
2025/09/23(火)
AIとのやり取りで、「質問したら即座に答えが返ってくる」という従来のパターンに物足りなさを感じたことはありませんか?実は、AIに対して一方的に自分の考えを語りかける「モノローグ法」という新しいアプローチを佐伯さんが提案し、個人的に注目しています。
この手法は、従来の対話型プロンプトとは根本的に異なり、あなたの思考プロセスそのものを重視した革新的な方法です。AIに答えを求めるのではなく、自分自身の考えを整理し、新たなアイデアを生み出すための思考支援ツールとしてAIを活用します。
本記事では、モノローグ法の具体的なやり方から、従来手法との違い、実践時のコツまで詳しく解説します。この手法をマスターすることで、AIとのより創造的で生産的な関係を築くことができるでしょう。
目次
モノローグ法は、AIに対して一方的に自分の思考を語りかける新しいプロンプト手法です。従来の「質問→回答」という対話型のやり取りとは異なり、ユーザーが自分の考えや悩みを自由に表現し、AIはその思考プロセスに干渉せずに見守る役割を担います。
この手法の最大の特徴は、AIの提案や回答に完全に依存せず、自分自身で考えを表現し続ける点にあります。AIは積極的にアドバイスを提供するのではなく、あなたの思考の流れを妨げることなく、必要に応じて軽微なヒントや質問を投げかける程度に留まります。
従来の対話型プロンプト | モノローグ法 |
「〇〇について教えて」→AIが詳細回答 | 「〇〇について考えているんだけど…」→自分で思考を展開 |
AIが主導権を握る | ユーザーが主導権を握る |
即座に答えを求める | 思考プロセスそのものを重視 |
AIの知識に依存 | 自分の創造性を引き出す |
モノローグ法が注目される背景には、従来のプロンプト手法が抱える根本的な課題があります。多くの人がAIに質問すると、AIは豊富な情報や詳細なアドバイスを提供してくれますが、これが逆に自分自身の思考プロセスを阻害してしまう場合があるのです。
例えば、YouTubeチャンネルの運営について悩んでいる時、従来の方法では「YouTubeで成功する方法を教えて」と質問し、AIから一般的なアドバイスを受け取ることになります。しかし、これでは自分の状況や独自性を十分に考慮した解決策を見つけることが困難です。
一方、モノローグ法では「私は現在YouTubeをやっているが、YouTube以外にもいろいろな他のことをやる必要がある」と自分の状況を語りかけることから始めます。この過程で、自然と自分なりの解決策やアイデアが浮かび上がってくるのです。
モノローグ法の大きなメリットは、思考の制約が大幅に減ることです。モノローグ法では、回答を即座に期待せず、自分の思考を先に表現し、その流れを深めていくことが可能です。また、一つのトピックから全く関係のない話題に飛躍することも自由で、この「思考の跳躍」こそが新しいアイデアを生み出す源泉となります。
モノローグ法を効果的に実践するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下、具体的な手順とコツを詳しく解説します。
ステップ1:AIに役割を設定する
まず、AIに対して「私の考えを聞いてください。答えを求めているわけではなく、思考を整理したいだけです」といった前置きを伝えます。これにより、AIは積極的な回答モードから、受動的な聞き手モードに切り替わります。
ステップ2:自由に思考を語りかける
悩みや考えていることを、まるで日記を書くように自由に表現します。論理的である必要はありません。「そうです、そうです」といった相槌や、「まあ、それは良いアイデアかもしれません」といった自分への評価も含めて、思考の流れをそのまま言葉にします。
ステップ3:思考の分岐を許容する
一つのトピックから別の話題に飛躍することを恐れる必要はありません。例えば、ビジネスの話から「ブランディングは重要です」「新しいSNSや短いビデオを広めるのではなく、ラジオプログラムを作るべきかもしれません」といった具合に、自然な思考の流れに任せます。
「考え方によっては」という表現を活用する
モノローグ法では、断定的な結論を急ぐ必要がありません。「考え方によっては良いアイデアかもしれません」といった柔軟な表現を使うことで、思考の可能性を広げることができます。
複数の視点を意識的に取り入れる
一つの問題について、「プロトタイプレベルのアイデア」と「完全に異なる差異や新しいアプローチ」といった複数の層で考えることを意識します。これにより、より多角的で創造的な解決策が見つかりやすくなります。
モノローグ法の実践例として、YouTubeチャンネル運営の悩みを取り上げてみましょう。従来の方法とモノローグ法の違いが明確に理解できるはずです。
「YouTubeチャンネルを成長させる方法を教えてください」
→ AIが一般的なSEO対策、サムネイル作成、投稿頻度などの定型的なアドバイスを提供
「私は現在YouTubeをやっていますが、YouTube以外にもいろいろな他のことをやる必要があります。SNSでの戦いについては多くの競争があり、多くの議論が行われている場合は、そこで戦うのは難しいです。しかし、自分自身の場所や独特さを開発し、誰もができないように戦うべきかもしれません…」
このように自分の状況を語りかけることで、以下のような独自のアイデアが自然と浮かび上がってきます:
これらのアイデアは、一般的なYouTube成長戦略では得られない、その人の状況や価値観に基づいた独自性の高い解決策です。
モノローグ法では、論理的で完璧な思考を求める必要はありません。むしろ、思考の「生々しさ」や「未完成さ」こそが価値なのです。「それは刺激的です。しかし、それはアイデアによって出てきます」といった、完全ではない表現も含めて、思考プロセスの全体を大切にします。
モノローグ法の核心は、AIに答えを求めるのではなく、自分自身の思考を外部化し、整理することにあります。AIは思考のパートナーではなく、思考を映し出す鏡のような存在として活用します。
従来の対話型プロンプトのような即座の回答は期待できません。しかし、この「時間をかけて考える」プロセスこそが、深い洞察や創造的なアイデアを生み出す源泉となります。急がずに、思考が自然に展開されるのを待つ姿勢が重要です。
モノローグ法は、AIとの関係性を根本的に変える革新的なアプローチです。従来の「質問→回答」という受動的な関係から、「思考→整理→発展」という能動的な関係へとシフトすることで、より創造的で個人的な価値を生み出すことができます。
この手法の本質は、AIに答えを求めるのではなく、自分自身の思考プロセスを外部化し、可視化することにあります。その結果として、従来では気づかなかった新しいアイデアや解決策が自然と浮かび上がってくるのです。
重要なポイントを改めて整理すると:
モノローグ法は比較的新しい考え方であり、研究や実践での応用範囲はまだ拡大途上です。しかし、AIとのより人間的で創造的な関係を築きたいと考える方にとって、非常に価値のあるアプローチだと考えられます。ぜひ一度、この手法を試してみて、あなた自身の思考の新しい側面を発見してみてください。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
モノローグ法は、AIに対して自分の考えを一方的に語りかけるプロンプト手法です。従来の質問応答型と異なり、AIは聞き手として、ユーザー自身の思考整理やアイデア創出を支援します。AIからの直接的な回答を求めるのではなく、自分の考えを深掘りすることに重点を置きます。
従来のプロンプト手法では、AIが主導権を握り、質問に対して直接的な回答を提供します。一方、モノローグ法では、ユーザーが自分の考えを自由に展開し、AIは思考プロセスをサポートする役割に徹します。モノローグ法は、即座の答えを求めるのではなく、ユーザー自身の創造性を引き出すことを目的としています。
モノローグ法は、ビジネス戦略の立案、創作活動、コンテンツ制作、個人的な意思決定など、創造的な思考や自己理解を深めたい場合に特に有効です。自分の価値観や強みを掘り下げ、独自性の高いアイデアや解決策を見つけるのに役立ちます。
AIに自分の考えを聞いてほしいと伝え、思考を自由に語りかけます。思考の分岐を許容し、「考え方によっては」という表現を活用して柔軟に考えます。複数の視点を取り入れ、思考の完璧さを求めず、プロセスを重視することが重要です。
モノローグ法は、具体的な事実情報や技術的な解決策が必要な場合には適していません。また、思考の整理に時間がかかるため、緊急性の高い問題解決には不向きです。自分の思考に没頭しすぎると客観性を失うリスクもあるため、定期的に他者の意見を求めることも大切です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、
AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、
チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。