
2025/07/25(金)
Adobe Photoshopが2025年7月に実施した大型アップデートで、生成AI機能が劇的に進化しました。今回のアップデートは、デスクトップ版、Web版、モバイル版すべてに適用され、フォトグラファー、デザイナー、コンテンツクリエイターの作業効率を根本的に変える可能性を秘めています。
私が実際に新機能を検証した結果、特に調和機能の自然さと削除ツールの精度には驚かされました。一方で、アップスケール機能については「まあまあ」という評価が適切でしょう。本記事では、これらの新機能を実際に使用した体験をもとに、その実力と活用方法を詳しく解説します。
目次
今回のアップデートで最も印象的だったのが調和(Harmonize)機能です。この機能は、画像に追加したオブジェクトとその周囲の背景をインテリジェントに分析し、自動でカラーバランスやトーンを調整します。
従来、異なる画像から切り抜いたオブジェクトを別の背景に配置すると、照明条件や色調の違いから不自然な仕上がりになることが多々ありました。しかし、調和機能を使用することで、この問題が劇的に改善されます。
実際の検証では、背景を削除したロボットの画像を室内の写真に配置した際、最初は完全に浮いた状態でした。しかし、調和ボタンを押すだけで、影のかかり方や色合いが自然に調整され、まるで最初からその場所にあったかのような仕上がりになりました。
この機能により、手間のかかる手動調整が大幅に削減され、クリエイターはより創造的な作業に時間を割くことができるようになります。特に、コンポジット作業や商品画像の作成において、その効果は絶大です。
新たに導入された生成アップスケール機能は、最大8メガピクセルの高品質な画像を生成できる機能です。解像度の低い画像を2倍、3倍、4倍にアップスケールし、詳細を補完します。
実際に低解像度の画像をアップスケールしてみた結果、確実に画質の向上は確認できました。粗い画像が「くっきり」とした仕上がりになり、細部の再現性も向上しています。
ただし、「めちゃくちゃ超変わる」というほどの劇的な変化ではなく、「まあまあ」という評価が適切だと感じました。それでも、無いよりは全然良い機能であり、特に古い写真の復元や、プリント用の高解像度画像作成には十分実用的です。
注意点として、アップスケール処理を行うと完全に別画像として出力されるため、透過背景などの設定は再度行う必要があります。
既存の削除ツールも大幅に改良され、「相当レベル高い」精度を実現しています。不要なオブジェクトを選択して削除するだけで、背景を自然に補完してくれます。
実際の検証では、以下のような結果が得られました:
削除結果は自動的に新しいレイヤーとして作成されるため、オン・オフの切り替えが可能で、編集の柔軟性も確保されています。この非破壊編集の仕組みにより、後から調整や修正を行うことも容易です。
生成塗りつぶし機能にも新たな改良が加えられ、モデル選択のピッカーが追加されました。この機能により、生成する内容をより細かく制御できるようになります。
実際の使用例では、選択した領域に対して「青色の布」などの具体的な指示を与えることで、より意図に沿った結果を得ることができました。前のバージョンと比較すると、生成品質が「だいぶアップされている」ことが実感できます。
機能名 | 評価 | 推奨用途 | 特徴 |
---|---|---|---|
調和機能 | ★★★ | コンポジット作業、商品画像作成 | 驚異的な自然さ、手動調整の大幅削減 |
削除ツール | ★★★ | 写真レタッチ、不要物除去 | 相当レベル高い精度、非破壊編集 |
生成アップスケール | ★☆☆ | 古い写真復元、プリント用画像作成 | 実用的だが劇的変化は限定的 |
生成塗りつぶし | ★★☆ | テクスチャ生成、背景作成 | モデル選択で精度向上 |
Photoshop 2025年7月アップデートで追加された新機能を実際に検証した結果、以下のような評価となりました:
特に調和機能と削除ツールの進化は目覚ましく、これまで手動で行っていた複雑な作業を自動化し、かつ高品質な結果を提供してくれます。これらの機能を適切に活用することで、クリエイティブワークの効率性と品質を同時に向上させることができるでしょう。
今後もAdobe Firefly技術の進歩により、さらなる機能改善が期待されます。クリエイターとしては、これらの新技術を積極的に取り入れつつ、自身の創造性を最大限に発揮していくことが重要だと考えます。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Photoshopの調和機能は、画像に追加したオブジェクトとその周囲の背景を分析し、カラーバランスやトーンを自動で調整する機能です。異なる画像から切り抜いたオブジェクトを合成する際に生じる不自然さを解消し、自然な仕上がりを実現します。特にコンポジット作業や商品画像の作成に役立ちます。
Photoshopの生成アップスケール機能は、低解像度の画像を最大4倍までアップスケールし、画質を向上させる機能です。古い写真の復元や、印刷用の高解像度画像を作成する際に役立ちます。ただし、劇的な変化は期待できないため、過度な期待は禁物です。また、アップスケール処理を行うと透過背景が失われる点に注意が必要です。
Photoshopの削除ツールは大幅に改良され、不要なオブジェクトを選択して削除するだけで、背景を自然に補完してくれるようになりました。緑の植物や家具、複雑な形状の物体でも、周囲の環境を分析して適切に背景を生成します。削除結果は新しいレイヤーとして作成されるため、非破壊編集が可能です。
Photoshopの生成塗りつぶし機能に追加されたモデル選択ピッカーを使用することで、生成する内容をより細かく制御できます。例えば、選択した領域に対して「青色の布」などの具体的な指示を与えることで、より意図に沿った結果を得ることが可能です。以前のバージョンと比較して、生成品質が向上しています。
Photoshopの生成AI機能を使用する際は、著作権への配慮が必要です。生成されたコンテンツを商用利用する場合は、適切な権利処理を確認しましょう。また、AI生成結果は必ず人間の目で最終チェックを行い、オリジナリティの維持も心がけましょう。AI機能に依存しすぎず、クリエイターとしての独自性を保持することが重要です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。