
2025/09/19(金)
2025年9月現在、AI動画解析はもはや未来の話ではありません。セキュリティ監視、顧客対応、マーケティングキャンペーン、クリエイティブ制作など、あらゆるビジネスシーンで日常的に活用されている必須ツールとなっています。
数週間にわたって複数のプラットフォームを実際にテストした結果、安定した成果を出し続ける6つのツールを厳選しました。
この記事はこんな方におすすめです:
✅ 動画データの活用を検討している企業担当者
✅ 効率的な動画解析ツールを探しているマーケター
✅ セキュリティや監視システムの導入を考えている方
✅ AI技術を使ったビジネス改善に興味がある方
目次
動画は現代の組織にとって最も価値の高いデータソースです。静的なテキストや画像とは異なり、動画には文脈、感情、リアルタイムの行動が含まれています。
しかし、ここに大きな課題があります。
スケールの問題:
AI動画解析は、検出、タグ付け、インサイト生成を自動化することでこの問題を解決します。コンプライアンス違反の検出、顧客感情の測定、リアルタイム活動の追跡など、生の映像を構造化されたインサイトに変換します。
具体的なメリット:
動画データのスケールの問題って、具体的にどれくらい大変なんですか?実感が湧かないのですが…
想像以上に深刻な問題です。例えば、中規模のオフィスに10台のセキュリティカメラがあるとすると、1週間で約1,680時間の映像が蓄積されます。これを人間が全てチェックするには、フルタイムで21人の専任スタッフが必要になる計算です。コールセンターなら、月に数千件の通話録音が発生し、1件15分として手動チェックに750時間かかります。AI解析なら、この作業を数分で完了し、重要な部分だけを抽出してくれるわけです。
ツール名 | 最適用途 | 主要機能 | プラットフォーム | 無料プラン | 料金 |
---|---|---|---|---|---|
Insight7 | 顧客対応分析 | 感情・コンプライアンス検出、通話スコアリング | Web | 無料トライアル | $16/月〜 |
Google Cloud Video Intelligence API | メディアタグ付け・検索 | オブジェクト・動作ラベリング、音声テキスト化、モデレーション | Cloud API | 1,000分無料 | 従量課金 |
Amazon Rekognition Video | セキュリティ・監視 | 顔認識、追跡、リアルタイム警告 | AWS | 12ヶ月無料 | 従量課金 |
Microsoft Azure AI Video Indexer | 企業監視 | 保存動画の自動インデックスが中核/リアルタイムは別構成 | Azure | 無料版あり | 従量課金 |
Clarifai | カスタマイズ可能 | 事前学習+カスタム動画AI、API+UIワークフロー | Cloud/オンプレミス | 無料プランあり | $1/月〜 |
OpenCV AI Kit (OAK) | エッジベースプロトタイピング | オンデバイスAI、深度センシング、ジェスチャー・顔認識 | ハードウェア+SDK | OSS中心(MIT) | ハードウェア代のみ |
API系のツールって開発者向けって書いてありますが、非エンジニアの会社でも導入できるものなんでしょうか?
実は、ノンエンジニアでも導入可能なツールがあります。Insight7のようなサービスは、メールアドレスでアカウント作成後、動画や音声ファイルをアップロードするだけで分析開始できます。一方、Google Cloud Video Intelligence APIやAWS Rekognitionは確かに開発者向けで、APIキーの設定やプログラミングが必要です。まずはInsight7やClarifaiの無料プランで効果を確認し、本格的なカスタマイズが必要になった段階で開発者向けツールを検討するのが現実的なアプローチです。
料金: 月額16ドルから(無料トライアル利用可能)
公式サイト:https://insight7.io/
Insight7は顧客向け会話の分析に特化したプラットフォームです。音声テキスト化、感情検出、コンプライアンス分析を組み合わせています。汎用的な監視ツールではありませんが、コールセンター、医療相談、金融アドバイザリー、営業レビューでは他の追随を許しません。
フィンテック企業の100時間のリアル通話録音をInsight7で解析した結果、コンプライアンスリスク(エージェントが開示声明を見逃した事例など)を的確にフラグし、トーンや音声の手がかりから顧客の不満の瞬間を特定しました。
カスタムパイプラインの構築が必要だったClarifaiと比較して、Insight7はプラグアンドプレイで使用開始できる点が魅力です。開発工数をかけずに即座に成果を得たい組織には理想的です。
このツールは「インタラクションスコア」も生成し、通話品質全体を数値化してスタッフのコーチングに活用できます。単純な音声テキスト化よりもはるかに実用的でした。
💡 最適なワークフロー
人対人のやり取りが中心の業務なら、Insight7が正解です。
SalesforceやHubSpotなどのCRMと連携可能。トレーニングダッシュボードへの分析データエクスポートも対応しています。顧客チームを拡大中のスタートアップにとって、このスムーズな連携は重要な要素です。
料金: 最初の1,000分無料、その後従量課金制(大量ワークロード向けスケーラブル料金)
重要: Celebrity recognition機能は2024/9/16に非推奨化、2025/9/16終了予定
公式サイト:https://cloud.google.com/video-intelligence
Google Cloud Video Intelligence APIは、動画からラベル、動作、音声テキスト化を抽出する開発者向けAPIです。大規模なタグ付け、アーカイブ、コンテンツ検索に最適です。
500時間以上のスポーツアーカイブでテストしたところ、「ゴール」「コーナーキック」「観客の歓声」などのイベントを映像全体で自動タグ付けしました。これにより、ハイライトを数秒で検索できるようになりました。
AWS Rekognitionと比較すると、Googleの強みはメタデータ抽出とアーカイブ検索にあり、AWSはリアルタイム監視により強みを持っています。
感情やコンプライアンス分析では力不足です。顧客通話レビューではInsight7が圧倒的に優れていました。しかし、放送事業者やメディアライブラリにとっては、Google Cloud Video Intelligence APIは無敵の存在です。
💡 最適なワークフロー
Cloud StorageやBigQueryを含むGCPパイプラインと密接に統合されています。すでにGoogleインフラにコミットしている企業には強力なソリューションです。
料金: 従量課金制(アカウント作成から12ヶ月間無料利用可)
公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/rekognition/video-features/
Amazon Rekognition Videoは、リアルタイム顔認識、人物追跡、不適切コンテンツ検出に特化しています。監視とセキュリティ重視のワークフロー向けに構築されています。
マルチカメライベントフィードでのテストでは、フレーム間で個人を追跡し、セキュリティ異常をフラグしました。Google Cloud Video Intelligence APIと比較して、継続性追跡においてはるかに優れており、空港、スタジアム、小売監視に適しています。
ただし、顧客感情や感情分析を求めるチームには物足りません。その用途にはInsight7やClarifaiの方が適しています。
💡 最適なワークフロー
S3やKinesisなどのAWSサービスと組み合わせて最適に動作します。すでにAWSで構築している場合、統合はほぼシームレスです。
料金: 従量課金制(無料試用版アカウントあり)
公式サイト:https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-video-indexer
Azure AI Video Indexerは、ストリーム取り込みとAI駆動イベント検出を組み合わせています。すでにMicrosoftサービスを使用している企業には強力な選択肢です。
小売映像のテストでは、シーン/ショット分割やメタデータ抽出をもとに、ダッシュボードで分析し、リアルタイムイベント警告を生成しました。AWS Rekognitionと比較して、Power BIなどのレポートツールとのより豊富な統合を提供 – 運用チームには有用です。
ただし、Azure AI Video Indexerはより多くのセットアップが必要です。社内ITチームがなければ、小規模企業には圧倒的かもしれません。
💡 最適なワークフロー
リアルタイム監視が意思決定ダッシュボードに反映される大企業
Azure cloud、Cognitive Services、エンタープライズレポートと深く統合されています。
料金: 有料プランは月額1ドルから(無料プランあり)
公式サイト:https://www.clarifai.com/
Clarifaiは、柔軟性とスケーラビリティの両方を必要とするチーム向けにカスタマイズ可能な動画AIモデルを提供します。代理店、国防、eコマース、デジタル資産管理に適しています。
店舗映像から小売SKUを認識するカスタムモデルをClarifaiで構築しました。2日以内に、システムは製品を正確にタグ付け – 汎用APIでは処理できないタスクでした。
Insight7と比較すると、Clarifaiはより多くのセットアップが必要ですが、はるかに大きな自由度を提供します。
これにより、クリエイティブ代理店にとって魅力的になります。実際、多くの代理店が動画解析をソーシャルメディアマーケティングに統合している事例があります。
💡 最適なワークフロー
多様なユースケースで柔軟性が必要な場合
豊富なAPI、機密データ向けオンプレミス展開をサポート(国防や医療分野には大きなメリット)。
料金: ハードウェア代のみ(ソフトウェアはOSS中心(MIT))
OpenCV AI Kit(OAK)は、エッジAI用のオープンソースハードウェア・ソフトウェアの組み合わせです。ロボティクス、AR/VR、IoTでのオンデバイス動画解析に優れています。
OAKを使用してスマートホームプロジェクトをプロトタイプ化し、ジェスチャー認識でデバイスを制御しました。システムはローカルで実行され、遅延はほぼゼロ – クラウドAPIに対する大きなメリットです。
Azure AI Video Indexerと比較すると、OAKはエンタープライズの洗練さに欠けますが、柔軟性と速度では優れています。
ビジョンベース製品を実験しているスタートアップには非常に価値があります。
💡 最適なワークフロー
エッジベース製品をプロトタイピングする
OpenCVライブラリとロボティクスフレームワークとの統合をサポートしています。
OAKなどのキットがAIをデバイスに押し上げ、クラウドへの依存を減らしています。
Insight7などのツールや新興プラットフォームは、より深いコンテキストのために音声、動画、テキストを融合しています。
企業は現在、プライバシーと規制要件を処理するツールを求めています。
💡 クリエイティブ業界で構築している場合
動画解析が生成ワークフローとどのように重複するかについて、2025年のAIデザイントレンドも参考になります。
万能な勝者は存在しません。最適なツールはあなたのユースケースによって決まります。
ツール名 | SNS/広告 | Eコマース | セキュリティ | チーム/通話 |
---|---|---|---|---|
Insight7 | ✗ | ✗ | ✗ | ✔✔✔ |
Google Cloud Video Intelligence API | ✔✔ | ✔ | ✗ | ✔ |
AWS Rekognition | ✗ | ✔ | ✔✔✔ | ✗ |
Azure AI Video Indexer | ✗ | ✔ | ✔✔ | ✔ |
Clarifai | ✔ | ✔✔ | ✔ | ✔ |
OAK | ✔ | ✔ | ✔ | ✗ |
結論
6つもツールがあると迷ってしまいます。まず最初に試すべきツールってどれですか?
業務用途で最も汎用性が高いのはInsight7です。多くの企業が「顧客対応の改善」から動画解析AIを導入するケースが多く、営業会議の録画、オンライン商談、カスタマーサポートなど幅広い用途で即座に効果を実感できます。次にClarifaiの無料プランで「カスタム分析」を体験し、自社特有のニーズがあるかを確認。そのあとで、セキュリティが重要ならAWS Rekognition、大量のアーカイブ管理ならGoogle Cloud Video Intelligence APIを検討するという順序がおすすめです。
動画解析AIツールを選ぶ際は、以下を確認してください。
この記事で紹介した基本をマスターしたら、ぜひ各ツールの無料トライアルを活用して実際に触ってみてください。そうすることで、あなたの組織に最適なソリューションがより明確になるはずです。
動画データの可能性は無限大です。適切なツールを選択して、ビジネスの次のレベルへと押し上げていきましょう!
Q: 動画を解析できるAIはありますか?
A: はい。Insight7、Google Cloud Video Intelligence API、AWS Rekognitionなど、顧客通話から監視まで異なる側面に特化したツールがあります。
Q: リアルタイム検出にAIを使用できますか?
A: はい。AWS RekognitionとAzure AI Video Indexerは、リアルタイムイベント検出用に設計されています。
Q: 柔軟なカスタマイズに最適なAIはどれですか?
A: ClarifaiとOAKが最も多くのカスタマイズオプションを提供し、開発者や代理店に適しています。
Q: スタートアップに最も手頃なAIはどれですか?
A: Insight7とClarifaiの両方がエントリーレベルの価格設定を提供し、OAKはハードウェア代のみのOSS中心です。
Magic Hour共同創業者兼CEO。Y Combinator採択歴を持つ起業家。
AI動画生成プラットフォーム「Magic Hour」の共同創業者兼CEO。Y CombinatorのWinter 2024バッチに採択された実績を持つ起業家である。Meta(旧Facebook)ではデータサイエンティストとして、新規プロダクト開発部門「New Product Experimentation(NPE)」にて0→1のコンシューマー向けソーシャルプロダクトの開発に従事した経験を有する。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
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Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。