
2025/08/06(水)
AWSが開発したAI統合開発環境「Kiro」が、ついに正式な料金プランを発表し、待機リストなしで利用できるようになりました。これまでプレビュー版として限定的に提供されていたKiroが、本格的な商用サービスとして展開されることで、AI駆動開発の新たな時代が始まろうとしています。
特に注目すべきは、Kiroが採用する「スペック駆動開発」という革新的なアプローチです。従来のAIコーディングツールとは一線を画し、コードを書く前に要件定義から仕様設計まで体系的に進める手法により、手戻りコストを大幅に削減し、より確実性の高い開発を実現します。実際に私も試してみましたが、非エンジニアでも、要件→仕様→タスクという流れの価値を体感できます。
本記事では、実際にKiroを使ってアプリケーション開発を行った経験を基に、新料金プランの詳細、スペック駆動開発の実践的な活用方法、そしてCursorなど他のAI開発ツールとの使い分けについて詳しく解説します。
目次
2025年8月に発表されたKiroの料金体系は、個人開発者から企業まで幅広いニーズに対応する構成となっています。
特に注目すべきは、全ユーザーに対してスペックリクエスト100回とバイブリクエスト100回を14日間無料で提供している点です。これにより、実際の開発プロジェクトでKiroの真価を十分に評価できる期間が確保されています。
また、上限に達した場合でも追加購入が可能な柔軟な料金体系となっており、プロジェクトの規模に応じて調整できる点も実用的です。月額20ドルのKiro Proプランは、個人開発者や小規模チームにとって非常にリーズナブルな価格設定と言えるでしょう。
Kiroの最大の特徴である「スペック駆動開発」を実際に体験してみると、その革新性がよく理解できます。従来のAI開発ツールとは根本的に異なるアプローチを採用しているのです。
Kiroでは、開発を以下の3つの段階に分けて進行します:
実際の開発では、まず「こんなふうにやりたいことはこうですよね」という形で要件が整理され、それを確認すると次に「こんなふうに作りますよ」という仕様が生成されます。この仕様は技術的な詳細は含まれていても、言葉で書かれているため、概ね変じゃないか確認することができます。
料金プラン発表に合わせて、「既存のプロジェクト(すでに作ったアプリ)」に新しい機能を追加をトライしてみました(詳細は後半の動画をご覧ください)。例えば、「作成したUIに自由にプロンプトを入力して送信し、結果を返してもらえるような機能を追加したい」という新たな要件を入力すると、Kiroは以下のような処理を行います:
これにより、「全部コードを読んで状況を見る」という従来の手間が大幅に削減されます。リクアイアメントを見れば、ソースを全部見なくても概ね分かるという状況が実現できるのです。
Kiroについては「スピードが遅い」というコメントもあるのですが、実際に使用してみると、個人的には理解を伴った適切なスピードで進行することが分かります。
確かに、他のAI開発ツールと比較すると、要件定義から仕様設計、タスク分解という段階を踏むため、即座にコードが生成されるわけではありません。しかし、この段階的なアプローチこそが、Kiroの真価なのです。
「そんな早すぎても中身が理解できない」という観点から考えると、むしろ適切なペースと言えるでしょう。特に、一つのアプリケーションを最初から作る場合には、このスペック駆動のアプローチが非常に有効です。
現在多くの開発者がCursorを愛用している中で、Kiroをどう位置づけるかは重要な判断ポイントです。実際の使用経験を基に、以下のような使い分けが考えられます。
Kiroの料金プラン発表は、AI駆動開発の新たな段階を示すマイルストーンです。スペック駆動開発という革新的なアプローチにより、従来のAI開発ツールとは異なる価値を提供しています。
14日間の無料トライアルを活用して、実際のプロジェクトでKiroの価値を体験してみることをお勧めします。AI駆動開発の新たな可能性を発見できるかもしれません。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Kiroは、AWSが開発したAI統合開発環境で、スペック駆動開発という革新的なアプローチを採用しています。コードを書く前に要件定義から仕様設計まで体系的に進めることで、手戻りコストを削減し、より確実性の高いアプリケーション開発を実現します。
Kiroには複数の料金プランがあり、個人開発者向けのKiro Proプランは月額20ドルで、125回のスペックリクエストと225回のバイブリクエストが利用可能です。また、すべてのユーザーは14日間、スペックリクエスト100回とバイブリクエスト100回を無料で試すことができます。
スペック駆動開発は、Kiroが採用する開発手法で、要件定義、仕様設計、タスク分解の3つの段階を経て開発を進めます。まず、やりたいことを自然言語で入力し、次に技術的な仕様を自動生成、最後に仕様を実装可能なタスクに分解します。この段階的なアプローチにより、開発プロセスが可視化され、手戻りが削減されます。
Kiroは、ゼロからのアプリケーション開発や、複雑な機能追加、チーム開発に適しています。一方、Cursorは、既存コードの修正・改善やプロトタイピングなど、素早い対応が求められる場合に適しています。新規開発が多い場合はKiro、既存システムの改修が多い場合はCursorを選ぶと良いでしょう。
Kiroの無料トライアルでは、14日間、スペックリクエスト100回とバイブリクエスト100回を利用できます。この期間中に、Kiroの基本的な機能を体験し、実際の開発プロジェクトでその価値を評価することができます。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。