
2025/08/13(水)
Anthropicが2025年10月に発表したClaude Skillは、AIの活用方法を根本的に変える可能性を秘めた新機能です。従来のプロジェクト機能よりもさらに細かい単位で、特定のタスクに特化した能力をClaudeに追加できるこの機能は、企業の業務効率化において大きな注目を集めています。
私自身、実際にPowerPointテンプレートを使ったスキル作成を試してみたところ、想像以上に実用的で、資料作成業務の自動化において大きな可能性を感じました。この記事では、Claude Skillの基本概念から実際の作成方法、そして他のAIプラットフォームとの比較まで、詳しく解説していきます。
目次
Claude Skillは、指示、スクリプト、リソースを含むフォルダがスキルとして機能するという、非常にシンプルかつ強力な概念に基づいています。具体的には、以下の要素で構成されています:
最も重要な特徴は、スキルにアクセスするのは目の前のタスクに関連しているときだけという点です。これにより、トークン使用量を効率的に削減し、必要な場合にのみ適切なスキルが呼び出される仕組みになっています。
例えば、ユーザーが「ピッチデックを作成してください」と依頼した場合、Claudeは自動的にブランドガイドラインスキルやPowerPointスキルを確認し、それらの内容を把握した上で、企業のガイドラインに従った資料を作成します。
Claude Skillの大きな利点の一つは、どこでも同じフォーマットで使用できる点です。以下の環境で共通して利用可能です:
この互換性により、一度作成したスキルを様々な場面で活用でき、投資対効果が非常に高くなります。
従来のプログラミングスキルとは異なり、Claude Skillには実行可能なコードを含めることができます。これにより、単純な指示の実行だけでなく、複雑な処理も自動化できます。
利用可能なプランは以下の通りです:
プラン | 利用可能性 |
Pro | ○ |
Team | ○ |
Enterprise | ○ |
私は実際に、自社のPowerPointテンプレートを使ったスキル作成を試してみました。その過程と結果を詳しく紹介します。
まず、「skill-creator」スキルを活用ます。このスキルは、新しいスキルを作成するためのガイドを提供してくれるClaudeが標準提供しているものです。以下のように「設定」→「機能」でONにしましょう。
以下のように依頼することで、Claudeがスキル用のファイルの一式を作成してくれました。
PowerPointテンプレートを入力してスキルを作成した結果、以下のような成果が得られました:
完璧ではないものの、スライドテンプレートをちゃんと作り込めば、それをベースに非常に高品質な資料を作成してくれる可能性が高いと感じました。特に、企業のブランドガイドラインを遵守した資料作成において、大きな効果が期待できます。
Claude Skillと類似の機能を持つ他のプラットフォームとの比較を行いました:
プラットフォーム | 類似機能 | 特徴 |
OpenAI | Agentkit | ワークフロー的な処理作成が可能 |
Gemini | Gemini Enterprise | ワークフロー機能(限定的) |
Claude | Skills | より広範囲な処理単位での定義が可能 |
私の評価では、Claude Skillの方が他のベンダーに比べて、AIにできることを拡大するという意味において、より広がりを持っていると感じています。特に、一つのスキルで包括的な処理を定義できる点が優れています。
Claude Skillsには、スキルマーケットプレイスという概念も含まれています。これにより、様々なスキルを追加して活用することが可能になります。
これは「スマートフォンにアプリを追加する」ようなものです。本体(エージェント)は共通の基盤で、写真編集や翻訳などのスキル(アプリ)を自由にインストールして、自分好みの機能を持たせられます。
エコシステム全体の構成:
注目すべきは、スキルとMCPサーバーが別概念として整理されている点です。これにより、より柔軟で拡張性の高いシステム構築が可能になっています。
Claude Skillは、AIの活用方法を大きく変える可能性を持った革新的な機能です。主要なポイントを以下にまとめます:
実際に使用してみた感想として、MCPよりも手軽に利用でき、GPTsやGemよりも資料作成などの実務において十分に実用的だと感じています。特に、企業のブランドガイドラインやテンプレートを活用した一貫性のある資料作成において、大きな効果が期待できます。
今後、より複雑なスキル設計や、様々な業務プロセスへの応用を検討していく価値のある機能だと確信しています。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Claude Skillは、Anthropicが提供するAI「Claude」の新機能で、特定のタスクに特化した能力をClaudeに追加できます。指示、スクリプト、参考ファイル(PowerPointテンプレートなど)を1つのフォルダにまとめ、スキルとして機能させます。これにより、資料作成などの業務を効率化できます。
Claude Skillは、Claudeアプリ(Web版)、Claude API、その他のClaude統合環境で共通して利用できます。一度作成したスキルを様々な場面で活用できるため、汎用性が高く、投資対効果が高いのが特徴です。
Claude Skillを活用することで、企業のブランドガイドラインを遵守した資料作成、既存のPowerPointテンプレートの有効活用、複数スライド構成への対応などが可能になります。一貫性のある高品質な資料作成を効率的に行えます。
Claude Skillは、OpenAIのエージェントキットやGemini Enterpriseのワークフロー機能と比較して、より広範囲な処理単位での定義が可能です。一つのスキルで包括的な処理を定義できるため、AIにできることを拡大するという意味で優位性があります。
Claude Skillは、必要な場合のみスキルを読み込むため、トークン使用量を大幅に削減できます。ユーザーの依頼内容に関連するスキルのみが呼び出される仕組みになっているため、効率的な処理が可能です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。