
2025/08/03(日)
AIエージェント開発に興味がある皆さん、こんな疑問を抱いていませんか?
「ChatGPT AgentとModel Context Protocol、どちらを使えばいいの?」
「自分のプロジェクトにはどちらが適している?」
「それぞれの強みと弱みを知りたい」
表面的には似たような動作をしますが、アプローチと使用場面が異なります。この違いを理解することで、あなたのプロジェクトに最適な選択肢が見えてきます。
目次
ChatGPT Agentは完成された製品です。質問すると答えてくれる、タスクを与えるとツールを使って完了してくれる。MCPサポートも組み込まれており、多くの機能が統合されています。
具体的には:
MCPは製品ではなくフレームワークです。モデルが外部コンポーネントと連携するための仕様を定義しており、追跡可能でモジュラーな方法で実現できます。
具体的には:
MCPと ChatGPT Agentって、結局どちらも同じようなことができるんじゃないですか?何がそんなに違うんでしょうか?
確かに表面的には似ていますが、根本的にアプローチが全く違います。ChatGPT Agentは「すぐに使える完成品」で、MCPは「自分で組み立てるパーツセット」だと考えてください。ChatGPT Agentなら今すぐブラウザでエージェント機能を試せますが、MCPは自分でサーバーを立ててコードを書く必要があります。ただし、MCPなら自社の独自システムとの連携や、複数のAIモデルでの利用、完全にカスタマイズされた動作など、ChatGPT Agentでは実現できない自由度があります。
ChatGPT Agentは統合された製品として、一定のログ機能と履歴管理を提供します。
特徴:
MCPではすべてが公開されています。
具体的には:
🔍 実用例:
MCPの場合:
1. ユーザーが「東京の天気は?」と質問
2. weather_api_tool が呼び出される(ログに記録)
3. API応答:{"temp": 25, "condition": "sunny"}
4. この情報を元に回答生成(全プロセスが追跡可能)
ChatGPT Agentの場合:
1. ユーザーが質問
2. 統合システムが処理(一部の情報が記録)
3. 回答が返される(履歴として保存)
ChatGPT Agentは多くの機能が統合されています。
✅ 適している場面:
MCPではあなたが主導権を握ります。
✅ 可能なカスタマイズ例:
具体的なユースケース:
ChatGPT AgentはOpenAIの公式ツールに加えて、MCPサーバーやサードパーティアプリコネクターもサポートします。
MCPではすべてのツールがあなたのツールです。
✅ 連携可能な例:
💼 企業での活用例:
小売業の場合:
製造業の場合:
ChatGPT Agentでは会話とスクリーンショットが履歴に保存されますが、個々のアクションの完全なトレースは既定では保存されません。エージェントの”個人メモリ”機能は現在使用されていません(将来変更の可能性があります)。
特徴:
MCPではメモリも一つのツールとして扱われます。
✅ カスタマイズ例:
📊 メモリシステム設計例:
顧客サポートエージェントの場合:
ChatGPT AgentはOpenAIのエコシステム内で最適化されています。
✅ 特徴:
MCPはモデルを選びません。構造化入力を受け入れるモデルであれば何でも使用可能です。
✅ 対応例:
🔧 技術要件:
ChatGPT Agentは現在単一エージェントとして動作しますが、MCPサポートにより将来的にはマルチエージェント機能の拡張が期待されます。
✅ 特徴:
MCPはマルチエージェント用に設計されています。
✅ 可能な構成例:
🏗️ マルチエージェントシステム例:
ソフトウェア開発チーム:
マルチエージェントシステムって、なんだかSF映画みたいで現実離れしている感じがするんですが、実際にビジネスで使えるものなんでしょうか?
実はもう実用化が始まっています!例えば、伊藤忠テクノソリューションズでは会議のスケジュール調整をAIエージェント同士が自動で交渉するシステムを開発していますし、ホンダでは複数のエージェントで企業文化「ワイガヤ」の議論を模したシステムを自動車開発に活用しています。まずは「調整業務」「社内ワークフロー」「顧客サポート」など、リスクが比較的低い分野から導入が進んでおり、徐々に複雑な業務にも広がっていく見込みです。
ChatGPT Agentでは会話とスクリーンショットが履歴に保存されますが、個々のアクションの完全なトレースは既定では保存されません。
✅ 特徴:
MCPはデフォルトで再現可能です。
✅ 特徴:
⚡ 実用的メリット:
ChatGPT Agentの使用は直感的で統合された体験です。
開発プロセス:
特徴:
MCPはエンジニアリングを要求します。
開発プロセス:
特徴:
📈 長期的な視点:
短期的(1-2週間):
ChatGPT Agent > MCP(開発速度)
中期的(1-3ヶ月):
ChatGPT Agent ≈ MCP(機能的価値)
長期的(6ヶ月以上):
MCP >> ChatGPT Agent(拡張性・保守性)
AIを迅速に活用したい段階であれば、ChatGPT Agentは素晴らしい選択肢です。設定やセットアップを最小限に、エージェント体験を提供してくれます。
適用例:
✅ 概念実証(PoC)段階
✅ AIの可能性を経営陣にデモ
✅ 中小規模プロジェクトの自動化
✅ 迅速なプロトタイピング
AI-ネイティブシステム、カスタムワークフロー、自律エージェント、LLM搭載ソフトウェアを構築する場合、独自のMCP実装が必要になります。
適用例:
✅ 本格的な商用サービス開発
✅ 企業の基幹システムとの連携
✅ 高度なカスタマイズが必要なプロジェクト
✅ マルチエージェントシステム
✅ 独自モデルとの統合
ChatGPT Agent = 統合製品(MCPも活用)
MCP = フレームワーク
一方は完成されたエージェント体験を提供し、もう一方は無数のカスタムエージェントを構築するための部品を提供します。
ChatGPT Agentを選ぶべき場合:
MCPを選ぶべき場合:
🚀 今すぐ始めるなら:
📚 さらに深く学びたい方は:
重要なのは:この2つを対立構造で捉えないことです。
あなたが何をしようとしているかに基づいて選択しましょう。ChatGPT AgentはMCPも活用した統合製品として、多くの場面で有効ですが、より高度なカスタマイズが必要な場合は独自のMCP実装を検討する価値があります。
自社でAIエージェントを導入したいのですが、ChatGPT AgentとMCPのどちらから始めればいいか迷ってしまいます。判断の決め手って何ですか?
まず「既存システムとの連携がどの程度必要か」を考えてみてください。例えば、社内の基幹システムやデータベースと深く連携する必要があるなら、MCPの方が適しています。一方、「まずはAIエージェントがどんなものか試してみたい」「営業資料作成やデータ分析などの一般的な業務を効率化したい」という場合は、ChatGPT Agentから始めるのがおすすめです。
DBS銀行のデータサイエンティスト。生成AIの実務活用や教育に精通し、情報発信も積極的に行う。
Mehul Gupta(メフル・グプタ)は、DBS銀行のデータサイエンティストであり、 著書『LangChain in Your Pocket』の著者としても知られています。 AIや機械学習の知見を発信するプラットフォーム「Data Science In Your Pocket」を主宰し、 Mediumでは350本以上の技術記事を執筆するトップライターとして活躍中です。 過去にはTata 1mgにて医療データのデジタル化にも取り組みました。 趣味はギター演奏とAI教育への貢献です。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
元記事:ChatGPT Agent vs Model Context Protocol
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。