
2025/07/23(水)
目次
ChatGPTエージェントは、従来のチャット機能を大幅に拡張し、ユーザーに代わって様々なタスクを自動実行できる革新的なツールです。2025年7月18日に正式リリースされた「エージェントモード」では、従来のOperator(ウェブ操作)とdeep research(情報収集)が統合され、より複合的なワークフローの実行が可能になりました。
私が実際に数多くの検証を行った結果、ChatGPTエージェントは確かに多くのことができる一方で、現時点では明確な限界も存在することが分かりました。この記事では、実際の使用体験を基に、ChatGPTエージェントの「できること」と「できないこと」を詳しく解説し、どのような場面で活用すべきかを具体的にお伝えします。
ChatGPTエージェントの最も強力な機能は、ウェブブラウジングと情報収集です。単純な検索を超えて、複数のサイトを横断的に調査し、最新の情報を取得できます。
例えば、「映画館を探したい」という依頼をした際、約40分かけて以下のような詳細な調査を行ってくれました:
このように、ネット上の静的な情報だけでなく、リアルタイムでサイトにアクセスして最新情報を取得する能力は、従来のAIツールにはない大きな特徴です。
日常的なタスクの自動化において、ChatGPTエージェントは優秀なパーソナルアシスタントとして機能します。具体的には以下のようなタスクを実行できます:
実際に名古屋出張のホテル予約を依頼した際は、楽天トラベルにアクセスして日程をチェックし、プランを探して予約画面まで進んでくれました。ログイン操作は私が行いましたが、その後の予約完了まで一連の流れをサポートしてくれたのは非常に便利でした。
ChatGPTエージェントは、PowerPointプレゼンテーション、スプレッドシート、各種レポートの作成も可能です。
「AIエージェントの戦略を考えて」という依頼では、以下のプロセスで資料を作成してくれました:
作成された資料は編集可能なPowerPointファイルとして出力されるため、他の競合サービスがHTMLで出力して編集が困難な点と比較すると、実用性が高いと感じました。ただし、デザイン面やビジュアルの美しさについては、まだ改善の余地があります。
ChatGPTエージェントの真価は、複数の機能を組み合わせた複合的なワークフローの実行にあります。例えば:
Gmailとの連携では、直近のメールを分析して以下のような具体的な改善ポイントを指摘してくれました:
このような分析は、自分では気づきにくい課題を客観的に指摘してくれるため、非常に価値があると感じました。
YouTubeのCSVデータを分析して動画企画を提案する機能も試してみました。コードインタープリターを使ってデータを分析し、内容を検討した上で具体的なアイデアをシート形式で提案してくれます。
ただし、この機能については「まあまあ」という印象で、独創性や深い洞察に基づく提案というよりは、一般的な分析結果に留まる傾向があります。企画立案から実際の成果創出まで考えると、まだ知見のギャップが大きいと感じました。
セキュリティ上の理由から、以下のような操作は実行できません:
これらの制限は当然のことであり、むしろ安全性を担保するための重要な設計思想と言えるでしょう。
実際の使用において、以下のような速度・効率面での課題が見られました:
ChatGPTエージェントの最も大きな課題は、精度とコンテキスト維持の限界です。
情報の正確性
プロンプトの限界(精度の限界)
エージェントに丸投げする際の最初の依頼(プロンプト)では、途中過程の一つ一つの処理が大雑把になりがちです。通常のChatGPT使用時のように、特定の処理に対してプロンプトを作り込むことが難しいため、全体的なクオリティが下がる傾向があります。
この問題を解決するには、ZapierやMake.comのようなワークフロー型ツールで、一つ一つの処理ポイントに対してプロンプトを作り込む方が、圧倒的に高い精度を実現できます。
以下のようなタスクは現在のChatGPTエージェントでは対応が困難です:
Googleマップでの店舗検索と保存
「近くの高級ディナーが楽しめる店を探してリストアップして」という依頼では、Googleマップを操作して適切な店舗を検索し、私のアカウントの「保存済み」リストに追加してくれました。ログイン後のブラウジング操作は非常にスムーズで、実用性の高さを実感しました。
ファクトチェック機能
作成した資料の内容について「徹底チェックして」と依頼したところ、約20分かけて内容の妥当性を詳細に検証してくれました。ディープリサーチだけでは難しい特定サイトの確認も行い、最新情報との整合性をチェックする能力は非常に有用でした。
SEOキーワード記事の抽出
特定メディアから「SEOキーワードに合致する記事を全部探してリストアップして」という依頼を行いましたが、精度が非常に低い結果となりました。抽出された記事は指定したSEOワードと関連性が薄く、内容も期待したものとは大きく異なっていました。
この精度の低さは、複雑な過程でのプロンプト作成の限界を示しており、このようなタスクには専用のプロンプトを作成してワークフロー型で処理する方が適していると感じました。
私の検証結果から言えることは、仕事で継続的に使用するなら、ワークフロー型の方が圧倒的に安心感と安定感があるということです。一つ一つの処理ポイントでプロンプトを作り込み、不要な自律性を排除できるワークフロー型の方が、業務レベルでの信頼性は高いと感じました。
現在のChatGPTエージェントは完璧ではありませんが、今後のMCP(Model Context Protocol)対応により、連携可能なツールが大幅に拡張されると思われます。これにより、任せられるタスクの幅が広がり、自律型エージェントとしての実用性がさらに向上することが期待されます。
特に以下の分野での進化が予想されます:
ただし、業務での本格活用を考える場合は、現時点ではワークフロー型ツールとの使い分けが重要です。ChatGPTエージェントは探索的なタスクや一回限りの作業に活用し、継続的な業務プロセスにはワークフロー型を選択するという戦略が最も現実的だと考えています。
ChatGPTエージェントの検証を通じて明らかになった主要なポイントをまとめます:
ChatGPTエージェントは確実に進化しており、適切な場面で活用すれば大きな価値を提供してくれます。重要なのは、その特性を理解して適材適所で使い分けることです。完璧なツールを求めるのではなく、現在の能力を正しく把握し、効果的に活用していくことが成功の鍵となるでしょう。
ChatGPTエージェントは、従来のチャット機能を拡張したAIツールで、ユーザーに代わってウェブブラウジング、情報収集、資料作成などのタスクを自動実行できます。2025年7月18日に正式リリースされたエージェントモードでは、Operator(ウェブ操作)とdeep research(情報収集)が統合され、より複合的なワークフローの実行が可能です。
ChatGPTエージェントは、ウェブブラウジングと情報収集、パーソナルアシスタント機能(デートプラン作成、出張手配など)、ファイル・資料作成(PowerPoint、スプレッドシート)、データ分析と企画提案など、多岐にわたるタスクを自動化できます。複数の機能を組み合わせた複合的なワークフローも実行可能です。
ChatGPTエージェントは、セキュリティ上の理由から支払い情報の直接操作や金融系サービスでの取引実行、機密性の高い情報の処理はできません。また、処理速度が遅い場合や、情報の精度、文脈理解に限界があるため、複雑すぎるタスクやオフライン作業も苦手としています。
ChatGPTエージェントは、探索的なタスクや一回限りの作業、柔軟性が重要な場合に適しています。一方、ワークフロー型ツールは、業務での継続使用、高精度が要求されるタスク、複雑な多段階処理、品質の一貫性が求められる場合に適しています。継続的に使用する業務にはワークフロー型がおすすめです。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。