
2025/09/11(木)
Qwenチームが定期的にアップデートしている画像編集AIモデルに、ついに大きな転機が訪れました。2025年9月22日発表の「Qwen-Image-Edit-2509」は、単なるマイナーアップデートではありません。複数画像の同時編集、人物・商品・テキストの一貫性向上、そしてControlNetのネイティブサポートという3つの大きな進化を遂げ、実用レベルのクリエイティブツールへと生まれ変わりました。
9月版では、最大3枚の画像を組み合わせた編集が可能になり、顔の一貫性も大幅に改善されています。
こんな方におすすめです!
✅ SNSやマーケティング用の画像を効率的に作りたいデザイナーやマーケター
✅ 古い写真の修復や、人物画像の加工に挑戦したいクリエイター
✅ AI画像編集の最新トレンドをキャッチアップしたい方
✅ ControlNetを使った精密な画像編集に興味がある中級者以上の方
この記事では、Qwen-Image-Edit-2509の新機能から具体的な活用例、8月版との比較まで、実用的な視点で徹底解説します。
目次
最大の目玉機能は、マルチ画像編集です。
これまでは1枚の画像が中心でしたが、9月版では1〜3枚の同時入力に最適化され、画像連結ベースで一つの合成出力を生成できるようになりました。
<Qwen Chatで生成>
💡 具体的にできること:
この技術の背景には「画像連結」という手法が使われており、モデルが複数の視覚的文脈を同時に理解できるようになっています。
⚠️ 注意点:
1〜3枚が最適で、4枚以上では結果が安定しにくい場合があります。
複数の画像を一度に編集できるって、具体的にどういうことですか?
例えば、2人の人物の写真を1つのフレームに自然に合成したり、人物写真と背景写真を組み合わせて新しいシーンを作ったりできます。これまでは1枚ずつ編集するのがメインでしたが、9月版では最大3枚まで同時に扱えるようになりました。ただし、4枚以上になると結果が不安定になる場合があるので、注意が必要です。
単一画像の編集についても、一貫性に大きな改善が見られます。
8月版では、人物のポーズを変えたりスタイルを適用すると、顔が変わってしまうケースが報告されていました。しかし9月版では、アイデンティティ(本人らしさ)を保持する能力が格段に向上しています。
改善された主な編集タイプ:
編集タイプ | 改善内容 |
---|---|
人物編集 | 古い写真の補正、カートゥーン風変換、文化的フィルター適用時も顔が崩れにくい |
商品編集 | マーケティングポスターやロゴ作成時に商品の特徴を維持 |
テキスト編集 | フォント・色・素材の変更が可能になり、長文でもレイアウトが崩れにくい |
これにより、ミーム画像の作成やテキストオーバーレイを使った画像編集でも、元の人物や商品の特徴が失われにくくなりました。
「一貫性が向上した」とありますが、これって何がどう良くなったんですか?
8月版では、人物のポーズを変えたりスタイルを変換すると、顔が別人のようになってしまうことがありました。9月版では「本人らしさ」や「商品らしさ」を保ったまま編集できるようになっています。例えば、古い写真を補正したりカートゥーン風に変換しても、元の人物の特徴が失われにくくなりました。
以前はハック的に使うしかなかったControlNetが、完全にネイティブサポートされるようになりました。
ControlNetとは?
深度マップ、エッジマップ、キーポイントポーズ、ラフスケッチなどの構造ガイドをモデルに与えることで、より精密な制御を実現する技術です。
💡 具体的なメリット:
これにより、プロの制作現場でも実用レベルで使えるツールへと進化しています。
ControlNetって何ですか?初心者にも必要な機能なんでしょうか?
ControlNetは、深度マップやポーズなどの「構造ガイド」を使って、より精密な編集をする技術です。初心者の方は基本的な編集だけで十分ですが、「人物に特定のポーズをさせたい」「輪郭を指定して画像を作りたい」といった細かい制御が必要な場合に役立ちます。プロの制作現場向けの機能と考えて良いでしょう。
比較表で違いを明確にしてみましょう。
項目 | 8月版(2025-08) | 9月版(2509) |
---|---|---|
画像枚数 | 単一画像が中心 | 1〜3枚の同時編集に最適化 |
一貫性 | 品質の不一致が報告されるケースあり | 大幅改善(顔・商品・テキストで一貫性向上) |
テキスト編集 | 限定的な利用 | フォント・色・素材の細かい制御が可能 |
ControlNet | 非公式(ハック的使用) | ネイティブサポート |
実用性 | デモレベル | プロフェッショナルワークフローに対応 |
最も顕著な違いは、実例を見るとよく分かります。2人が同じフレームで自然に交流している画像や、実際の広告のように見える商品ポスター、そして元の人物の特徴を保持したまま補正された古い写真——これらはすべて8月版では難しかった編集例です。
実際に何ができるのか、具体例を見ていきましょう。
人物 + 人物: 2人の別々の写真を1つのフレームに自然に合成
人物 + シーン: 人物を新しい背景に配置
人物 + 商品: 商品とモデルを組み合わせた広告素材を作成
さまざまなスタイルでポートレート生成(アイデンティティを保持したまま)
古い写真の補正(劣化した画像を鮮明に)
カートゥーン風や文化的解釈(実在の人物をイラスト化)
キーポイントでポーズを変更(顔の特徴は維持)
深度マップやエッジマップによる構造制御
ミームやポスターの作成(長文テキストでもレイアウトが崩れにくい)
商品ポスターやロゴの生成(普通の商品写真から広告レベルの素材へ)
画像内テキストの置き換え(フォント・色・テクスチャの細かい制御)
8月版は、試してみると面白いけれど、実際の制作には使いにくい面もありました。しかし、Qwen-Image-Edit-2509はその認識を大きく変えます。
変わったポイント:
⚠️ 現時点での制限:
1〜3枚が最適で、4枚以上では結果が安定しにくい場合があります。
それでも、Qwenは「デモモデル」から「実用的なクリエイティブ&プロフェッショナルツール」へと大きく前進しました。
誰にとって価値があるのか?
初心者: ミームやポスター編集を、出力が壊れることなく気軽に試せる
デザイナー・マーケター: 実際のワークフローで使える品質とスピード
アーキビスト(写真修復担当者): 古い写真の補正作業に実用的に活用可能
Qwen-Image-Edit-2509は、単なるマイナーアップデートではなく、明確な転換点です。
この記事の重要ポイント:
✅ 最大3枚の画像を同時編集できるマルチ画像機能
✅ 人物・商品・テキストで大幅に向上した一貫性
✅ ControlNetのネイティブサポートによる精密な制御
✅ 8月版とは「別次元」の実用性
もしあなたが8月版を試して「使いにくい」と感じていたなら、9月版はまったく違う体験を提供してくれるはずです。まだ完璧ではありませんが、Qwenの画像編集モデルは初めて、技術デモではなく実際のクリエイティブパイプラインをサポートできるレベルに到達しました。
モデルの重みはオープンソースで公開されており、すぐにテストできます。
🚀 次のアクション:
あなたのクリエイティブプロジェクトが、Qwen-Image-Edit-2509でどう進化するか——ぜひ実際に試して、その可能性を体感してみてください!
DBS銀行のデータサイエンティスト。生成AIの実務活用や教育に精通し、情報発信も積極的に行う。
Mehul Gupta(メフル・グプタ)は、DBS銀行のデータサイエンティストであり、 著書『LangChain in Your Pocket』の著者としても知られています。 AIや機械学習の知見を発信するプラットフォーム「Data Science In Your Pocket」を主宰し、 Mediumでは350本以上の技術記事を執筆するトップライターとして活躍中です。 過去にはTata 1mgにて医療データのデジタル化にも取り組みました。 趣味はギター演奏とAI教育への貢献です。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
元記事:Qwen-Image-Edit 2509 : Goodbye Google Nano Banana
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。