
2025/08/23(土)
生成AIの進化により、デザイン制作の現場は大きく変わりつつあります。しかし、「どのAIモデルが最もデザインに優れているのか?」という疑問に答えるのは簡単ではありませんでした。そんな中、AIのデザイン能力を客観的に比較評価できる画期的なプラットフォーム「Design Arena」が登場し、注目を集めています。
Design Arenaは、従来のLM Arena(文章やコーディング、画像判定などを比較するプラットフォーム)のデザイン版として開発されました。このプラットフォームでは、実際のデザインタスクを通じて各AIモデルの性能を比較し、ユーザーの投票によってランキングを決定します。本記事では、Design Arenaの仕組みと、そこから見えてきた興味深い結果について詳しく解説します。
目次
Design Arenaは、生成AIのデザイン能力を客観的に評価するためのプラットフォームです。ユーザーは具体的なデザインタスクを入力し、複数のAIモデルが生成したデザインを匿名で比較投票することで、各モデルの実力を測定します。
例えば、「生成AIの法人向けハンズオン研修の紹介をするランディングページのかっこいいデザインを作って」といった具体的な依頼を入力すると、複数のAIモデルがそれぞれデザインを生成します。ユーザーはどのAIが作成したかを知らされることなく、純粋にデザインの質だけで判断し、投票を行います。
この匿比較方式により、モデルのブランド認知による偏見を排除し、より公平な評価が可能となっています。5回の比較投票を行った後、どのデザインがどのAIモデルによって作成されたかが明かされる仕組みです。
Design ArenaではELOレーティングシステムを採用しており、これはLM Arenaでも使用されている信頼性の高い評価手法です。ELOレーティングの特徴は以下の通りです:
この仕組みにより、単純な勝敗数だけでなく、対戦相手の強さも考慮した、より精密なランキングが実現されています。試合後のレーティングは、試合前のレーティングに対して、特定の定数と試合結果の勝利数の補正値、そして試合前の両チームのレーティング勝率の期待値を基に算出されます。
Design Arenaの現在の結果(2025/09/05時点)を見ると、興味深いパターンが浮かび上がってきます。全体的な傾向として、Claude 4.1 Opus(オーパス)が最も高い評価を獲得しており、Claudeシリーズの強さが際立っています。
特に注目すべきは、Geminiが全般的なデザインタスクでは予想よりも低い評価となっている点です。多くの人がGeminiの性能をより高く評価していたため、この結果は意外な印象を与えています。
Design Arenaの興味深い点は、デザインの分野別に詳細な分析ができることです。全体的にはClaudeが優勢ですが、特定の分野では異なる結果が見られます。
Design Arenaを実際に使用してみると、いくつかの特徴と課題が見えてきます。
現在のシステムでは、ユーザーが投票ボタンを押してから生成が開始されるため、待ち時間が発生します。非同期で事前に生成を行い、投票時にすぐに結果を表示できるようになれば、ユーザー体験は大幅に向上するでしょう。
Design Arenaの結果から見えてくるのは、AIモデルごとに明確な得意分野があるということです。これは実際のデザイン業務において、タスクに応じて最適なAIモデルを選択することの重要性を示しています。
例えば:
このような使い分けにより、デザイン制作の効率と品質を最大化できる可能性があります。また、自分で実際に使用した感覚と、Design Arenaの客観的な評価結果を比較することで、より精度の高いAI選択が可能になります。
Design Arenaは、生成AIのデザイン能力を客観的に評価する革新的なプラットフォームとして、デザイン業界に新たな指標を提供しています。主要な発見をまとめると:
Design Arenaのような評価プラットフォームは、AIデザインツールの選択において重要な参考資料となります。定期的にチェックすることで、各AIモデルの進化と、自分のデザインニーズに最適なツールの選択に役立てることができるでしょう。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Design Arenaは、生成AIのデザイン能力を客観的に比較評価できるプラットフォームです。ユーザーがデザインタスクを入力し、複数のAIモデルが生成したデザインを匿名で比較投票することで、各モデルの実力を測定します。ELOレーティングシステムを採用し、公平なランキングを提供します。
Design Arenaでは、ELOレーティングシステムという評価手法を採用しています。ユーザーの投票結果に基づき、AIモデルの勝敗だけでなく、対戦相手の強さも考慮してランキングが決定されます。勝てば勝つほどレーティングが上がり、期待値の低いモデルが勝利するとより大きくレーティングが上昇します。
全体的なデザイン能力では、Claude 4.1 Opusが最も高い評価を得ています。ウェブサイトデザイン、ゲームデザイン、3Dデザイン、UIコンポーネントといった分野で特に優位性を示しています。Geminiはデータビジュアライゼーション分野で強みを発揮しています。
Design Arenaでは、日本語でのプロンプト入力はContent Safety Systemによって制限される場合があります。もし日本語でプロンプトを入力したい場合は、DeepLなどの翻訳ツールで英語に翻訳してから入力することを推奨します。
Design Arenaの評価結果を参考に、タスクに応じて最適なAIモデルを選択することが重要です。例えば、ウェブサイトやゲームデザインにはClaude、データビジュアライゼーションにはGeminiやGPTを検討すると良いでしょう。また、実際に使用した感覚とDesign Arenaの客観的な評価を比較することで、より精度の高いAI選択が可能になります。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。