
2025/07/25(金)
Slackに待望のAI機能が本格的に導入され、日々のコミュニケーションと業務プロセスが劇的に変わろうとしています。私自身、実際にSlackのプロプランでこれらの機能を試してみましたが、その可能性の高さに驚きました。
Slackは多くの企業で日々のやりとりが全て蓄積される場所です。その膨大な情報を効率的にまとめ、活用できるAI機能の登場は、まさに業務効率化の革命と言えるでしょう。特に注目すべきは、通常のプロプランでもすぐ利用可能なチャンネル要約機能とハドル会議の自動文字起こし・要約機能です。
この記事では、実際の使用体験を交えながら、Slack AIの具体的な機能、プラン別の違い、そして他のAIツールとの差別化ポイントまで詳しく解説していきます。
目次
チャンネル要約機能は、長期間にわたる議論の内容を自動的にまとめてくれる機能です。私が実際に試したところ、とある議論チャンネルの内容を、見事に要約してくれました。
具体的な使用方法:
この機能により、新しくプロジェクトに参加したメンバーでも、過去の経緯を素早く理解できるようになります。特に、複数のトピックが混在するチャンネルでは、その威力を実感できるでしょう。
ハドル会議機能にAIが統合されたことで、会議の記録と要約が自動化されました。実際に使用してみると、以下のような流れで機能します:
使用手順:
私が実際に試した際は、「SlackのAI機能について議論し、チャンネル要約やハドル会議の文字起こし機能、外部AIツールとの連携について話し合った」という内容が、キレイに文字起こしされました。
短時間の会議では「要約するほどの量がありません」と表示されることもあるため、ある程度の会議時間が必要です。
AI機能は単なる要約にとどまらず、議論の中からアクションアイテムを自動的に抽出する機能も備えています。これにより、会議後の「結局何をすればいいんだっけ?」という状況を回避できます。
社内で使われる専門用語や略語、プロジェクト参照にカーソルを合わせると、AIが過去の会話履歴から自動的に説明を生成してくれます。これは特に新入社員や他部署からの異動者にとって非常に有用な機能です。
様々なアプリケーションから統合的に検索できる機能も追加されています。これは、ChatGPTやClaude、Geminiなど他のAIツールも同様の方向性を示しており、どのツールがインターフェースの主導権を握るかという競争が激化していることを示しています。
Slack AIの機能は、プランによって大きく異なります。実際のプラン画面を確認しながら、その違いを詳しく見ていきましょう。
現在私が使用しているプロプランでは、以下の機能が利用できます:
プロプランでも十分に実用的な機能が揃っており、多くの企業にとって必要十分な機能セットと言えるでしょう。
ビジネスプラスにアップグレードすると、以下の高度な機能が追加されます:
特に国際的なチームや複雑な業務プロセスを持つ企業では、ビジネスプラスの機能が大きな価値を提供すると考えられます。
機能 | プロプラン | ビジネスプラス |
チャンネル要約 | ○ | ○ |
ハドル会議記録 | ○ | ○ |
AIワークフロー生成 | × | ○ |
AI検索 | 基本機能 | 高度機能 |
毎日のまとめ | × | ○ |
AI言語翻訳 | × | ○ |
Slack AIの導入において、多くの企業が懸念するのがセキュリティとデータ保護です。Slackは、この点について明確な方針を示しています。
エンタープライズ向けのセキュリティとして、SalesforceのEinstein Trust Layerという仕組みを活用しています。これにより、企業は安心してAI機能を利用できる環境が整備されています。
週あたり50億件以上のメッセージが処理されているという規模からも、その信頼性の高さが伺えます。
重要なポイントとして、外部企業へのSlackデータアクセスは禁止されているということが挙げられます。これは「ウォールドガーデン戦略」と呼ばれるアプローチで、自社のデータを優位に保ち、他社では使わせないようにする方向性です。
Slack AIは、Microsoft CopilotやGoogle Geminiとは異なるアプローチを取っています。
MicrosoftはOffice 365とTeams全体にCopilotを統合し、包括的なオフィススイートでのAI活用を推進しています。一方、Slackは会話の中でAIが自然に現れることを重視し、ユーザーが意識せずにAIの恩恵を受けられることを目指しています。
GoogleもGeminiを各種サービスに統合していますが、Slackの強みは会話中心のAI体験にあります。日常的なコミュニケーションの流れの中で、自然にAI機能が活用される設計になっています。
Slackが公開している導入事例では、具体的な効果が数値で示されています。
これらの数値は、AI機能が単なる便利ツールではなく、実際の業務効率化と コスト削減に直結していることを示しています。
OpenTableでは、エージェントフォースAIを活用してレストラン予約業務の73%を自動化することに成功しています。これは、Slack AIが様々な業界で実用的な価値を提供できることを証明する事例です。
Slackは単なるコミュニケーションツールから、エージェント型ワークオペレーションシステムへの進化を目指しているようです。
Microsoft の統合型システムやGoogleの検索技術との競争の中で、会話中心のAI体験がどこまで優位性を保てるかが今後の焦点となるでしょう。
私自身の使用体験から言えることは、日常的なコミュニケーションの延長線上でAI機能を活用できるSlackのアプローチは、非常に自然で使いやすいということです。
Slack AIの本格展開により、私たちの働き方は確実に変わろうとしています。実際に使用してみた感想として、以下の点が特に印象的でした:
これからSlack AIがどのような進化を遂げていくのか、そして私たちの働き方をどう変えていくのか、非常に楽しみです。まずはプロプランから始めて、その効果を実感してみることをお勧めします。
Slack AIのチャンネル要約機能は、指定した期間のチャンネル内の議論内容をAIが自動で要約してくれる機能です。過去の議論の主要なポイントを素早く把握できるため、プロジェクトに途中から参加したメンバーが経緯を理解するのに役立ちます。
ハドル会議を開始し、右下の「AI議事録」をオンに設定するだけで、会議中の発言が自動的に文字起こしされます。会議終了後には、スレッド内のキャンバスに要約が自動生成されます。ただし、短時間の会議では要約されない場合があります。
プロプランでは、チャンネル要約、ハドル会議記録が利用できます。ビジネスプラスでは、これらの機能に加えて、AIワークフロー生成、AIステップファイルの要約、毎日のまとめ、高度なAI検索、AI言語翻訳などの高度な機能が追加されます。
Slack AIでは、外部企業へのSlackデータアクセスは禁止されています。また、エンタープライズ向けのセキュリティとして、SalesforceのEinstein Trust Layerを活用しています。ただし、社内の機密情報が要約されることへの懸念もあるため、適切な権限設定と利用ガイドラインの策定が重要です。
チャンネル要約機能を利用する際、対象チャンネルで要約機能を選択後、要約したい期間を指定できます。例えば、5月から6月までの議論内容を要約したい場合は、期間を5月1日~6月30日と指定することで、その期間の主要な議論ポイントがAIによって自動的に抽出・整理されます。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。