
2025/08/04(月)
ChatGPTに外部アプリを連携させる「ChatGPT Apps」機能が日本でも利用可能になりました。現在日本で使える5つのアプリ(Booking.com、Canva、Coursera、Figma、Spotify)を実際に試してみたところ、それぞれ異なる特徴と課題が見えてきました。特にFigmaとCourseraは優れたユーザー体験を提供する一方、BookingとSpotifyは「相談しながら選ぶ」という新しい体験の可能性を感じさせます。
この記事では、各アプリの実際の使用感、UI/UXの特徴、そして今後のChatGPTアプリ連携の可能性について、実体験に基づいて詳しく解説します。
目次
ChatGPT Appsは、ChatGPTに外部サービスを直接連携させる機能です。設定の「アプリとコネクタ」から各サービスに接続することで、ChatGPTの会話画面内で外部アプリの機能を利用できるようになります。
現在日本で利用可能なアプリは以下の5つです:
これらのアプリは、単純にリンクを表示するだけでなく、ChatGPTの会話画面内に専用のUIを表示し、そのまま操作や議論を続けられる点が特徴的です。
Booking.comアプリでは、「ロサンゼルスの宿泊施設を探している」といった依頼をすると、ChatGPTの画面内にリッチなカード形式で宿泊施設の一覧が表示されます。
印象的だったのは、表示された結果に対してさらに質問を重ねられることです。「評価の高いものを教えて」「地図上で見たい」といった追加の要求に対して、ChatGPTが文脈を理解して適切に応答してくれます。また、「周辺のおすすめスポットも紹介します」といった提案も自動的に行われ、単なる検索ツールを超えた相談相手としての価値を感じました。
ただし、現在のUIには改善の余地があります。検索結果がチャットの流れの中に表示されるため、議論を続けていると結果が上に流れてしまい、参照しながらの相談がしづらいという課題があります。理想的には、検索結果が画面上部に固定表示され、下部のチャット欄で継続的に議論できるようなUIが望ましいと感じました。
Canvaアプリは、残念ながら日本語アカウント環境では十分に機能しませんでした。接続自体は可能ですが、実際にデザイン作成を依頼しても「URL経由のダウンロードに失敗しました」といったエラーが頻発し、安定した動作を確認できませんでした。
これは現在のベータ版段階での制限と考えられ、今後の改善が期待されます。Canvaの本来の機能を考えると、ChatGPTとの連携によってより直感的なデザイン作成体験が実現できる可能性は高いため、日本語対応の完全化が待たれるところです。
Courseraアプリは、新たなチャットUXの印象的な体験を提供してくれました。「生成AIの仕組みや原理を学びたい」という要求に対して、関連する動画コンテンツがChatGPT画面内に直接表示され、その動画を見ながらChatGPTと議論を続けることができます。
特に優れているのは、動画の内容をChatGPTが理解した上で回答してくれることです。「なぜ検索と違って結果が入ってくるの?」といった動画に関連する質問に対して、動画の文脈を踏まえた適切な回答が得られました。また、「この動画の内容を箇条書きで分かりやすくサマリーして」といった要求にも対応してくれます。
現在のところ、有料コンテンツではなく無料で視聴可能なサンプル動画のみが表示される仕様のようですが、それでも学習体験としては非常に価値があります。動画が画面上部に表示され、下部のチャット欄で継続的に質問や議論ができるUIは、新しい学習スタイルの可能性を感じさせます。
Figmaアプリは、今回試した中で最も完成度の高い体験を提供してくれました。「生成AIを学ぶための超初心者向けのコミュニティ兼ラーニングサイトのUIを設計したい。スマホアプリで利用する前提で、分かりやすくシンプルにしたい」という依頼に対して、即座に情報設計から始まり、実際のUIデザインまで作成してくれました。
特に驚いたのは、ChatGPT画面内に埋め込みUIでFigmaのデザインが表示され、全画面表示も可能なことです。作成されたデザインは完全に編集可能で、Figmaの本来の機能をそのまま利用できます。また、フローチャートの作成なども可能で、デザインプロセス全体をChatGPTとの対話を通じて進められます。
ただし、一部の機能(デザイン生成など)はFigmaの有料プランが必要な場合があります。無料プランでは利用できる機能に制限がありますが、それでもフローチャート作成やUIの基本設計は十分に活用できます。
このレベルのUI設計支援が対話形式で実現できるのは、デザイナーにとって非常に価値の高い体験だと感じました。
Spotifyアプリでは、「今日は雨天で天気が良くないので、少ししんみりとした音楽やそれを楽しむようなラジオを流したい」といった具体的な状況や気分を伝えることで、適切なプレイリストを提案してもらえます。
単にプレイリストを表示するだけでなく、「どの音楽が特にお勧めか、それぞれ解説しつつ、僕に合いそうなものを教えて」といった追加の相談にも対応してくれます。これまでのChatGPTとの会話履歴から、ある程度の個人的な嗜好を理解した上で、カスタマイズされた推奨を行ってくれる点が印象的でした。
これは単なるツール利用を超えて、「横にお勧めしてくれる人がいる」ような体験を提供しており、音楽選択における新しい価値を感じました。
今回の体験を通じて、ChatGPTアプリ連携は単なる外部ツールの呼び出しを超えた、新しいユーザー体験の可能性を秘めていることが分かりました。
特に印象的だったのは、「出てきたものに対してチャットで議論できる」という体験です。これまでのウェブサービスは、検索→結果表示→選択という一方向的な流れでしたが、ChatGPTアプリ連携では:
このような双方向的な体験は、従来のウェブサービスにはない価値を提供しています。
ChatGPTアプリ連携の普及により、「チャットUIにおけるUX」という新しい設計領域が生まれています。これは、ウェブサイトがパソコンからスマホに変わったときにUIが大きく変化したのと同様の変革期と言えるでしょう。
今後は以下のような設計原則が重要になると考えられます:
現在は5つのアプリのみですが、今後は急速に対応アプリが増加すると予想されます。また、各アプリのUI/UXも改善が進み、より洗練された体験が提供されるでしょう。
特に注目すべきは、この分野の知見を蓄積することで、自分のサービスをChatGPT上に展開する際の設計指針として活用できることです。ChatGPTアプリ連携に特化したデザイナーという新しい職種も生まれる可能性があります。
ChatGPT Appsの実際の使用体験から、以下の重要なポイントが明らかになりました:
ChatGPTアプリ連携は、単なる機能追加を超えて、ユーザーとサービスの関係性を根本的に変える可能性を秘めています。今後この分野の発展を注視し、実際に様々なアプリを体験することで、新しい時代のサービス設計に活かせる知見を蓄積していくことが重要でしょう。
ChatGPT Appsは、ChatGPTに外部サービスを連携させる機能です。ChatGPTの会話画面内で、連携した外部アプリの機能を直接利用できるようになります。例えば、旅行の計画を立てたり、デザインを作成したり、音楽を聴いたりできます。
現在日本で利用できるChatGPT Appsは5種類です。Booking.com(宿泊施設検索・予約)、Canva(デザイン作成)、Coursera(オンライン学習コンテンツ)、Figma(UI/UXデザインツール)、Spotify(音楽ストリーミング)があります。
ChatGPT AppsのFigma連携では、ChatGPTとの対話を通じてUI設計からプロトタイプ作成まで一気通貫で行うことができます。ChatGPT画面内にFigmaのデザインが埋め込み表示され、編集も可能です。フローチャートの作成もできます。
ChatGPT AppsのCoursera連携では、ChatGPT画面内でオンライン学習動画を視聴しながら、動画の内容についてChatGPTと議論することができます。動画の内容を要約してもらったり、関連する質問に答えてもらったりすることも可能です。
ChatGPT Apps連携では、チャットUIにおけるUXが重要になります。具体的には、重要な情報を会話の流れに埋もれないように固定表示したり、表示されたコンテンツと会話の文脈を自然に接続したり、チャット画面内でも直感的な操作ができるように設計することが重要です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。