
2025/07/21(月)
今のAIエージェントは、どのレベルの資料が作成できるのか? 資料作成業務の効率化を目指し、最新のAIエージェント4つ(ChatGPTエージェント、Manus、GenSpark、Skywork)を使って、同一条件でのPowerPoint資料作成を比較検証しました(2025年7月22日の実施)。
今回の検証では、「AIサービスについて、1つ1ページでまとめたプレゼンテーション資料」という具体的なタスクを各エージェントに依頼しました。
この記事では、実際の検証結果を基に、それぞれのAIエージェントの特徴と、どのような場面でどのツールを選ぶべきかについて詳しく解説します。資料作成業務の自動化を検討している方にとって、実践的な判断材料となる内容です。
目次
今回の比較検証では、以下の統一されたプロンプトを各AIエージェントに送信しました:
「プレゼンテーション専門のAIデザイナー兼リサーチャーです。以下に定義しているAIサービス機能を一つ一つしっかり調べてください。最新情報でまとめてください。その上で、日本語で分かりやすくシンプルな宣伝デザインのパワーポイントで使えるスライドを作成してください。」
このプロンプトには、13個のAIサービスのリストが含まれており、各エージェントには同じ情報源と要求仕様を提示しています。検証は全て有料プランで実施し、公平な条件下での比較を心がけました。
ChatGPTエージェントは、1時間近くの間をかけて資料を作成しました。他エージェントに比べて時間は2~3倍かかっている印象です。
資料クオリティについても、それなりのレベルではあるものの、他のAIエージェントと比べると正直現段階では見劣りする印象です。
実際の作業画面&PowerPoint資料は以下です。
ChatGPTエージェントで作成したPowerPoint資料
処理時間はSkyworkよりも少し早い印象です。スライドを見ると、非常に丁寧にまとめられており、それぞれのAIサービスでグラフ等も自動的に作成してくれています。
またPowerPointで出力した際には、1つ1つの要素が個別に出力されており、フォントもNotosansと指示が守られているので、後からの編集もしやすいです。
GenSparkは「AIスライド」という専門機能を持ち、今回の検証で最も高速な処理を実現しました:
PowerPoint資料では、要素が一つのテキストボックスにまとめられていて修正が大変なのと、フォント指定が異なる等の課題が今回はありました。
Skyworkは、作業依頼後に、以下のような選択肢の提示があり、ユーザーの要求に応じたカスタマイズが可能でした:
スピード感は、Genspark/Manusにはやや劣るものの、ChatGPTエージェントよりは断然早く完成。作成された資料のクオリティも、今回は一番高い印象がありました。
PowerPointファイルの編集も各要素がしっかり分割されており、Manusと同様に編集しやすい形です。
業務効率化の観点から、各ツールの時間効率を分析すると以下のような特徴が見えてきます:
AIエージェント | 作成時間 | 適用場面 |
GenSpark | ★★★ 10分以内 | 緊急の資料作成、初稿作成 |
Skywork | ★★☆ 約15分 | 品質重視の正式資料 |
Manus | ★★☆ 約15分 | 詳細な情報が必要な資料 |
ChatGPTエージェント | ★☆☆ 約1時間 | 汎用的なタスクの一環 |
ChatGPTエージェントは、資料作成だけでなく、以下のような複合的なタスクで真価を発揮します:
単純な資料作成では他のツールに劣りますが、複雑な要求や継続的なプロジェクトでは、その汎用性が大きな強みとなります。
Manusは以下のような場面で最も効果を発揮します:
情報の充実度では他を上回るため、内容の正確性と詳細さが重要な資料作成に適しています。
GenSparkの高速処理能力は、以下の場面で特に価値を発揮します:
完成度よりもスピードを重視する場面では、GenSparkが最適な選択肢となります。
Skyworkは以下のような重要な場面での使用に適しています:
デザイン品質とロゴの正確性において最も優れているため、対外的な資料や重要なプレゼンテーションに最適です。
今回の検証で明確になったのは、特定タスクに特化したAIエージェントの優位性です。ChatGPTエージェントのような汎用型は確かに幅広いタスクに対応できますが、資料作成やグラフ作成といった特定の業務においては、専門特化型のツールがより高いレベルの成果を提供します。
この傾向は今後も続くと考えられ、業務効率化を目指す企業や個人は、用途に応じて複数のAIツールを使い分けることが重要になってくるでしょう。
今回の比較検証により、AIエージェントによる資料作成の現状と各ツールの特徴が明確になりました。主要なポイントを以下にまとめます:
AIエージェントによる資料作成は、もはや「実験的な試み」ではなく、「実際の業務で活用できる実用的なソリューション」となっています。適切なツール選択と活用方法を理解することで、資料作成業務の大幅な効率化が実現できるでしょう。
今回の検証では、ChatGPTエージェントが資料作成に最も時間を要しました。情報収集、事実確認、構成設計といったプロセスを丁寧に行うため、約1時間かかりました。汎用的なAIエージェントであるため、専門特化型に比べて時間がかかる傾向があります。
GenSparkがおすすめです。GenSparkは「AIスライド」という専門機能を持ち、今回の検証では10分以内で資料作成を完了しました。ただし、細かなカスタマイズには限界があるため、スピード重視の初稿作成に向いています。
Skyworkが最も編集しやすいです。PowerPoint変換後の要素が完全に分離されているため、後から自由に修正できます。Manusも個別要素に分離されているため編集しやすいですが、Skyworkの方がより柔軟に編集可能です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、
AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、
チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。