NotebookLM改め「Gemini Notebook」、購入書籍10万冊が情報源に - 生成AIビジネス活用研究所

NotebookLM改め「Gemini Notebook」、購入書籍10万冊が情報源に

2026年8月30日 2026年8月30日 AIの知識&トレンド

NotebookLM改め「Gemini Notebook」、購入書籍10万冊が情報源に

Gemini Notebook新機能、Google Playの購入書籍が「専用AIの知識パーツ」になる

  • Google Play Booksで購入した対象電子書籍を、Gemini Notebookの情報源として追加できるようになりました
  • 本の専門知識と自社の現場データを組み合わせ、業務に強い「専用AI」を個人でも試作できます
  • Notebook上の試作と企業システムへの本番導入は別物で、権限や検証体制の設計は別途必要です

仕事に使えそうな本を買ったのに、読み終えたところで止まっていないでしょうか。

本当に欲しいのは要約ではなく、「自社のこの商談なら、どう判断するのか」「この部下との面談なら、どう伝えるのか」という、自分の現場に合わせた答えのはずです。

Googleが発表したGemini Notebookの新機能では、Google Playで購入した対応電子書籍を、そのまま情報源として使えるようになりました。

一見すると「本に質問できる機能」です。しかし、私はもっと大きな変化だと考えています。本の専門知識と現場のデータを組み合わせ、用途ごとの「専用AI」を作る入口が、一般ユーザーにも開かれたからです。

Google Playの購入書籍をソースにできる

今回発表された「Expert Intelligence」では、Google Play Booksで購入した対象書籍をGemini Notebookへ追加できます。

Googleは開始時点で、主要出版社の10万冊以上が対応すると発表しています。Google Play上で対象書籍に表示される「Tools」からGemini Notebookへ追加し、その本に基づく質問や分析ができます。自分でアップロードした電子書籍ではなく、Google Play Booksで購入した対象タイトルに限られます。

本をソースにすると、対話だけでなく、インフォグラフィック、音声解説、クイズなども生成できます。詳しい対象条件はGoogle Play Booksのヘルプで確認できます。

重要なのは、権利処理を無視して本を読み込ませる仕組みではない点です。利用者は対象書籍を購入している必要があります。ノートブックを共有しても本のアクセス権までは移らず、共同利用者も同じ書籍を所有していなければ、そのソースは使えません。

なお、現時点の対象は、対応する英語電子書籍の一部です。Gemini Notebookは出力言語に日本語を指定できます。一方、日本のGoogle Playアカウントで使えるかは一律には確認できないため、各書籍の詳細画面に「Tools」バッジや「Use with Gemini Notebook」が表示されるかを確認する必要があります。

本への質問より重要なこと

この機能の本質は、単に本の要約を作れることではありません。本と自分の情報を混ぜられることです。

Googleの発表では、マネジャーが本を参照して職場の難しい会話を考える例、健康分野の本と自分の日記を組み合わせる例、食のルールを扱う本と冷蔵庫の写真から食事計画を作る例が紹介されています。

本だけなら、返ってくるのは一般論です。現場データだけなら、目の前の出来事は見えても、判断の軸が弱いことがあります。

両者を組み合わせると、専門家が体系化した知識を使って、自分の状況を読み解けます。つまり、本が「読むもの」から、現場を分析するための部品へ変わるのです。

専用モデルなしで専用AIを作れる

ここでいう「専用AI」は、企業が独自に大規模言語モデルを一から開発するという意味ではありません。

汎用AIに、専門知識、現場データ、業務ルールを渡し、特定の仕事に強いAIアプリとして使うという意味です。

この考え方は、検索拡張生成(RAG)に近いものです。RAGとは、AIが回答を作る前に、指定された文書やデータから関連情報を取得し、その情報を大規模言語モデル(LLM)へ渡して、データに根拠づけられた回答を作る手法です。Google Cloudの解説でも、取得した事実をLLMが使い、根拠づけられた回答を生成する方法として説明されています。

これまでRAGは、企業が検索基盤やデータ連携を設計して導入するイメージが強いものでした。Gemini Notebookでは、その原型を個人でも試せます。

本が知識、手元の資料が現場データ、プロンプトが業務ルールです。この3つを組み合わせれば、簡易的ではあっても、目的別の専用AIをすぐに試作できます。

専門知識を各現場へ実装する

たとえば営業なら、営業や交渉の本に、顧客情報、商談メモ、失注理由を組み合わせます。「この案件の停滞要因を本のフレームワークで整理し、次回の質問案を作って」と頼めます。

マネジメントなら、1on1や評価面談の本に、面談記録やチームの課題を組み合わせます。「相手の状況を踏まえ、本の原則に沿った伝え方を3案出して」と相談できます。

人材育成なら、教科書や実務書に、社内の成功事例、失敗事例、業務マニュアルを組み合わせます。一般的な知識を説明するだけでなく、「この会社ではどう使うか」まで含んだ研修AIに近づきます。

もちろん、Notebook上の試作と、企業システムに組み込む本番運用は別です。機密情報や個人情報の扱い、参照権限、回答の検証、最終責任の所在を設計する必要があります。本の内容が古い、現場データに偏りがある、別業界の成功法則をそのまま当てはめる、といった危険もあります。

それでも、最初の検証に大掛かりな開発が不要になる意味は大きいでしょう。まず1冊と1種類の現場データで試し、価値が見えた仕事だけをシステム化できます。

本は「知識パーツ」になる

この変化は、出版の価値も変えます。

これまで本は、読者が読んで理解し、自分で現場へ翻訳する商品でした。AIが間に入ると、体系化された知識そのものが、分析や判断に使う「知識パーツ」になります。

著者や出版社にとっては、読み物を届けるだけでなく、AIが参照しやすく、適用条件や例外まで整理された知識を提供する価値が高まります。調査会社のレポート、業界データ、専門家の知見も同じです。

Googleは今後、Expert Intelligence対応コンテンツをGeminiアプリやGoogle検索のAI Modeでも利用できる機会を提供し、第三者の購読コンテンツ、ビジネス調査レポート、教科書なども追加可能にする方針を示しています。知識コンテンツをAIに接続する市場が、本格的に立ち上がる可能性があります。

企業の差は「組み合わせ」で決まる

同じAIモデルを使う企業が増えるほど、差がつくのはモデルそのものではなく、何を組み合わせるかです。

どの専門知識を選ぶのか。どの現場データを蓄積するのか。どの業務ルールを明文化するのか。そして、AIの提案を誰が検証し、実行するのか。

企業向けには、企業データに基づくAIエージェントを構築・展開・管理するGemini Enterprise Agent Platformのような基盤もあります。Agent Searchなどを組み合わせれば、企業データや接続済みアプリを参照し、引用や出典リンク付きの回答を生成できます。Gemini Notebookは、その手前で仮説を確かめる場所として使えます。

最初から完璧な専用AIを作る必要はありません。まずは、1冊の信頼できる本と、1種類の現場データを組み合わせてみる。そこで役立つ問いと判断手順が見えたら、業務ルールとして整え、必要に応じてシステムへ接続する。

「AIに何を聞くか」だけでなく、「どの知識と、どの現場を接続するか」。Gemini Notebookの新機能は、AI活用の競争軸がそこへ移り始めたことを示しています。

Gemini Notebookの最近の変更については、こちらの記事も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. Gemini NotebookでGoogle Play Booksの本を使うには何が必要ですか?

対象書籍をGoogle Play Booksで購入済みであることが条件です。書籍の詳細画面に「Tools」バッジや「Use with Gemini Notebook」の表示があれば対応しています。Googleは開始時点で主要出版社の10万冊以上が対応すると発表しています。

Q2. 日本語でも今日から使えますか?

現時点の対象は、対応する英語電子書籍の一部です。出力言語には日本語を指定できますが、日本のGoogle Playアカウントで使えるかは書籍ごとに異なるため、各書籍の詳細画面で対応表示を確認する必要があります。

Q3. 企業のシステムに組み込む場合、何に注意すべきですか?

Notebook上の試作と、企業システムへの本番導入は別物です。機密情報や個人情報の扱い、参照権限の設計、回答の検証プロセス、最終責任の所在をあらかじめ決めておく必要があります。


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