
2025/08/03(日)
企業のAI活用が急速に進む中、GMOインターネットグループの社内のAI活用状況の最新調査が注目です。業務活用率95%、月間業務削減時間が1人平均43時間時間という驚異的な数字が示すように、AI活用の質と量の両面で大きな進歩を遂げています。
特に注目すべきは、複数AI利用率が80%である点と、非エンジニアの約5割がバイブコーディングを経験している点です。これらの成果は、企業のAI活用がいかに実践的で具体的な効果をもたらすかを示す貴重な事例となっています。
目次
GMOインターネットグループの最新調査では、AI活用の成熟度を示す複数の指標で大幅な改善が確認されました。業務活用率95%という数字は、ほぼ全社員がAIを業務に取り入れていることを意味し、これは企業全体でのAI浸透が完了段階に達していることを示しています。
最も注目すべき成果は、月間業務削減時間25万時間という規模です。これを従業員1人あたりに換算すると月間43時間の削減となり、週に約10時間以上の業務効率化を実現していることになります。この数字は、AIが単なる補助ツールではなく、業務プロセスそのものを根本的に変革していることを物語っています。
GMOの調査で特に革新的なのは、非エンジニアの約5割がバイブコーディングを経験しているという結果です。バイブコーディングとは、自然言語の指示を使って生成AIの支援により、プログラミング知識がなくてもアプリケーション開発や業務自動化を行う手法です。
従来、プログラミングは専門的なスキルを持つエンジニアの領域でしたが、AIの進歩により、非エンジニアでも「データを可視化するグラフを作成して」といった日常的な言葉での指示だけで、必要なコードが自動生成される環境が整いました。GMOのようなネット系企業では、IT全般に対する理解度が他業界より高いという優位性があるものの、5割という数字は業界全体にとって非常に示唆的です。
この現象の背景には、「ルールベースの処理を自分で全部自動化できれば、生産性が大幅に向上する」という実感があります。非エンジニアが自分の業務を理解し、それを自動化できるようになることで、従来では考えられなかった効率化が実現されているのです。
エンジニアにおいてはバイブコーディング利用率が6割以上に達しており、専門職においてもAI支援によるコーディングが標準的な手法として定着していることがわかります。これは、従来のプログラミング手法に加えて、AIを活用した新しい開発スタイルが確立されていることを示しています。
エンジニアがバイブコーディングを活用することで、実装の詳細に時間を費やすのではなく、より高次の設計や問題解決に集中できるようになります。「コードファースト、後で改善」のアプローチにより、アイデアを素早く形にし、その後で最適化を行うという効率的な開発サイクルが実現されています。
GMOの調査で明らかになった複数AIサービス利用率80%という数字は、AI活用の成熟度を示す重要な指標です。この高い利用率は、従業員が各AIサービスの特性を理解し、用途に応じて最適なツールを選択できるレベルに達していることを意味します。
複数AIサービスの活用により、以下のような戦略的メリットが実現されています:
この傾向は、2025年における企業AI活用の重要なトレンドとして、他の企業にも大きな示唆を与えています。
GMOの取り組みで注目すべきもう一つの要素は、ブースト支援金の効果により有料サービス契約率が増加している点です。これは、企業がAI導入を支援する補助金制度を戦略的に活用し、従業員のAI利用を促進していることを示しています。
支援金制度の活用により、従業員は個人負担なしで高機能なAIサービスを利用できるようになり、結果として利用率と効果の両方が向上するという好循環が生まれています。この取り組みは、企業がAI活用を推進する際の効果的な施策として、他の組織にも参考になる事例です。
GMOの調査結果から読み取れる重要な変化は、AI活用が「量の部分」から「質の部分」へと重点が移行している点です。初期段階では「どれだけ多くの業務でAIを活用するか」という量的な拡大が重視されていましたが、現在は「いかに効果的にAIを使いこなすか」という質的な向上が重要になっています。
質の高いAI活用を実現するための条件として、以下の要素が重要であることが明らかになっています:
この質的転換は、AI活用が単なるツールの導入から、組織の競争力を左右する戦略的能力へと進化していることを示しています。
GMOの事例から見えてくる今後の重要なテーマは、非エンジニアのバイブコーディング率をいかに向上させるかという点です。現在の5割という数字は画期的ですが、さらなる普及により組織全体の生産性向上が期待されます。
非エンジニアのバイブコーディング普及が重要な理由は以下の通りです:
この流れは、今後多くの企業で重要な競争優位の源泉となると考えられます。
GMOインターネットグループの最新AI活用調査結果は、企業のAI導入が成熟段階に入り、具体的で測定可能な成果を生み出していることを明確に示しています。主要な成果と示唆をまとめると以下の通りです:
これらの成果は、AI活用が単なる技術導入ではなく、組織の働き方そのものを変革する戦略的取り組みであることを証明しています。GMOの事例は、他の企業がAI活用を推進する際の貴重な指針となり、今後の企業競争力を左右する重要な要素として注目され続けるでしょう。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
GMOインターネットグループでは、AI活用によって従業員1人あたり月間平均43時間の業務時間削減を実現しています。これは週に約10時間以上の効率化に相当し、AIが業務プロセスを根本的に変革していることを示しています。
バイブコーディングとは、自然言語の指示(例:「データを可視化するグラフを作成して」)を使って、生成AIの支援を受けながらプログラミングを行う手法です。プログラミングの専門知識がない非エンジニアでも、アプリケーション開発や業務自動化が可能になります。
GMOインターネットグループの調査によると、非エンジニアの約5割がバイブコーディングを経験しています。これは、AIの進化によってプログラミングがより身近になり、非エンジニアでも業務効率化に貢献できるようになったことを示しています。
GMOインターネットグループが複数AIサービスを利用することで、専門性による品質向上、業務特性に応じた最適化、リスク分散といったメリットが得られます。各AIの得意分野を組み合わせ、最適なツールを選択することで、より高品質な成果物を効率的に生成できます。
GMOインターネットグループのAIブースト支援金制度は、従業員がAIサービスを利用するための費用を企業が補助する制度です。これにより、従業員は高機能なAIサービスを個人負担なしで利用できるようになり、AI利用率と業務効率化の効果向上が期待できます。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。