ChatGPTで直接購入可能に!Agentic Commerce Protocol(ACP)とは?Google AP2との違いを解説 - 生成AIビジネス活用研究所

ChatGPTで直接購入可能に!Agentic Commerce Protocol(ACP)とは?Google AP2との違いを解説

ChatGPTで直接購入可能に!Agentic Commerce Protocol(ACP)とは?Google AP2との違いを解説

ChatGPTを使って、EtsyやShopifyの商品を直接購入できる時代が到来しました。OpenAIが発表した新しい技術「Agentic Commerce Protocol(ACP)」により、AIエージェントが商品の検索から決済まで一貫して処理できるようになったのです。

この革新的な技術は、従来のオンラインショッピングの概念を根本的に変える可能性を秘めています。ユーザーは商品を探すためにわざわざECサイトを訪問する必要がなく、ChatGPTとの会話だけで欲しい商品を見つけ、そのまま購入まで完了できるのです。

本記事では、ACPの仕組みや特徴、そしてGoogleが開発したAgent Payments Protocol(AP2)との違いについて詳しく解説します。AIエージェントによる購買体験がどのように私たちの生活を変えるのか、一緒に見ていきましょう。

Agentic Commerce Protocol(ACP)とは何か?

Agentic Commerce Protocol(ACP)とは何か?

Agentic Commerce Protocol(ACP)は、OpenAIとStripeが共同開発したオープンスタンダードです。このプロトコルは、AIエージェントが企業のシステムと連携し、商品の発見から購入完了まで一貫して処理できる技術標準として設計されています。

ACPの最大の特徴は、「AIコマース用の国際標準語」として機能することです。どのAIエージェントも、どの事業者も、共通の言語で取引できる仕組みを提供しているのです。これにより、ChatGPTのようなAIエージェントが、ユーザーの代わりに商品を検索し、価格を比較し、最終的に購入手続きまで完了できるようになります。

具体的には、以下のような流れで動作します:

  • ユーザーがChatGPTに「プレゼント用のアクセサリーを探して」と依頼
  • AIエージェントがEtsyやShopifyで商品を検索
  • 複数の選択肢を提示し、ユーザーの好みに合わせて絞り込み
  • ユーザーの承認を得て、直接決済を実行
ChatGPTのインターフェースに表示されたEtsy商品の支払い詳細と決済ボタン
ChatGPTのチャット画面内で表示されるEtsy商品の決済情報とPay Etsyボタン

このプロセス全体が、一つのチャット画面内で完結するのが革新的な点です。

ACPの技術的基盤とアーキテクチャ

ACPの技術的基盤とアーキテクチャ

ACPは単一の技術ではなく、複合的なシステムとして設計されています。その基盤となるコンポーネントには以下が含まれます:

コンポーネント機能
APIとコネクタアプリケーション、データベース、メッセージングプラットフォーム、IoTシステムへの接続
信頼できるアイデンティティと決済レールトークン化された決済と生体認証システム
相互運用性フレームワークベンダー、サービス、エコシステム間でのシームレスな動作保証
セキュリティプロトコルデータ保護とコンプライアンス準拠の監査可能な実行

この複合的なアーキテクチャにより、ACPはインテリジェンス、信頼性、相互運用性が連携して、信頼性の高いパフォーマンスを提供できるのです。

Google AP2との決定的な違い

Google AP2との決定的な違い

ACPとGoogle Agent Payments Protocol(AP2)は、どちらもAIエージェントによる購買を支援する技術ですが、その対象範囲と機能には明確な違いがあります。

GPT-5 Thinkingを用いて整理したところ、ACPは「買うための会話・チェックアウト・商品発見機能」を提供し、AP2は「払うための権限・決済機能」に特化しており、両者は補完関係にあります。

項目ACP(Agentic Commerce Protocol)AP2(Agent Payments Protocol)
目的会話で“買う”フローの標準化(発見→カート→チェックアウト)。(Agentic Commerce)“払う”権限と監査の標準化(意図の証明と実行の安全性)。(Google Cloud)
提唱主体Stripe × OpenAI(オープン標準)。(Stripe)Google主導(オープン標準)。(Google Cloud)
スコープコマース体験全体の会話プロトコル。支払い処理自体は既存PSPを利用可能。(OpenAI Developers)決済レイヤに特化。**Mandate(署名付き指示)**で意図を可証明に。(Google Cloud)
同意・安全性モデルチャット上での段階的確認+既存PSPで決済。(OpenAI Developers)Mandate × Verifiable Credentialsで改ざん耐性・否認防止。(Google Cloud)
実装/導入状況ChatGPTのInstant Checkoutが米国で稼働(Etsy。Shopifyは順次)。今は単品購入から。(OpenAI)仕様・サンプルを公開しパートナー拡大中(GitHubあり)。(GitHub)
オープン性/ライセンスApache 2.0、コミュニティ設計。(Agentic Commerce)Apache 2.0、公開リポジトリあり。(GitHub)
典型ユースケースチャットで商品提案→そのままチェックアウト。(OpenAI)「上限¥Xで在庫復活したら自動購入」など自動・非同期決済。(Google Cloud)

機能範囲の違い

つまり、ACPは商品を探すところから始まって購入完了まで一貫してサポートする「上位レイヤー」の技術であり、AP2は決済部分に特化した「下位レイヤー」の技術と言えるでしょう。

実際、GoogleのAP2は既に60社以上の企業が導入しており、Salesforce、Shopify、Etsyなどの主要プラットフォームが採用しています。一方、ACPはより包括的なコマース体験を提供することを目指しており、両者は競合というよりも相補的な関係にあると考えられます。

市場への影響と今後の展望

市場への影響と今後の展望

ACPの登場は、eコマース業界に大きな変革をもたらす可能性があります。2025年の8ヶ月間だけで、エージェンティックトラフィック(AIエージェントからの流入)が1,300%以上増加しているというデータからも、この技術への関心の高さが伺えます。

特に注目すべきは、AIエージェントが閲覧するページの約87%が商品関連であることです。これは、AIエージェントが主に商用目的で利用されていることを示しており、ACPのような技術の需要が非常に高いことを裏付けています。

事業者にとってのメリット

ACPは事業者にとっても大きなメリットをもたらします:

  • 新たな販売チャネルの獲得:ChatGPTの膨大なユーザーベースにアクセス可能
  • 顧客獲得コストの削減:AIエージェントが適切な顧客に商品を推薦
  • 購買体験の向上:煩雑な手続きを省略した滑らかな購買フロー

実際、commercetoolsのようなエンタープライズ向けコマースプラットフォームも早期にACPに対応しており、SephoraやBMWなどのグローバル企業がこの技術を活用できる環境が整いつつあります。

他のAIプラットフォームとの競争

他のAIプラットフォームとの競争

ChatGPT以外にも、PerplexityやMicrosoft Copilotなど、複数のAIプラットフォームがエージェンティック・コマースに参入しています。これらのプラットフォームは、それぞれ異なるアプローチでユーザーの購買体験を向上させようとしています。

Perplexityは検索に特化したAIとして、商品情報の収集と比較に強みを持っています。一方、Microsoft CopilotはOffice製品との連携により、ビジネス用途での購買支援に特化した機能を提供しています。

この競争環境の中で、ChatGPTがACPというオープンスタンダードを採用したことは戦略的に重要です。オープンスタンダードにより、より多くの事業者が参加しやすくなり、エコシステム全体の成長を促進できるからです。

まとめ

まとめ

Agentic Commerce Protocol(ACP)の登場により、AIエージェントによる購買体験が現実のものとなりました。ChatGPTでEtsyやShopifyから直接商品を購入できる機能は、従来のオンラインショッピングの概念を根本的に変える可能性を秘めています。

本記事で解説した主要なポイントを整理すると:

  • ACPはOpenAIとStripeが共同開発したオープンスタンダードで、AIエージェントが商品発見から購入完了まで一貫して処理できる
  • Google AP2との違いは、ACPが商品検索から決済まで包括的にサポートするのに対し、AP2は決済処理に特化している点
  • 実際の購買体験では、一つの会話で商品の検索、比較、購入が完結する
  • 市場への影響として、エージェンティックトラフィックが急激に増加しており、新たな販売チャネルとして注目されている

今後、このような技術がさらに発展し、AIエージェントに購買を任せるという動きが加速していくと私は考えています。消費者にとってはより便利で効率的な購買体験が、事業者にとっては新たな販売機会が創出される、win-winの関係が構築されていくでしょう。

ただし、セキュリティやプライバシーの課題については継続的な改善が必要であり、技術の進歩と並行して適切な規制やガイドラインの整備も重要になってくると思われます。

参考リンク

本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:

📺 この記事の元となった動画です

よくある質問(FAQ)

Q1 Agentic Commerce Protocol(ACP)とは何ですか?

Agentic Commerce Protocol(ACP)は、OpenAIとStripeが共同開発した、AIエージェントが商品の発見から購入完了まで一貫して処理できる技術標準です。AIエージェントと企業のシステムが連携するための「AIコマース用の国際標準語」として機能し、ChatGPTなどのAIがユーザーの代わりに商品の検索、価格比較、購入手続きを代行できます。

Q2 Agentic Commerce Protocol(ACP)とGoogle AP2の違いは何ですか?

ACPは商品発見からチェックアウトまでをサポートする上位レイヤーの技術であり、AP2は決済処理に特化した下位レイヤーの技術です。ACPは商品検索、価格比較、注文確定などの機能を提供し、AP2は安全な支払い処理、認証、決済権限管理を行います。AP2は既に多くの企業で導入されています。

Q3 ChatGPTでEtsyやShopifyの商品を購入するにはどうすればいいですか?

ChatGPTに「○○を探して」と依頼するだけで、AIエージェントがEtsyやShopifyから商品を検索し、複数の選択肢を提示します。ユーザーは好みに合わせて絞り込み、承認すれば、AIエージェントが直接決済を実行します。このプロセスはすべてChatGPTのチャット画面内で完結します。

Q4 Agentic Commerce Protocol(ACP)のメリットは何ですか?

ACPは、ユーザーにとっては時間制約がある場合や選択肢が多すぎる場合に、効率的な商品検索と購入を可能にします。事業者にとっては、ChatGPTのユーザーベースへのアクセス、顧客獲得コストの削減、購買体験の向上が期待できます。新たな販売チャネルの獲得にもつながります。

Q5 Agentic Commerce Protocol(ACP)のセキュリティ対策はどのようになっていますか?

ACPでは、デバイス認証とリスク評価の仕組みが組み込まれており、Stripeの高度なリスク評価システムが不正取引を検知します。また、バイオメトリクス認証やパスキーによる連続的な身元確認も実装されており、AIエージェントの行動、デバイス使用パターン、支出パターンをリアルタイムで監視します。


この記事の著者

池田朋弘のプロフィール写真

池田朋弘(監修)

Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。

株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。

著書:ChatGPT最強の仕事術』(4万部突破)、 『Perplexity 最強のAI検索術』、 『Mapify 最強のAI理解術

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