
2025/09/25(木)
2025年9月、AI業界に激震が走りました。OpenAIとOracleが締結した5年間で3000億ドル(約45兆円)という史上最大級のデータセンター契約が発表されたのです。この契約の規模感は、Oracleの年間売上574億ドルを大幅に上回る驚異的なもので、クラウド業界の勢力図を根本から変える可能性を秘めています。
この契約により、Oracleの株価は40%以上急騰し、創業者が億万長者ランキング1位に躍り出るという劇的な変化をもたらしました。しかし、この巨額契約には大きなリスクも潜んでいます。果たしてOracleは、自社の年間売上を5倍以上も上回る規模の契約を確実に履行できるのでしょうか?
目次
今回のOpenAIとOracleの契約は、テクノロジー業界史上最大級のインフラ契約として位置づけられています。5年間で3000億ドルという金額は、年平均約600億ドルの支出を意味し、これは現在のOracleの年間売上574億ドルを上回る規模です。
この契約は「Project Stargate」の重要な一環として位置づけられており、総額5000億ドル規模のAIインフラ構築計画の約6割を占めることになります。Project Stargateは、ソフトバンクグループ、OpenAI、Oracle、MGXの4社が参画する4年間の大規模プロジェクトで、全米で200万個以上のAI用チップの製造と最大10万人の雇用創出を目指しています。
契約の詳細を見ると、以下のような構成になっています:
項目 | 規模 | 詳細 |
総契約額 | 3000億ドル(約45兆円) | 5年間の契約期間 |
年間平均支出 | 約600億ドル | Oracleの年間売上を上回る規模 |
データセンター容量 | 4.5ギガワット | フーバーダム2基分相当の電力 |
契約開始時期 | 2027年 | 段階的なキャッシュ化を予定 |
この契約がOracleに与えるインパクトは、まさに革命的と言えるでしょう。現在のOracleの年間売上574億ドルのうち、クラウド事業は245億ドルを占めています。しかし、この3000億ドル契約が完全に履行されれば、Oracleはクラウド事業会社になってしまうぐらいの規模感になる可能性があります。
株式市場の反応も劇的でした。契約発表後、Oracleの株価は40%以上急騰し、時価総額は約8200億ドル(約100兆円)に達しました。この急騰により、Oracle創業者のラリー・エリソン氏が億万長者ランキングで1位に躍り出るという歴史的な出来事も起こりました。
クラウド市場における地位の変化も注目すべき点です。これまでAmazon、Microsoft、Googleの「ビッグ3」が支配していたクラウド市場において、Oracleは第4の主要プレイヤーとしての地位を確立する可能性があります。この契約により、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)はトップティアのハイパースケールプロバイダーの地位に押し上げられることが期待されています。
しかし、この巨額契約には重大な課題とリスクが存在します。最も重要な点は、これは契約を結んでいる段階であって、処理できるかは分からんということです。将来履行義務の総額であって、うまくできたら売上計上できるという性質のものなのです。
財務的な観点から見ると、OpenAI側にも大きなリスクがあります。OpenAIの2025年6月時点での年間収益は約100億ドルですが、この契約により年平均600億ドルの支出義務が発生します。これは現在の収益の6倍にあたる巨額の財務負担となり、OpenAIのキャッシュフローと収益性に深刻な疑問を投げかけています。
技術的な課題も山積しています:
Oracleは、この契約のキャッシュ化について2027年以降に段階的に行うことを想定しています。これは、一度にすべての契約を履行するのではなく、段階的に実現していくアプローチを取ることを意味します。
Project Stargateの一環として、テキサス州アビリーンでの最初のスーパーコンピューティングキャンパスの建設が既に開始されており、この追加の4.5ギガワット容量と合わせて、総計5ギガワット以上のAIデータセンター容量が開発される予定です。
雇用創出の面でも大きな期待が寄せられています。この大規模投資により、建設分野とオペレーション分野で最大10万人の雇用創出が見込まれており、アメリカの再工業化と経済成長に大きな影響を与えると予想されています。
この契約は、クラウド業界全体に大きな波及効果をもたらすと考えられます。Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudといった既存の大手プロバイダーは、Oracleの急激な台頭に対応する必要に迫られるでしょう。
特に注目すべきは、このレベルの取引を、設立10年のベンチャーであるOpenAIが仕掛けているのが驚異的という点です。OpenAIという比較的新しい企業が、Oracle のような超でかい昔からの大企業の規模感を超えるぐらいの処理を要求しているという事実は、AI業界の急速な成長と変化を象徴しています。
この動きは、他のAI企業やテクノロジー企業にも影響を与える可能性があります。大規模なAIインフラへの投資が競争優位性の鍵となる中、各社は自社のインフラ戦略を見直す必要があるかもしれません。
OpenAIとOracleの3000億ドル契約は、テクノロジー業界史上最大級の取引として、多方面にわたって大きなインパクトをもたらしています:
この契約が完全に履行されるかどうかは今後の展開次第ですが、間違いなくテクノロジー業界の歴史に残る重要な転換点となるでしょう。相当難しい案件になることは間違いありませんが、成功すれば両社にとって、そして業界全体にとって革命的な変化をもたらす可能性を秘めています。
OpenAIとOracleが締結した、5年間で3000億ドル規模のデータセンターに関する契約です。これはテクノロジー業界史上最大級のインフラ契約であり、Oracleの年間売上を上回る規模です。
Oracleのクラウド事業が大幅に拡大する可能性があります。契約発表後、Oracleの株価は急騰し、クラウド市場における地位を確立する可能性があります。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)がトップティアのハイパースケールプロバイダーの地位に押し上げられることが期待されています。
OpenAI側の財務負担が大きいことがリスクとして挙げられます。OpenAIの年間収益を大幅に上回る支出義務が発生するため、キャッシュフローと収益性に影響を与える可能性があります。また、電力供給やデータセンター建設、運用体制の構築など技術的な課題も多く存在します。
Project Stargateは、ソフトバンクグループ、OpenAI、Oracle、MGXの4社が参画する4年間の大規模プロジェクトで、全米で200万個以上のAI用チップの製造と最大10万人の雇用創出を目指す、総額5000億ドル規模のAIインフラ構築計画です。今回のOpenAIとOracleの契約はその重要な一環です。
Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudといった既存の大手プロバイダーは、Oracleの急激な台頭に対応する必要に迫られると考えられます。大規模なAIインフラへの投資が競争優位性の鍵となる中、各社は自社のインフラ戦略を見直す必要が出てくる可能性があります。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。