
2025/08/15(金)
ついにGPT-5がリリースされましたね。今回は実際に様々なユースケースで試してみた結果をお伝えしたいと思います。
結論から言うと、劇的な進化というよりは、全体の水準が底上げされ、使える可能性が10~20%向上したという印象です。これは決して悪い意味ではありません。むしろ、AIツール全体のレベルが一気に押し上げられることで、AI時代がより加速していくと感じています。
目次
まず最初に感じたのは、圧倒的な処理速度の向上です。従来のモデルと比べて、レスポンスが異様に早い。これは相当な数の人が同時にアクセスしているにも関わらず、この速度を維持しているのは驚きです。
GPT-5の主な特徴として以下が挙げられます:
特に注目すべきは、ReasoningやThinkingモードを使わなくても、十分に高品質な回答が得られる点です。これにより、処理速度が大幅に向上しているのでしょう。
実際にGPT-5のコーディング能力を検証するため、HTML5で写真編集アプリを作成してもらいました:
最初のバージョンでは、一部挙動がNGな状況もありましたが、このレベルのアプリが簡単な指示だけで完成するのは驚きです。従来のモデルと比べて、長いコードを一度に返すことができるのも大きな特徴です。GeminiやClaudeレベルになった印象があります。
実際のビジネス活用例として、私のYouTubeサブチャンネルの過去90日間のデータを分析してもらいました。GPT-5は以下のような分析を行いました:
印象的だったのは、データ分析から具体的な改善提案まで一貫して行ってくれる点です。これまらのChatGPTでも同じことができましたが、一段提案レベルは上がっている印象があります。
なおグラフでは日本語フォントはデフォルトでは使えませんでした。
GPT-5で資料スライドの作成を依頼してみました。作ってみると、前回のChatGPTよりはレベルが高く、見やすいスライドができている印象があります。
これらのタスクももともとClaudeやGeminiが得意であり、この2つのAIと比べるとすごく勝っているかというとそうではない印象ですが、ChatGPTのこういった資料作成のレベルすらも上がっているというのはプラスな材料かなと思います。
GPT-5のクリエイティブライティング能力も検証してみました。特に印象的だったのは、キャラクターの声と視点を理解しやすくなった点です。
具体的には:
実際に小説形式での文章作成を依頼したところ、非常に短時間で高品質な文章が生成されました。さらに、GPT-5のベンチマークスコアなどの技術的な情報を盛り込んだ形での再作成も、ウェブサーチを活用して正確に行ってくれました。
GPT-5では、通常モードに加えてThinkingモードとProモードが利用できます(ProモードはChatGPT Proプラン限定)。
モード | 特徴 | 適用場面 |
通常モード | 高速レスポンス、基本的なタスク | 日常的な質問、簡単なコーディング |
Thinkingモード | 複数ステップのタスク実行 | リサーチ、複雑な分析 |
Proモード | 高精度、詳細な推論 | 専門的な分析、複雑な問題解決 |
プロモードでは処理時間が8分程度かかることもありますが、その分非常に詳細で高品質なアウトプットが得られます。例えば、Webページの作成では、Proモードの方がよりレベルが高いページを作成してくれました。
GPT-5の料金体系も注目すべきポイントです:
モデル | 入力料金 | 出力料金 | 特徴 |
GPT-5 | $1.25 | $10 | 最高性能 |
GPT-5 mini | $0.25 | $2 | コストパフォーマンス重視 |
Gemini 2.5 Pro | $1.25 | $10 | GPT-5と同等 |
Gemini 2.5 Flash | $0.3 | $2.5 | 最安値 |
GPT-5 miniが特に注目です。GPT-4oと比較して、インテリジェンスレベル、マルチモーダル性能、コーディング能力が圧倒的に高いにも関わらず、コストは抑えられています。Gemini 2.5 Flashを意識した価格設定で、コストパフォーマンスを重視する方向性が見えます。
GPT-5の客観的な性能を示すベンチマークスコアでは、ほぼ全ての項目でGPT-5が他のモデルを上回っています。特に以下の分野で顕著な改善が見られます:
ただし、日本語での処理については、まだ英語ほどの精度には達していない印象があります。特に複雑なグラフ作成や詳細な日本語での指示については、改善の余地があると感じました。
GPT-5では安全性の面でも大きな改善が見られます:
これらの改善により、ビジネス利用での信頼性が大幅に向上しています。特に企業での導入を考える際に、これらの安全性機能は重要な判断材料となるでしょう。
GPT-5は既に多くの企業で活用されており、以下のような事例が報告されています:
これらの事例から分かるのは、GPT-5が単なるツールではなく、実際のビジネスパートナーとして機能しているということです。
GPT-5の大きな特徴の一つは、様々なサービスとの統合です:
今回のGPT-5リリースで最も重要なのは、AIツール全体のレベルが一気に底上げされるということです。GPT-5をベースとする様々なツールやサービスが、一斉にアップグレードされることで:
これにより、AI時代がより加速していくと考えられます。使っている人と使っていない人の差が、さらに大きく開いていく可能性があります。
実際に様々なユースケースでGPT-5を試してみた結果、以下のような印象を持ちました:
これは決してネガティブな評価ではありません。むしろ、実用的な改善が着実に積み重ねられていることを示しています。AIを日常的に使っている人にとっては、この5~20%の改善が積み重なることで、大きな生産性向上につながるでしょう。
一方で、AIを使っていない人との差は確実に広がっていきます。AIをメンバーとして仕事に取り入れるかどうかで、今後大きな差が生まれることになりそうです。
GPT-5の実際の使用体験をまとめると、以下のポイントが重要です:
GPT-5は「これで全てが変わる」というような劇的な変化をもたらすものではありませんが、AI活用の水準を確実に押し上げる重要なアップデートです。既にAIを活用している人にとっては、この改善により更なる生産性向上が期待できます。
今後は、このGPT-5をベースとした様々なツールやサービスが登場し、AI時代がより本格化していくことでしょう。重要なのは、この変化の波に乗り遅れないよう、積極的にAIを活用していくことだと思います。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
GPT-5は、処理速度、コーディング能力、クリエイティブライティング、データ分析など、AI活用の全体的な水準を向上させます。特に処理速度が大幅に改善され、より複雑なタスクも迅速にこなせるようになります。また、安全性と信頼性も向上しており、ビジネス利用での実用性が高まっています。
エージェントモードは、リサーチや複雑な分析など、複数ステップを要するタスクに適しています。プロモードは、専門的な分析や複雑な問題解決など、高精度で詳細な推論が必要な場合に適しています。通常モードは、日常的な質問や簡単なコーディングなど、高速なレスポンスが求められる場合に使いましょう。
GPT-5 miniは、GPT-4と比較してインテリジェンスレベル、マルチモーダル性能、コーディング能力が大幅に向上しているにも関わらず、コストが抑えられています。コストパフォーマンスを重視するユーザーに適しており、Gemini 2.5 Flashを意識した価格設定となっています。
GPT-5は、バイオテクノロジー分野での正確性と意思決定支援、Uberでの顧客対応レベルの向上、製薬会社での研究プロトコルの改善、マーケティングでのローンチプラン作成、エンジニアリングでのダッシュボード作成、ファイナンスでのシミュレーション作成など、様々な分野で活用されています。
GPT-5は、Googleドライブとの連携によるファイル検索・分析、カレンダー連携によるスケジュール管理の自動化、Cursorとの統合によるコード編集効率の向上、音声機能による自然な対話、画像生成機能など、様々なサービスと統合されています。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、
AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、
チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。