
2025/09/16(火)
画像編集ツールの多くは、「一から生成する」か「既存の画像を部分修正する」かの二択を迫ります。ツール間を行き来し、プロンプトを書き直し、エクスポートして再インポートを繰り返すうちに、本来の目的を見失ってしまう経験はありませんか?まるで走る電車の中で真っ直ぐな線を引こうとするような感覚です。
2024年9月にリリースされたSeedream 4.0は、その分離を一つにまとめました。 生成と編集を同時に処理する単一のモデルとして設計されており、「顔は全く同じままで、背景を雨の新宿の街に変更し、濡れた反射を追加して、イヤリングはそのまま残して」といった複雑な指示にも対応できます。
この記事では、Seedream Editの実践的な使い方、得意分野と苦手分野、そして確実に成果を出すためのプレイブックをお伝えします。また、Magic Hourプラットフォームとの連携による仕上げ、出力サイズ調整、微調整、ウォーターマーク処理についても解説します。
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目次
1. 精密な指示編集機能
普通の言葉で「追加」「削除」「置換」「参照」を指示でき、モデルは指定された領域のみを変更し、全体を「創造的に再解釈」することはありません。
2. 高い特徴保持力
顔、髪の生え際、ジュエリー、ロゴ、レイアウト、素材のテクスチャなど、編集で保持すべき要素を指示通りに維持します。
3. 意図理解能力
漠然としたアイデアでも具体的な画像に変換できます。「こんな感じにしたい」という感覚的な要望を形にできるのです。
4. マルチ画像入力・出力
複数の参考画像を入力し、一貫性のあるセットを出力できます。ストーリーボード、商品ラインナップ、ムードボードの作成に最適です。
5. 高解像度対応
印刷物、ヒーローバナー、店舗サイネージまで対応。Magic Hourでの微細なシャープ処理とカラー調整で仕上げれば完璧です。
Seedream EditとPhotoshopやCanvaみたいな普通の画像編集ツールって、そもそも何が根本的に違うんですか?
従来のツールは「画像を作る」か「画像を修正する」かで別々のツールを使い分ける必要がありました。PhotoshopやCanvaでは、背景を変えたい時は背景を切り抜いて、別の画像と合成して、色調を調整して…と複数のステップを踏む必要があります。一方、Seedream Editは「顔はそのままで背景だけ夜の雨の街に変更して、イヤリングも保持」のように、保持したい部分と変更したい部分を一度の指示で処理できます。つまり「生成しながら編集する」新しいアプローチなんです。
すべての編集を以下の4つのラインで考えましょう:
アイデンティティと譲れない要素をロックします。
例: 「顔、髪、ジュエリー、ラベルテキスト、ポーズは変更しないでください」
領域と操作内容を具体的に指定します。
例: 「背景を黄金時間の海辺のボケに置換し、カメラ右からソフトなリムライトを追加」
モデルが触れる範囲を制限します。
例: 「背景のみ編集。服装や肌への変更は禁止」
ルック&フィールと数量を設定します。
例: 「暖色パレット、浅い被写界深度、シネマティックだが自然な仕上がり。6つのオプションを生成」
この順序でプロンプトを書けば、バラつきが減り、成功率が上がります。うまくいかない時は、ほぼ間違いなく1番目か3番目が不足しています。
「4つのラインで考える」って言われても、実際にどう使えばいいのかピンとこないんですが…
具体例で説明すると理解しやすいです。例えば商品写真の背景を変えたい場合:①変更禁止「商品、ロゴ、ラベルは絶対に変更しない」②変更内容「背景をカフェの雰囲気に変更、温かい照明を追加」③制約「商品以外の部分のみ編集対象」④出力「暖色系、自然な仕上がり、6パターン生成」。この順序で書くだけで、毎回安定した結果が得られます。慣れてくると、この4つが編集の「設計図」になるんです。
💡 解決策
上流で大きな編集を行い、下流で細かな仕上げ(正確なクロップ、出力サイズ、微細なコントラスト調整、グレイン、オーバーレイ、ウォーターマーク)を処理します。
作業用フォルダに以下のサブフォルダを作成してください:
📁 Seedream_Project/
├── inputs/ (元画像)
├── references/ (参考画像)
├── selections/ (選定済み画像)
├── exports/ (最終出力)
└── notes.md (プロンプトメモ)
この小さな構造変化が、1日に数十枚の画像を処理する際の混乱を大幅に減らします。
ここからは、最も頻繁に使用する実践的なパターンをご紹介します。シンプルにしているのは意図的です。シンプルだからこそスケールするのです。
23個のパターンって凄く実用的そうですが、全部覚えるのは大変そう…。どれから始めるのがおすすめですか?
全部覚える必要はありません!まずはビジネスでよく使う3つから始めることをおすすめします。①背景置換(商品写真の背景を変える)、②比率リミックス(1つの画像を複数のSNS用サイズに展開)、③OOTDグリッド(商品やコーディネートを整列表示)です。この3つができれば、日常のマーケティング素材の8割はカバーできます。慣れてきたら季節セットやスタイル変換にチャレンジしてみてください。私のYouTubeチャンネルでも実際の操作を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
用途: SNSコンテンツ、ショップリスティング、ルックブック
入力: 人物写真1枚、トップス・パンツ・アクセサリー・靴の商品写真
指示例: 「白背景に等間隔の清潔なグリッドを作成。各アイテムを分離配置。『OOTD』を小さな手書きタイトルとして、『Love yourself every day』をサブタイトルとして追加」
仕上げ: ベースライングリッドの整列、文字のアンチエイリアス確認、正方形・ストーリー形式での出力
用途: チャットパック、ファンコミュニティ
入力: ヘッドショットセット、または表情豊かなポートレート1枚
指示例: 「誇張された表情で9パネルのステッカーシートを作成。端に遊び心のあるボーダーを装飾」
仕上げ: エッジの調整、512px PNG出力、zipファイルでのバンドル
用途: コミュニティや社内コミュニケーション
指示例: 「月曜日から日曜日までラベル付けした7つの関連絵文字を生成。アイデンティティと照明の一貫性を保持」
仕上げ: 小さな曜日タグ追加。一貫したベースラインでパック感を演出
用途: グッズコンセプト、玩具モックアップ、キャラクターIP
入力: クリーンな線画
指示例: 「フィジカルドール風に変換。シルエットとアイコン的特徴を保持。ニュートラルなソフトボックス照明」
仕上げ: 画像エディターで継ぎ目とスペキュラハイライトのクリーンアップ
用途: ソーシャルタイル、サムネイル、ポスター
指示例: 「ジェスチャーをサムズアップに変更。爪、指輪、袖は未変更のまま。フレーミング維持」
仕上げ: 200%で手元チェック。出力前に奇妙な指の関節を修正
用途: 一から再設計せずにキャンペーンバリエーション作成
指示例: 「中央、上下、対角線、左右レイアウトを作成。ブランドマーク保持。見出しを『Happily』『Joyfully』『Pleasantly』『Interestingly』に変更し、それぞれ異なる手書きスタイル適用」
仕上げ: カーニング、コントラスト、アクセシビリティ。小さな調整が思っているより重要
用途: 観光、イベント、ブランドの都市展開
指示例: 「上海、北京、杭州、成都でスタイル複製。メイン被写体をランドマークに変更。タグライン更新」
仕上げ: ランドマークの正確性と都市ごとのカラーハーモニー確認
用途: 1つのビジュアルを多チャンネル展開
指示例: 「16:9、9:16、3:4、2:3、4:3、3:2、1:1にリミックス。被写体スケールとセーフマージン保持」
仕上げ: ソーシャルセーフエリア追加、出力プリセット保存で後の再出力から解放
用途: エバーグリーンコンテンツカレンダー
指示例: 「背景をオフィス、森、川辺、タイムズスクエアに置換。また、春夏秋冬バージョンをポーズと構図変更なしで作成」
仕上げ: 影とエッジライトのマッチング。光の方向の不一致を目が察知します
用途: ECおよび広告
指示例: 「ソフトシャドウ付きクリーンなパックショット+ライフスタイルバナーを生成。ラベルレイアウトと素材の正確性保持」
仕上げ: セット全体での一貫したホワイトバランスとマイクロコントラスト
用途: 不動産、インテリアEC、コンテンツ
指示例: 「部屋を新中華、日本の天然木、ミッドセンチュリーモダンに改装。建築構造は保持」
仕上げ: 木材のトーンと影の色。この2つが錯覚を売ります
用途: 小規模事業のコンセプトアート
指示例: 「店舗をコーヒーショップ、バーガーショップ、軽食店に変更。それぞれに適したサイネージ、カラー、デコレーションに更新」
仕上げ: 看板とウィンドウデカールの遠近法修正
用途: ローンチキット、企業文化
指示例: 「『Seedream 4.0』名入りTシャツ、帽子、バッジ、キャンバスバッグ、ブレスレットをデザイン。パープル主体、クリーン、トレンディ」
仕上げ: リアルなプリント境界と布のしわ
用途: カルーセル広告、ヒーロータイル
指示例: 「浅い被写界深度とクリーンなタイプでタイディな広告を構成。法的テキストは未変更」
仕上げ: 複数ソース混合時のフィルムルック用再グレイン処理
用途: コミュニティ、ギフト、ブランドマスコット
指示例: 「衣装付きポートレートシリーズを作成。ペット固有の毛皮パターン保持」
仕上げ: 目とひげが決め手。過度なシャープ処理は避ける
用途: A/Bテストルック
指示例: 「アニメ、古典絵画、鉛筆スケッチ、クレイ、ベイパーウェーブでレンダリング。アイデンティティとポーズ保持」
仕上げ: 2つの勝者を選び、パレットを標準化
用途: ブログヘッダー、解説、デッキ
指示例: 「フラットシェーディングとクリスプエッジでベクター風イラストに変換」
仕上げ: アウトライン重量とカラーブロッキング
用途: プリビズ、ピッチデッキ
指示例: 「一貫したアイデンティティ、カメラアングル、照明の連続性で6〜9フレーム生成」
仕上げ: フレーム番号と時間帯ラベル追加
用途: キャラクター・商品開発
指示例: 「ニュートラル背景で一貫した比率の正面、側面、背面ビューを作成」
仕上げ: ガイドオーバーレイと微細なミスアライメント修正
用途: ブランド「ハウスルック」
指示例: 「画像Bのカラー・テクスチャスタイルを画像Aの被写体に適用。ポーズと顔のアイデンティティ保持」
仕上げ: 肌トーンを潰さないカラーハーモナイズ
用途: 実績レイアウトの高速更新
指示例: 「ポスターAのモデルを写真Bの人物に置換。照明方向とグレイン一致。クレジット未変更」
仕上げ: 髪と肩ラインでのエッジクリーンアップ
用途: ライフスタイルストーリーテリング
指示例: 「参考画像A風の手描き落書きとキャプションを、ベース写真の被写体に合わせて追加」
仕上げ: 落書きのコアパレットへのカラーマッチ
用途: バーチャルスタイリング
指示例: 「写真1のキャラクターに写真2の衣装を着せる。髪とアクセサリー保持。袖を手首に調整」
仕上げ: 布のしわと接触影
ポートレートでは、Seedream で以下の自動美化が可能です:
⚠️ 注意: これらは時短ツールであり、魔法ではありません。自動処理後は、Magic Hourプラットフォームでのジェントルなテクスチャ調整、ホワイトバランス、出力ルール設定が必要です。
以下の指定が可能です:
一貫した視点とショットサイズでセットを生成すると、コラージュではなくシステムとして見えます。
古い写真や損傷した写真には:
マルチ画像編集は Seedream の真価を発揮する領域ですが、意図を明確にラベル付けすることが重要です。
入力準備:
プロンプトでの役割明示:
「画像2のジャケット、画像3の背景、画像4のカラーグレーディングを使用。
画像1の顔は変更しないで保持してください。」
出力での明示的グループ指定:
「一貫したパレットとカメラルールで6画像セットを生成。
スタジオ、ビーチ、都市夕景で環境バリエーション。」
「間違ったものが変更された」
→ 変更してはいけないものを明示していません。アイデンティティと不変要素をロックする最初の行を追加してください。
「毎回違う結果になる」
→ 指示が短く抽象的です。パレット、照明、スコープを具体的に記述してください。バリエーションが欲しい場合は意図的に要求しましょう。
「背景は変わったが被写体がドリフトした」
→ 「背景のみ編集」を追加するか、マスクを提供してください。マルチ被写体画像では正確な場所を参照:「右上の花瓶上のフレームを変更」
「編集が物理的におかしい」
→ リクエストが写真と物理的に一貫していません。モデルが実現可能なターゲットを持てるよう、照明と視点を再記述してください。
「画像が…AI感がある」
→ テクスチャに制約を追加し、オリジナルの細部を保持してください。ジェントルなグレイン処理で仕上げれば小さな欠点が隠れます。
「もっと良くして」
「顔、髪、イヤリングは変更しないで保持。背景を夜の雨の街並みに置換、路面に見える反射を追加。カメラ右からソフトなリムライト追加でシーンに合わせる。背景のみ編集。」
コピー&ペーストしてアレンジしてください。
アイデンティティロック付き背景スワップ
「顔、髪、ポーズは変更しないで保持。背景を黄金時間の森の小径に置換。
カメラ左からライトラップ追加。背景のみ編集。」
衣装変更
「ジャケットを金ボタン付きネイビーにスワップ。シャツ、ネクタイ、肌は未変更。
袖丈は手首まで維持。布のテクスチャ保持。」
ポスターテキスト置換
「見出しを『秋のコレクション』、副見出しを『静かな贅沢』に置換。
フォント、サイズ、位置は同一保持。テキストブロックのみ編集。」
構造付きスタイル変換
「比率、顔の特徴、構図を保ちながら水彩画としてレンダリング。
ソフトエッジ、暖色パレット、紙テクスチャ、余計なオブジェクト禁止。」
セット生成
「同一被写体とパレットで6画像生成。背景をスタジオシームレス、
正午のビーチ、都市夕景でバリエーション。カメラ高さは一定保持。」
仕上げステップが毎回同じになることにお気づきでしょう。これはバグではなく機能です。一貫性がブランドを構築します。
これらの小さな境界により、法務・ブランド審査が高速化されます。1週間の往復ではなく、1つの文書でチームメンバーをオンボーディングできます。
Seedreamは大きな変更用、Magic Hourは既に気に入っている画像の迅速で正確な仕上げ用です:
💡 理想的なワークフロー
上流での大きな編集 → 下流での仕上げ処理 → 公開
ソロクリエイターや少数精鋭チームにとって、ツールは強力なだけでは不十分です。予測可能である必要があります。
Seedream Editは、以下の順序で指示することで予測可能になります:
マルチ画像入力は、各参考画像に役割を割り当てることで、頭痛の種ではなく強力な武器になります。そして退屈な部分(クロップ、出力、微調整)は、信頼できる軽量エディターで処理するのが正解です。
🎯 次のアクションプラン
AIツールの真の価値は、クリエイティブな可能性を広げることです。Seedream EditとMagic Hourの組み合わせで、アイデアから完成品まで、これまで以上にスムーズな制作フローを実現してください。
Magic Hour共同創業者兼CEO。Y Combinator採択歴を持つ起業家。
AI動画生成プラットフォーム「Magic Hour」の共同創業者兼CEO。Y CombinatorのWinter 2024バッチに採択された実績を持つ起業家である。Meta(旧Facebook)ではデータサイエンティストとして、新規プロダクト開発部門「New Product Experimentation(NPE)」にて0→1のコンシューマー向けソーシャルプロダクトの開発に従事した経験を有する。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
元記事:https://magichour.ai/blog/seedream-edit-guide
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