
2025/08/02(土)
AIエージェント開発に興味があるものの、プログラミングの知識がないために諦めていませんか?OpenAIが提供するAgentkitは、そんな悩みを一気に解決する革新的なツールです。ドラッグ&ドロップの直感的な操作だけで、複雑なAIワークフローを構築できるこのツールは、まさに「AIエージェント開発の民主化」を実現しています。
この記事では、Agentkitの具体的な使い方から、実際の構築手順、評価機能、そして現在の制限事項まで、実践的な視点で詳しく解説します。読み終える頃には、あなたも独自のAIエージェントを作成し、業務効率化や創造的なタスクに活用できるようになるでしょう。
目次
Agentkitは、OpenAIのAPIプラットフォーム上で提供されるビジュアルなAIエージェント構築ツールです。従来のプログラミングベースの開発とは異なり、視覚的なインターフェースを使って、まるでレゴブロックを組み立てるようにAIワークフローを設計できます。
最大の特徴は、ノード(処理ブロック)をドラッグ&ドロップで配置し、線で繋ぐだけで複雑なAIエージェントが作成できることです。例えば、「ユーザーからキーワードを受け取り、指定された数だけアイデアを生成する」といったワークフローも、数分で構築可能です。
Agentkitは単なる開発ツールではありません。作成したエージェントの性能を客観的に評価する機能や、不適切な入力をブロックするガードレール機能も搭載されており、企業レベルでの実用性も十分に考慮された設計となっています。
Agentkitを使用するには、まずOpenAIのAPIプラットフォームにログインする必要があります。ログイン後、ダッシュボードの左側メニューに「Agentkit」という項目が表示されるので、こちらをクリックします。
初回アクセス時には、シンプルなクリエイト画面が表示されます。ここから「スタート」ボタンをクリックすることで、新しいエージェントの構築を開始できます。画面は直感的に設計されており、技術的な知識がなくても迷うことなく操作を進められるでしょう。
重要な点として、Agentkitの利用には有料のAPIアカウントが必要です。無料アカウントでは一部機能が制限されるため、本格的な活用を検討している場合は、事前に課金設定を行っておくことをお勧めします。
具体的な例として、「ユーザーが入力したキーワードから、指定された数のアイデアを生成するエージェント」を構築してみましょう。この例を通じて、Agentkitの基本的な使い方を理解できます。
まず、エージェントが受け取る入力を定義します。「スタート」ノードでは、以下の2つの入力を設定します:
この設定により、エージェントは「天気」というキーワードで「3個」のアイデアを求められた場合、適切に処理できるようになります。
次に、AIモデルに送信するプロンプトを作成します。例えば以下のような内容を設定します:
「ユーザーが入力したキーワードとナンバーに基づいて、新しいアイデアをユーザーが入力した数だけ作ってください」
さらに、「Add Context」機能を使用して、ユーザーが入力したキーワードを動的にプロンプトに組み込むよう設定します。これにより、毎回異なるテーマに対応できる柔軟なエージェントが完成します。
Agentkitでは、使用するAIモデルを選択できます。また、「Reasoning Effort」の設定により、より深く考えさせることも可能です。さらに、以下のような外部ツールとの連携も設定できます:
Agentkitの優れた特徴の一つが、構築したエージェントを客観的に評価できる機能です。この機能により、エージェントの性能を数値化し、改善点を明確に把握できます。
「Evaluate」機能を使用することで、複数のテストケースを一括実行できます。例えば、以下のようなデータセットを作成します:
キーワード | 生成数 | 期待される結果 |
天気 | 3 | 天気関連のアイデア3個 |
人工知能 | 5 | AI関連のアイデア5個 |
「Generate Output」ボタンを押すと、それぞれのワークフローが自動実行され、各テストケースに対するアウトプットが生成されます。これにより、エージェントが様々な入力に対して適切に動作するかを効率的に確認できます。
さらに高度な評価として、「Grader」機能を使用できます。これは、生成されたアウトプットの品質を自動的に採点する機能です。
例えば、「表示されたアイデアが具体的で面白いものになっているかを評価して、10段階でスコアリングしてください」といった評価基準を設定できます。この機能により、単に動作するだけでなく、高品質なアウトプットを生成するエージェントの構築が可能になります。
企業環境でAIエージェントを運用する際、安全性とコンプライアンスの確保は極めて重要です。Agentkitは、この課題に対応するため、包括的な「ガードレール」機能を提供しています。
ガードレールの一つとして、PII(Personally Identifiable Information)の検出機能があります。これは、ユーザーの入力に名前や住所などの個人を特定できる情報が含まれていないかをチェックし、含まれている場合は処理を停止する機能です。
また、不適切なコンテンツを自動的に検出・ブロックする機能も搭載されています。具体的には以下のような内容をチェックします:
不適切な入力が検出された場合、エージェントは自動的に処理を停止し、適切なエラーメッセージを返します。これにより、企業のブランドイメージを守りながら、安全にAIエージェントを運用できます。
AIモデルが事実と異なる情報を生成してしまう「ハルシネーション」を検出する機能も提供されています。この機能により、より信頼性の高いアウトプットを確保できます。
Agentkitは非常に強力なツールですが、現時点では一般ユーザーへの直接公開機能が制限されているという重要な制約があります。
作成したエージェントを公開する方法は、現在以下の2つに限定されています:
これらの方法はいずれも技術的な実装が必要であり、プログラミング知識のないユーザーにとっては大きなハードルとなっています。
しかし、この制限は一時的なものと考えられます。今後のアップデートでは、以下のような機能が実装される可能性が高いと予想されます:
これらの機能が実装されれば、AAgentkitの利便性は飛躍的に向上し、より多くのユーザーが気軽にAIエージェントを公開・共有できるようになるでしょう。
OpenAI Agentkitは、AIエージェント開発の敷居を大幅に下げる画期的なツールです。本記事で紹介した内容をまとめると:
Agentkitは、AIエージェント開発の民主化を実現する重要なステップです。現在の制限事項を理解しつつも、その革新的な可能性に注目し、積極的に活用していくことをお勧めします。
OpenAI Agent Builderは、プログラミングなしでAIエージェントを構築できるツールです。ドラッグ&ドロップの操作で、視覚的にAIワークフローを設計できます。ノードと呼ばれる処理ブロックを繋げることで、複雑なタスクを自動化するAIエージェントを簡単に作成できます。
Agent Builderを利用するには、OpenAIのAPIプラットフォームへのログインが必要です。また、有料のAPIアカウントが必要になります。無料アカウントでは一部機能が制限されるため、本格的に活用する場合は事前に課金設定をしておくことをおすすめします。
Agent Builderには、作成したエージェントを客観的に評価する機能が備わっています。「Evaluate」機能で複数のテストケースを一括実行したり、「Grader」機能で生成されたアウトプットの品質を自動採点したりできます。これにより、エージェントの性能を数値化し、改善点を明確に把握できます。
Agent Builderのガードレール機能は、AIエージェントの安全性とコンプライアンスを確保するための機能です。個人情報(PII)の検出、不適切なコンテンツの自動検出・ブロック、ハルシネーション(幻覚)対策などの機能が含まれており、企業が安心してAIエージェントを運用できるよう設計されています。
現時点では、Agent Builderで作成したAIエージェントを一般公開する機能は制限されています。AgentKit SDKを使用した自社システムへの組み込みや、Workflow IDを使用したプログラム的な呼び出しが主な公開方法です。ただし、今後のアップデートで、より簡単な公開機能が実装されることが期待されています。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。