
| プレビュー確認 | 2〜5分 | 基本的なWordPress操作 |
| インストール | 1〜2分 | プラグインのアップロード方法 |

従来のWordPressブロック開発では、以下のような工程が必要でした:
これらの作業には、経験豊富な開発者でも数時間から数日を要していました。しかし、Telexを使用すれば、同等の機能を持つブロックを10分程度で作成できます。
特に印象的だったのは、生成されたコードの品質です。WordPressのコーディング規約に準拠し、アクセシビリティにも配慮された、プロダクション環境で使用可能なレベルのコードが自動生成されました。

ウェブ制作会社では、クライアントからの「こんな機能が欲しい」という要望に対して、Telexを使って迅速にプロトタイプを作成できます。従来であれば見積もりと開発期間の調整が必要だった小さな機能も、その場でデモを見せながら提案できるようになります。
技術的な知識がないブロガーでも、自分のサイトに特化したカスタムブロックを作成できます。例えば、レシピブログなら材料リストブロック、旅行ブログなら地図付きスポット紹介ブロックなど、コンテンツの特性に合わせた独自機能を簡単に実装できます。
企業サイトでは、製品紹介、チーム紹介、お客様の声など、定型的でありながら独自性が求められるコンテンツブロックの作成に威力を発揮します。デザインシステムとの整合性を保ちながら、効率的にコンテンツを管理できます。

Telexは現在実験的なツールですが、その潜在的な影響力は計り知れません。WordPressが全ウェブサイトの43.4%を占める現状を考えると、ブロック開発の民主化は業界全体に大きな変化をもたらす可能性があります。
特に注目すべきは、「コードを書けない人でもカスタム機能を作れる」という点です。これまでプログラマーの専門領域だったカスタム開発が、デザイナーやマーケター、コンテンツクリエイターにも開放されることで、より創造的で多様なウェブサイトが生まれる可能性があります。
また、開発者にとっても、単純な作業から解放されることで、より複雑で価値の高い機能開発に集中できるようになります。Telexは開発者を置き換えるのではなく、開発者の生産性を大幅に向上させるツールとして機能すると考えられます。

Telexは、WordPressブロック開発に革命をもたらす可能性を秘めたツールです。実際に使用してみて感じたのは、これまで「技術的に難しい」と諦めていた機能が、驚くほど簡単に実現できるということでした。
以下が、この記事の要点です:
Telexはまだ実験段階ですが、その可能性は非常に大きく、WordPressを使用するすべての人にとって価値のあるツールになると確信しています。ぜひ一度試してみて、新しい開発体験を味わってみてください。
本記事の作成にあたり、以下の情報源も参考にしています:
Telexは、Automattic社が開発したAIツールで、自然言語で指示するだけでWordPressのGutenbergブロックを自動生成できます。専門知識がなくてもカスタムブロックを簡単に作成できるため、WordPressブロック開発の新しい手法として注目されています。
Telexを使うことで、従来必要だったReact、JavaScript、PHPなどの専門知識が不要になり、開発環境の構築にかかる時間と労力を大幅に削減できます。自然言語で説明を入力するだけで、数分で動作するWordPressブロックを生成し、プラグインとしてダウンロードできます。
Telexで生成されたブロックは、ZIPファイルとしてダウンロードできます。このZIPファイルをWordPressのプラグインとしてアップロードし、有効化することで、作成したブロックをWordPressのGutenbergエディターで使用できるようになります。
Telexは、小〜中規模のユーティリティブロック、例えば証言ブロック、FAQブロック、価格表ブロック、タイムラインブロックなどの作成に特に適しています。また、クライアントへの提案用デモブロックや、ブロック開発の学習教材としても活用できます。
Telexは実験的なツールであるため、生成されたブロックはWordPress Playground環境で事前に動作確認を行うことが重要です。特に商用サイトで使用する場合は、生成されたコードの内容を確認し、セキュリティ上の問題がないかチェックすることをお勧めします。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。