ChatGPTのビジネスプランに新機能「Company Knowledge」が登場しました。これは従来のコネクタ機能を大幅に強化した、社内データの横断検索・統合機能です。複数のデータソースを同時に検索し、根拠付きで回答を提供するこの機能は、企業の情報活用を根本的に変える可能性を秘めています。
私自身、法人プランでこの機能を実際に試してみたところ、従来の一つずつデータソースを確認する方法とは明らかに異なる、統合的なアプローチを体験できました。完璧ではありませんが、コネクタよりも検索の広さ・深さがあり、使えるシーンは確実に増えそうです。
この記事では、Company Knowledgeの具体的な機能、従来コネクタとの違い、実際の使用感、そして企業での活用可能性について詳しく解説します。
目次
Company Knowledgeは、ChatGPTのビジネス・エンタープライズプランに導入された新機能です。複数のソースを横断的に調査するように訓練されたGPT-5のバージョンを搭載し、明確な引用とともに回答を提供します。

対応するデータソースは多岐にわたります。
これらのツールから情報を収集し、関連するコンテクストを回答に反映させる仕組みです。サイドバーでは何を調べ、どのように情報を使って回答を生成したかを確認でき、透明性の高い情報提供を実現しています。

重要な点として、社内ナレッジがオンの場合、ウェブ検索や図表・画像の作成ができません。これは情報の混在を防ぎ、社内データに特化した回答を提供するための仕様と考えられます。
Company Knowledgeと従来のコネクタ機能の最大の違いは、統合的なアプローチにあります。
従来のコネクタは、基本的に一つのデータソースずつアクセスする仕組みでした。例えば、Slackの情報を確認したい場合はSlackコネクタを、Google Driveの資料を探したい場合はGoogle Driveコネクタを、それぞれ個別に使用する必要がありました。
一方、Company Knowledgeは複数の社内ツールを横断して同時検索し、統合して根拠付きで回答します。具体的には以下の特徴があります:
私が実際にCompany Knowledgeを設定・使用した体験をご紹介します。
設定は非常に簡単でした。


Company Knowledgeを使用した際の体験は印象的でした。
「マーケティングにおいて、特にB2Bで活用できそうな生成AIやAIエージェントの活用事例」について質問したところ、Company Knowledgeは:
ただし、資料内容がやや拡大解釈される傾向も見られ、個々のファクトチェックの重要性を実感しました。
Company Knowledgeは、以下のような場面で特に威力を発揮すると考えられます。
「Outlookの直近のメールや農村のミーティングデータベースを見ながら、直近の商談ややりとりの中での顧客のニーズを箇条書きでまとめて」といった複合的な分析が可能です。
これにより、メール、会議録、営業資料などから顧客の潜在的なニーズを包括的に把握できます。
Slack、Notion、Google Driveに散らばったプロジェクト関連情報を統合して、現在の進捗状況や課題を一覧化できます。
社内の様々なツールに蓄積された知識やノウハウを横断的に検索し、新しい視点での知識統合が可能になります。
過去の類似案件、関連データ、専門家の意見などを複数のソースから収集し、より informed な意思決定を支援します。
Company Knowledgeは、企業向けAI検索市場において独自のポジションを占めています。
従来のRetrieval-Augmented Generation(RAG)システムは、事前に構築されたデータベースから情報を検索する仕組みでした。一方、Company Knowledgeは:
これらの特徴により、より柔軟で包括的な情報提供が可能になっています。
Google GeminiやMicrosoft Copilotなどの競合サービスと比較して、Company Knowledgeの特徴は:
ChatGPTのCompany Knowledgeは、企業の情報活用を大きく変える可能性を持つ革新的な機能です。従来のコネクタとは異なる統合的なアプローチにより、複数のデータソースを横断した包括的な情報提供を実現しています。
主要なメリット:
現在の課題と対策:
Company Knowledgeはまだまだ完璧ではありませんが、適切に活用すれば企業の情報活用効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。重要なのは、その特性を理解し、適切な体制を整えた上で段階的に導入することです。
今後のアップデートにより精度や処理速度の改善が期待される中、早期に導入して経験を積むことで、競合他社に対する情報活用面での優位性を築くことができるでしょう。
本記事の作成にあたり、以下の情報源も参考にしています:
ChatGPTのビジネスプランに搭載された新機能で、複数の社内データソースを横断的に検索し、統合された根拠付きの回答を提供する機能です。従来のコネクタ機能よりも広範囲な情報収集と分析が可能です。
Slack、Googleドキュメント、Intercom、Google Drive、Outlook、Notion、Googleカレンダーなど、様々なビジネスツールと連携できます。これらのツールに保存された情報を統合的に検索できます。
従来のコネクタは個別のデータソースにアクセスする必要がありましたが、Company Knowledgeは複数のデータソースを同時に検索し、情報を統合して回答を生成します。また、情報の矛盾を解消したり、時系列を整理して提示する機能も備わっています。
Company Knowledgeはデータの内容を拡大解釈する傾向があるため、生成された回答の正確性についてファクトチェックが重要です。また、複数のソースを検索するため、従来のコネクタより処理に時間がかかる場合があります。
顧客ニーズの分析、プロジェクト状況の把握、知識の体系化、意思決定支援など、社内に様々な情報が散在している企業で特に役立ちます。複数のツールに蓄積された情報を横断的に検索し、業務効率化や新しい洞察の獲得に繋げられます。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。