科学研究の課題で、Claude Fable 5.1は52.6%。GPT-5.6 Solは22.4%でした。
ただ、今回本当に見るべきなのは、点数の差だけではありません。
これまでのAIは、質問をすると答えてくれる「優秀な相談相手」でした。Fable 5.1はそこから一歩進み、仕事を預けられる担当者に近づいています。
調べる。試す。失敗したらやり直す。そして、終わるまで続ける。
人間が途中で何度も声をかけなくても、数時間から数日にわたる仕事を進められるようになったことが、今回最大の進化です。

Anthropicの公式発表では、科学研究向けの特定の評価でFable 5.1が52.6%、GPT-5.6 Solが22.4%でした。AIが道具を使いながら進めるプログラミングや業務自動化の評価でも、Fable 5.1がGPT-5.6 Solを上回っています。
ただし、これは「どんな質問でもFableが2倍賢い」という意味ではありません。Anthropicが選んだ課題と実行環境での結果だからです。
大事なのは、この試験が一問一答のクイズではないことです。AIが自分で資料を調べ、道具を使い、途中の結果を確かめながら、いくつもの工程を進めます。
たとえるなら、従来のAIは「質問にすぐ答える詳しい人」です。Fable 5.1は、資料一式を渡して「調査から仕上げまでお願い」と頼める人に近づきました。
賢さの競争が、回答力から「最後までやり切る力」へ移っています。

この変化が最もわかりやすいのが、先行利用企業の事例です。
投資会社Millenniumには、およそ100万回に1度しか起きないシステム障害がありました。発生頻度が低すぎて証拠をつかみにくく、社内の技術者も従来のAIも、4〜5年にわたって原因を説明できなかったといいます。
Fable 5.1は、外部企業が作ったプログラムの中身まで分解して調べ、障害が起きた瞬間の記録と突き合わせました。その結果、外部プログラム内の不具合までたどり着きました。
Rampでは、機械学習の課題に38時間連続で取り組みました。しかも、過去の実験結果がデータのラベル設定によって生じた見かけ上の成果だと途中で気づき、自分で修正してから、6つの実験を同時に進めています。
これは、長く働けるだけではありません。途中で「この道は違う」と気づき、引き返して別の道を試せるということです。
もちろん、これらはAnthropicが紹介した利用企業の報告であり、第三者による比較試験ではありません。それでも、Fable 5.1が狙っている方向はよくわかります。
「長く考える」より、「最後まで立て直せる」ことが強みです。
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Fable 5.1は、科学の世界でも「資料を読むAI」から「研究成果を作るAI」へ進んでいます。
NASAの探査機が30年以上前に集めたデータを使い、金星の約3分の1を覆う新しい標高地図を作りました。従来は10〜20キロメートル単位でしか見えなかった地形を、2〜3キロメートル単位まで細かく捉え、標高の精度も最大25%向上したとされています。
成果はZenodoで公開され、今後の金星探査で観測場所を選ぶ材料になる可能性があります。
つまりAIは、金星について説明したのではありません。大量の古い観測データを読み込み、規則性を学び、新しい地図そのものを作りました。
同じ基盤モデルを使うMythos 5.1は、薬づくりの入口となる「狙った相手にくっつくタンパク質」も設計しました。12の標的に対する成功率は約50%で、一般的な10〜15%を上回り、外部の2組織が実験で結合を確認しています。
さらに、タンパク質や遺伝子の研究で使われる7つのAIプログラムを、答えを変えずに最大2.5倍高速化しました。計算に使うGPUの費用は30〜60%減らせると試算されています。
地図を読むAIではなく、地図を作るAIです。 ただし、最後に結果が正しいかを確かめる実験や、人間の研究者による判断は、まだ欠かせません。

価格だけを見ると、Fable 5.1は安いモデルではありません。
企業がシステムから利用するAPIの通常価格は、100万トークン当たり入力10ドル、出力50ドルです。トークンとは、AIが読み書きする文章量の単位です。
GPT-5.6 Solの公式価格は入力4ドル、出力20ドルなので、単純比較ではFable 5.1が2.5倍高くなります。
OpenAI側は、少なくとも2026年11月下旬までのプロモーション価格です。一方で、一度読んだ資料をもう一度使う料金は、Fable 5.1が0.25ドル、GPT-5.6 Solが0.40ドルです。
長時間の仕事では、AIが同じ資料や過去の作業記録を何度も読み返します。そのため、仕事が長くなるほど「最初に読む料金」より「読み返す料金」が効いてきます。
時給の高い専門家でも、やり直しが少なく、早く完成させてくれるなら、案件の総額は安くなることがあります。AIも同じです。
比べるべきは単価ではなく、完了までの総額です。

Fable 5.1とMythos 5.1は、頭脳そのものは同じです。一般向けのFableに対し、Mythosは審査を通った個人や組織が、防御目的のサイバーセキュリティーや生命科学の研究開発に使えるよう、より高度な作業を許可します。
同じ専門家でも、一般社員証と特別な入室権限付きの社員証を使い分けるようなものです。Mythosは別の頭脳ではなく、特別な権限を持つFableです。
一方、OpenAIのAstraは、GPT-5.6 Solと比較され、今後提供予定の次期モデルとして扱われています。OpenAIで初めて、未知のセキュリティー上の穴を見つけ、人間が一手ずつ指示しなくても攻撃方法まで組み立てられる「重大なサイバー能力」の基準に達したと評価されています。
つまり、Mythosは「同じFableを誰にどこまで使わせるか」という仕組みです。Astraは「モデル自体のサイバー能力が新しい段階に入った」という話です。
各社の自己評価でも位置づけが違います。AnthropicはMythos 5.1を同社史上最も強いサイバーモデルとしつつ、独自基準ではまだ低い側のリスク区分だと説明しています。一方、AstraはOpenAIで初めて「重大」の基準に達しました。
Astraも高度なサイバー機能は利用者を絞って提供される予定ですが、両社の安全評価の物差しは同じではありません。そのため、公開された肩書きだけで「Astraのほうが何倍強い」とは比較できません。

Fable 5.1を試すなら、日常的な要約や短いメールから置き換える必要はありません。安いモデルでも十分にできるからです。
向いているのは、次のような仕事です。
たとえば、大きなシステムの不具合調査、複数資料を横断した市場分析、長時間かかるプログラム修正などです。
成功率だけでなく、やり直した回数、人間が直した時間、完了までの費用を記録してください。高いモデルを使っても、人間の手戻りが大きく減れば、会社全体では安くなる可能性があります。
Fable 5.1が示したのは、チャットの返事が少し良くなる未来ではありません。
仕事を渡して、翌朝に確認できる成果を受け取る。 そんな働き方が、いよいよ現実に近づいています。
科学研究の評価でGPT-5.6 Solの2倍以上のスコアを記録し、数時間から数日かかる仕事を人間の介入なしで最後まで進められるようになりました。投資会社Millenniumでは4〜5年原因不明だったシステム障害の根本原因を特定し、Rampでは38時間連続で機械学習の課題に取り組み、途中で自らの誤りに気づいて軌道修正しています。
API通常価格は100万トークン当たり入力10ドル・出力50ドルで、GPT-5.6 Sol(入力4ドル・出力20ドル)より単純比較では2.5倍高くなります。ただし資料を再利用する料金はFable 5.1が0.25ドルとGPT-5.6 Solの0.40ドルより安く、長時間タスクではこちらの料金が効いてくるため、完了までの総額で見ると安くなる仕事があります。
Mythos 5.1はFable 5.1と同じ頭脳を持ち、審査を通った個人・組織向けに防御目的のサイバーセキュリティーや生命科学研究でより高度な作業を許可する仕組みです。一方Astraは、OpenAIで初めて「重大なサイバー能力」の基準に達したと評価されたモデル自体の話であり、両社の安全評価の物差しが異なるため単純比較はできません。
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