プレゼンテーション資料の作成は、多くのビジネスパーソンにとって時間のかかる作業です。特に会社独自のフォーマットに合わせた資料作成は、デザインの統一性を保ちながら内容を充実させる必要があり、非常に手間がかかります。しかし、AnthropicのAgent Skillという革新的な機能を使えば、この課題を劇的に解決できることがわかりました。
Agent Skillは、Claudeに特定の専門知識やワークフローを教え込むことができる画期的なシステムです。従来のプロンプトとは異なり、再利用可能なファイルシステムベースのリソースとして機能し、指示、実行可能なコード、参考資料を一つのパッケージにまとめることができます。
さらに2025年12月にはオープンフォーマット化され、CursorやCodexでも使えるようになりました。
この記事では、Agent Skillを使った会社フォーマットの資料作成プロセスを詳しく解説し、非定型資料作成への応用可能性、さらにはチェックツールや分析ツールへの展開についても考察します。
目次

Agent Skillは、Claudeに専門的な能力を付与するための革新的なシステムです。従来の会話レベルでの指示(プロンプト)とは根本的に異なり、再利用可能なファイルシステムベースのリソースとして機能します。
最大の特徴は「プログレッシブディスクロージャー」という仕組みです。これは、必要な情報を段階的に読み込む仕組みで、以下の3つのレベルで構成されています:
この仕組みにより、多数のスキルをインストールしても、実際に使用するもの以外はコンテキストウィンドウを消費しません。つまり、効率的でスケーラブルな専門知識の管理が可能になります。

今回の実装では、会社のPowerPointテンプレートを固定し、中身だけを自動生成するAgent Skillを作成しました。具体的なプロセスは以下の通りです:
まず、Anthropicが提供しているサンプルのPowerpoint作成skillをベースとして活用しました。このサンプルを理解しつつ、会社独自のテンプレートに適用していく戦略を取りました。
重要なのは、HTMLフォーマットでテンプレートを作成することです。HTMLベースにすることで、ヘッダーとフッターを確実に固定でき、ロゴや会社情報を統一できます。
Cursorで上記サンプルを読み込み、以下のような指示を行いました。実際の様子はぜひ動画でご覧ください。そんなに難しくありません。
・ヘッダとフッタは、添付画像(自社テンプレの画像)のデザインに完全に固定し、中の部分だけを黒字テキストで作るようなデザインにしたい。
・確実にヘッダとフッタを固定するために、HTMLフォーマットを作成してしまい、それを読み込む形にするのはどうか?
・ロゴ画像はこのファイルにして
HTMLテンプレートをリアルタイムで確認しながら調整しました。特に以下の点に注意を払いました:

Agent Skillを実装してClaudeに登録した結果、以下のような成果を得ることができました:
10枚程度のスライド作成を依頼したところ、数分で完成度の高いプレゼンテーションが生成されました。従来の手作業では数時間かかる作業が、大幅に短縮されました。

生成されたスライドは以下の特徴を持っていました:
初回実行時にはいくつかのエラーが発生しましたが、これらはスキル内に追記することで今後の精度向上につながります。具体的には:
これらの問題を解決するため、デザインガイドラインを追記し、「フォントは全てNoto Sans JPにする」といった具体的な指示を加えました。

Agent Skillの真価は、非定型の資料作成にあります。従来のテンプレートベースの自動化では対応できない、柔軟で創造的な資料作成が可能になります。
Agent Skillを使えば、以下のような非定型資料も簡単に作成できます:
さらに発展的な活用として、Model Context Protocol(MCP)との連携が考えられます。これにより以下のような高度な自動化が実現できます:

Agent Skillの応用範囲は資料作成にとどまりません。特にチェックツールと分析ツールへの展開は、非常に有望な領域です。
Agent Skillを使えば、以下のような高度なチェックシステムを構築できます:
| チェック項目 | ルールベース処理 | AI処理 |
|---|---|---|
| 文書フォーマット | 構造チェック、文字数カウント | 内容の論理性、表現の適切性 |
| データ整合性 | 数値計算、参照整合性 | データの妥当性、異常値検出 |
| コンプライアンス | キーワード検索、パターンマッチング | 文脈理解、リスク評価 |
将来的には、動画データから自動的にマニュアルを作成するAgent Skillも考えられます。ただし、現在のClaudeは動画を直接読み込めないため、以下のような工夫が必要です:

Agent Skillは、従来の自動化ツールと比較して以下の優位性があります:
従来のテンプレートベースの自動化では、事前に定義されたパターンでしか対応できませんでした。しかし、Agent Skillは:
Agent Skillは使用するたびに改善できます:

Agent Skillを使った会社フォーマットの資料作成自動化は、単なる効率化ツールを超えた革新的な技術です。以下の点で、従来の働き方を大きく変える可能性を秘めています:
今回の実装では、予想以上に高品質な資料が短時間で作成でき、「楽勝でした」という感想が示すように、Agent Skillの実用性の高さが証明されました。HTMLテンプレートを差し替えるだけで他の会社でも同様の効果が期待でき、カスタマイズによってさらなる品質向上も可能です。
Agent Skillは、AIと人間の協働による新しい働き方の象徴です。定型的な作業はAIに任せ、人間はより戦略的で創造的な業務に集中する。この技術を活用することで、組織全体の生産性向上と働き方改革を同時に実現できるでしょう。
Agent Skillは、AnthropicのClaudeに特定の専門知識やワークフローを教え込むことができるシステムです。従来のプロンプトとは異なり、再利用可能なファイルシステムベースのリソースとして機能し、指示、実行可能なコード、参考資料を一つのパッケージにまとめることができます。
Agent Skillを使うことで、会社独自のPowerPointテンプレートに沿った資料作成を自動化できます。HTMLフォーマットでテンプレートを作成することで、ヘッダーやフッター、ロゴなどを固定し、デザインの統一性を保ちながら、内容を効率的に生成できます。従来手作業で数時間かかっていた作業が、数分で完了するようになります。
はい、Agent Skillは非定型資料の作成にも対応できます。顧客向けカスタマイズ資料、分析レポート、プロジェクト進捗報告、研修資料など、従来のテンプレートベースの自動化では難しかった柔軟で創造的な資料作成が可能です。
はい、Agent Skillはチェックツールや分析ツールへの展開も可能です。文書フォーマットのチェック、データ整合性の検証、コンプライアンスチェックなどを自動化できます。ルールベース処理とAI処理を組み合わせることで、より高度なチェックシステムを構築できます。
はい、外部APIを使用する場合は、APIキーの管理に注意が必要です。スキル内に直接APIキーを記載せず、適切な管理方法を検討し、配布時には「ここにキーを入れてください」という形で配布することが推奨されます。また、アクセス制御も適切に行い、必要最小限の権限のみを付与するようにしましょう。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。