
2025/08/02(土)
ブラウザ操作を自動化するAIツールが次々と登場する中、Anthropicの「Claude for Chrome」がついに利用可能になりました。実際に使ってみた結果、従来のComet(Perplexity)と比較して長時間の作業継続が可能である一方、精度面での課題や処理能力の制限も見えてきました。本記事では、実際の操作画面とともに、Claude for Chromeの真の実力と現段階での限界について詳しく解説します。
目次
Claude for Chromeは、Anthropicが開発したChrome拡張機能で、ブラウザ上で直接Claude AIアシスタントを利用できる革新的なツールです。現在は研究プレビュー版として限定的に提供されており、ブラウザベースのAI操作において新たな段階を示しています。
主な機能として、以下の作業を自動化できます:
特に注目すべきは、タブグループへのアクセス機能です。複数のタブを横断して作業を継続できるため、従来のブラウザ自動化ツールでは困難だった複雑なワークフローにも対応可能です。
実際にGmailでの請求書処理を試してみました。Claude for Chromeは、Gmailにアクセスして請求書が含まれているメールを特定し、添付ファイルをダウンロードする作業を自動化できます。
ただし、現在の実装では安全性を重視した設計になっており、一件一件の操作について必ず確認を求められます。これは技術的には全自動実行も可能ですが、セーフティー機能が強く働いているためです。
より複雑なタスクとして、自社サイトの事例ページから情報を収集し、Excelやスプレッドシートにまとめる作業を試してみました。この作業では「Act without asking」モードを使用し、より自動化度の高い処理を検証しました。
Claude for Chromeは効率的なアプローチを提案してくれました:
実際の処理では、HTMLソースを解析して効率的にデータを取得する能力を示しました。ただし、作業はまだ完全ではなく、不安定さが見られました。
約30分間の処理で30件の事例データを収集できましたが、以下の課題も明らかになりました:
それでも、基本的な情報収集とリスト化は確実に実行でき、手作業と比較して大幅な時間短縮が期待できます。
長時間の使用で明らかになった重要な制限がコンテキストサイズの限界です。大量のデータを一度に処理しようとすると、途中で処理が切り上げられてしまいます。
具体的には:
現状では、ある程度の時間内で完了できるタスクをショートカットで指示し、分割して依頼していくアプローチが最も実用的です。ただし、コンテキストサイズは今後の技術進歩により拡大が期待されるため、将来的にはより長時間の定型作業を任せられるようになる可能性があります。
従来のPerplexity Cometと比較した場合、Claude for Chromeの最大の優位性は長時間の安定動作です。
比較項目 | Claude for Chrome | Perplexity Comet |
---|---|---|
動作時間 | 長時間継続可能 | 比較的短時間で停止 |
複数ページ対応 | タブ間移動に対応 | 限定的 |
確認プロセス | 丁寧な段階確認 | シンプル |
精度 | まぁまぁ(改善の余地あり) | 用途により異なる |
特に、複数のページをまたいで最終処理まで継続できる点は、ブラウザ操作エージェントとしての可能性を大きく広げています。ただし、完全自動での実行よりも、人間の確認を交えながら進める現在のアプローチの方が、実用性と安全性のバランスが取れていると感じます。
Claude for Chromeが最も効果を発揮するのは、以下のような場面です:
一方で、以下のような制限も理解しておく必要があります:
Claude for Chromeの実機検証を通じて、以下の点が明らかになりました:
現段階では完璧なツールではありませんが、ブラウザ操作自動化の新たな可能性を示す重要な一歩として評価できます。特に、繰り返し作業の効率化や、複数サイトにわたる情報収集作業において、大幅な時間短縮効果が期待できるでしょう。
Claude for Chromeは、Anthropicが開発したChrome拡張機能で、ブラウザ上でClaude AIアシスタントを利用できるツールです。Webサイトの機能テスト、リサーチ、セールスリード管理、データ入力、Gmail操作などの自動化が可能です。
Claude for Chromeを使うと、Gmailにアクセスして請求書が含まれているメールを特定し、添付ファイルをダウンロードする作業を自動化できます。ただし、安全性を重視した設計のため、操作ごとに確認を求められます。
はい、Claude for Chromeはタブグループへのアクセス機能があり、複数のタブを横断して作業を継続できます。これにより、従来のブラウザ自動化ツールでは困難だった複雑なワークフローにも対応可能です。
Claude for Chromeには、コンテキストサイズの制限があり、長時間タスクの完全自動化は困難です。また、データ整理や日本語処理において精度面での課題が残ります。複雑な判断を要する作業には不向きです。
Claude for Chromeの最大の優位性は、長時間の安定動作です。複数のページをまたいで最終処理まで継続できるため、ブラウザ操作エージェントとしての可能性が広がります。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。