
2025/09/29(月)
「AIで音楽を作りたいけど、いまいちクオリティが低い…」そんな悩みを抱えていませんか?
これまでのAI音楽生成ツールには、大きく2つの問題がありました。
そんな中、香港中文大学、Tencent、南京大学の研究チームが開発した「SongBloom」が、この課題を解決する画期的なAIシステムとして注目を集めています。
こんな方におすすめです!
🎵 歌詞から本格的な楽曲を作りたいクリエイター
🎵 Sunoの代替となる無料ツールを探している方
🎵 AI音楽生成の最新技術に興味がある開発者
目次
SongBloomは、単なる音声クリップの生成ではなく、歌詞・ボーカル・楽器・イントロ・サビを含む完全な楽曲を生成することを目的としたAIシステムです。
SongBloomの仕組みは、画家が絵を描くプロセスに似ています。
従来の方法:
SongBloomの方法:
💡 なぜこの方法が効果的なのか?
常にスケッチと洗練を行き来することで、歌詞・メロディ・楽器が最後まで一貫性を保てるからです。
「スケッチ段階」と「洗練段階」を交互に繰り返すって、具体的にどういうことですか?普通のAI音楽生成と何が違うんでしょう?
従来のAI音楽生成は「最初に歌詞全体の設計図を完成させてから、一気に音声化する」という一方通行の流れでした。しかしSongBloomは違います。「少しだけ設計図を作る→その部分を音声化する→次の設計図を作る際に、さっき作った音声も参考にする」を繰り返します。料理に例えると、従来は「レシピを全部決めてから調理開始」でしたが、SongBloomは「味見しながらレシピを調整していく」感じですね。
項目 | 説明 |
---|---|
歌詞 | 楽曲にしたいテキスト |
スタイルガイド | 10秒程度の音声クリップ(楽曲の雰囲気を指定) |
🎵 最大150秒(約2分30秒)の完全な楽曲
⚠️ 注意点
英語と中国語での楽曲生成がデモで公開されており、将来的にはさらなる多言語対応も期待されています。
🔗 SongBloomで生成されたデモ楽曲はこちら
オープンソース系モデルより良好な構造維持を実現。一部の構造指標ではSunoが優位なケースもありますが、SongBloomは歌詞により忠実に従い、構造的に一貫した楽曲生成を可能にします。
音楽データに特化したオートエンコーダーで2チャンネル48kHzの音楽を連続値の音響潜在表現に圧縮して処理。高周波数の細部まで保持し、ボーカルがこもって聞こえることを防ぎます。
約0.64秒ずつの小さなパッチで音楽を生成することで、大量の計算資源を無駄にすることなく、一貫性のある楽曲を作り上げます。
言語モデル式の「スケッチ作成」+ 拡散モデルベースの「音声洗練」を組み合わせた、これまでにないハイブリッドアプローチを実現しています。
「連続値の音響潜在表現」とか「0.64秒のパッチ」とか、技術的な話が難しそうですが、実際に使う側からすると何が良くなるんでしょうか?
簡単に言うと「歌声がクリアで、処理が早い」ということです。従来のAI音楽では、ボーカルが「ラジオの電波が悪い時のような、こもった音」になりがちでした。SongBloomは音楽専用の高品質処理により、人間の歌声に近い明瞭さを実現しています。また、0.64秒ずつ処理することで、パソコンに負荷をかけすぎずに長い楽曲を作れるため、一般のクリエイターでも現実的に使えるようになっています。
研究チームは、SongBloomを既存のオープンソースモデル(SongGen、SongEditor、DiffRhythm、YuE)および商用ツール(Suno、Udio)と比較テストを実施しました。
評価項目 | SongBloomの結果 |
---|---|
歌詞の正確性(PER) | 最低エラー率(AIが正しい歌詞を歌った) |
一貫性(MCC) | テーマと構造の維持で他を上回る |
音質(FAD) | 最高水準のSunoにほぼ匹敵 |
処理速度(RTF) | 大型モデル(YuE)より高速で高品質 |
PERやFADなど客観指標で優位性を示すとともに、専門家による主観評価(MOS)でも競合に匹敵する結果を報告されています。
✅ SongBloomの強み
✅ 商用ツールの優位点
🎯 特筆すべき結果
微調整版(full-ft)では、PER・FADなど一部指標でSunoを上回る結果も報告されています。
これまでのオープンソース音楽生成モデルは、商用システムと比べて「おもちゃレベル」と見なされることが多くありました。
SongBloomは初めてSunoやUdioに品質・一貫性で肩を並べるオープンシステムとして、この常識を覆しました。
「少しスケッチ → 少し洗練 → 繰り返し」というアプローチは一見単純ですが、AIが楽曲制作の途中で「迷子になる」リスクを大幅に軽減します。
「オープンソース」って聞くと無料で使えそうですが、ビジネスで音楽を作りたい場合、SunoやUdioのような有料サービスとどう使い分ければいいんでしょうか?
オープンソースの最大のメリットは「自分の環境で自由にカスタマイズできる」ことです。Sunoは月額制で生成回数に制限がありますが、SongBloomなら自分のサーバーで無制限に楽曲生成できます。企業で「大量のBGM制作」や「特定のスタイルに特化した音楽」が必要な場合、長期的にはコストメリットが大きいでしょう。ただし技術的な知識が必要なので、「とりあえず今すぐ1曲作りたい」ならSuno、「継続的に音楽制作する仕組みを作りたい」ならSongBloomという使い分けがおすすめです。
⚠️ 技術的な課題
現在のSongBloomの「スケッチ」は数学的信号で表現されており、楽譜のように人間が直感的に編集することはできません。
⚠️ 求められる改善点
といった人間が理解しやすいコントロール機能の追加が今後の課題です。
それでも、オープンソースシステムが歌詞と構造を持つ完全な楽曲を生成し、継ぎ接ぎ感のない自然な音楽を作り出せることを初めて実証したのは、AI音楽生成分野における歴史的な一歩と言えるでしょう。
SongBloomの登場により、高品質なAI音楽生成がついにオープンソースの世界でも現実のものとなりました。
今すぐできること:
🎵 SongBloomの公式リポジトリをチェックして最新情報を入手
🎵 自分の歌詞でテスト生成を試してみる
🎵 音楽制作コミュニティでの議論に参加
これからのAI音楽制作は、もはや商用ツールの独壇場ではありません。 SongBloomのような革新的なオープンソースツールを活用して、あなたも次世代の音楽クリエイションに挑戦してみませんか?
🎶 あなたの音楽制作が、今日から変わります!
DBS銀行のデータサイエンティスト。生成AIの実務活用や教育に精通し、情報発信も積極的に行う。
Mehul Gupta(メフル・グプタ)は、DBS銀行のデータサイエンティストであり、 著書『LangChain in Your Pocket』の著者としても知られています。 AIや機械学習の知見を発信するプラットフォーム「Data Science In Your Pocket」を主宰し、 Mediumでは350本以上の技術記事を執筆するトップライターとして活躍中です。 過去にはTata 1mgにて医療データのデジタル化にも取り組みました。 趣味はギター演奏とAI教育への貢献です。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
元記事:SongBloom : AI model to Generate Songs, Free Suno
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。