Microsoft 365 Copilotに、ついに待望の新機能「App Builder」と「Workflows」が追加されました。これらの機能により、自然言語での対話だけで簡単にアプリケーションやワークフローを作成できるようになります。
コーディング不要でアプリが作れる「App Builder」と、業務プロセスを自動化する「Workflows」は、今後の働き方を大きく変える可能性があると考えています。
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2025年10月28日、MicrosoftはMicrosoft 365 Copilotに2つの革新的な機能を追加しました。これらの機能は、従来のプログラミング知識を必要とせず、自然言語での対話だけでアプリケーションやワークフローを構築できる画期的なツールです。

App Builderは、数分でアプリケーションを作成・展開できるノーコードツールです。データベースの設定も不要で、ダッシュボード、チャート、計算機、リスト、その他のインタラクティブな要素を自由に作成できます。
例えば、「キャリアパスの目標を追跡するアプリを作りたい」と自然言語で依頼するだけで、必要な機能を備えたアプリケーションが自動生成されます。作成されたアプリは、Microsoft 365のコンテンツ(ドキュメント、プレゼンテーション、スプレッドシート、ノート)と連携し、Microsoft Listsをバックエンドとして新しいデータの生成・保存も可能です。
Workflowsは、メール送信やリマインダー、カレンダー管理、チーム更新の共有などのタスクを自動化するエージェントです。Outlook、Teams、SharePoint、Planner、承認サービスなど、Microsoft 365サービス全体にわたって自動化フローを構築できます。

「毎週月曜日にPlannerから今後の締切とキータスクをTeamsで更新を送信する」といった複雑な業務プロセスも、自然言語で説明するだけで自動化できます。フロー構築の各ステップがリアルタイムで表示されるため、プロセスを理解しやすく、必要に応じて同じ会話内で調整も可能です。

これらの新機能を利用するには、Frontier Programへの参加が必要です。Frontier Programは、Microsoft 365 Copilotの最新エージェントや機能への早期アクセスを提供するプログラムです。
Frontier Programは、MS365管理画面で設定可能です。


App Builderは、以下のような豊富な機能を提供します:
| 機能 | 説明 | 活用例 |
| ダッシュボード作成 | データを視覚的に表示するダッシュボードを自動生成 | プロジェクト進捗管理、売上分析 |
| チャート・グラフ | データを基にした各種グラフを自動作成 | 業績レポート、トレンド分析 |
| 計算機能 | 複雑な計算処理を組み込んだアプリ | 見積もり計算、ROI算出 |
| リスト管理 | タスクやアイテムの管理機能 | 在庫管理、顧客リスト |
App Builderでのアプリ作成は以下のような流れで進行します:
作成プロセスが透明化されており、各ステップで何が行われているかを明確に確認できる点です。これにより、技術的な知識がなくても、アプリの構造を理解しながら作成を進められます。
App Builderで作成されたアプリのデータは、自動的に作成されるSharePointリストに保存されます。これは重要なポイントで、既存のSharePointリストや他のデータソースには接続できません。この制限は、セキュリティとガバナンスの観点から設計されたものと考えられます。
より複雑なデータ統合が必要な場合は、従来のPower Appsを使用する必要があります。App Builderは、あくまで個人の生産性向上を目的とした軽量なアプリケーション作成ツールとして位置づけられています。

Workflowsは、以下のMicrosoft 365サービスと連携して自動化を実現します:
| サービス | 主な機能 | 自動化例 |
| Outlook | メール送受信、カレンダー管理 | 定期的なメール要約、会議リマインダー |
| Teams | チャット、チャンネル投稿 | プロジェクト更新の自動通知 |
| SharePoint | ドキュメント管理、リスト操作 | ファイル更新時の自動通知 |
| Planner | タスク管理 | タスク完了時の自動レポート |
| Approvals | 承認プロセス | 承認期限のリマインダー |
自動化の例として、「毎朝8時に過去24時間の未読メールを確認し、重要なものを分類してTeamsで要約を送信する」というワークフローがあります。このプロセスは以下のように実行されます:
このワークフローにより、毎朝の重要メールの確認作業が大幅に効率化されました。特に、AIによる自動分類の精度が高く、手動での仕分け作業がほぼ不要になったのは大きな成果です。
Workflowsは、Power Automateと同じインフラストラクチャ上で動作しますが、エンドユーザー向けに最適化されています。主な違いは以下の通りです:
より高度な自動化や外部サービスとの連携が必要な場合は、従来のPower Automateを使用する必要があります。

現在英語のみの対応ですが、Microsoftの過去のパターンを考慮すると、今後数ヶ月以内に日本語対応が実現される可能性が高いと考えています。特に、Microsoft 365 Copilot自体が既に日本語に対応していることから、これらの新機能の多言語化も優先的に進められると予想されます。
現在の制限事項を踏まえると、以下のような機能拡張が期待されます:
これらの機能が本格的に普及すると、以下のような活用シナリオが考えられます:

Microsoft 365 Copilotの新機能「App Builder」と「Workflows」は、ノーコード・ローコード開発の新たな可能性を示す画期的なツールです。現在は英語環境での利用に限定されており、日本語環境での設定に課題がありますが、その潜在的な価値は非常に高いと考えています。
これらの機能により、以下のような変化が期待されます:
日本語対応が実現されれば、これらの機能は多くの日本企業にとって強力な競争優位性をもたらすツールになると確信しています。現在の制限事項を理解しつつ、将来的な活用に向けた準備を進めることをお勧めします。
本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしています:
App Builderは、Microsoft 365 Copilotで利用できるノーコードツールです。自然言語で指示を出すだけで、ダッシュボード、チャート、リストなどを含むアプリケーションを数分で作成・展開できます。作成したアプリはMicrosoft 365のコンテンツと連携し、Microsoft Listsをバックエンドとして利用します。
Workflowsは、Microsoft 365 Copilotで利用できる自動化エージェントです。Outlook、Teams、SharePointなどのMicrosoft 365サービス全体で、メール送信、リマインダー、タスク管理などの業務プロセスを自然言語で指示するだけで自動化できます。
App BuilderとWorkflowsを利用するには、Microsoft 365 Copilotの有料ライセンスが必要です。また、Frontier Programへの参加と、組織の管理者によるFrontier Programの有効化が必要です。Agent StoreからApp BuilderとWorkflowsエージェントを追加する必要があります。
現在、App BuilderとWorkflowsは英語環境でのみ利用可能です。日本語環境では、Frontier Programの設定画面が正常に表示されない、App BuilderとWorkflowsエージェントがAgent Storeに表示されないなどの問題が発生します。Microsoft 365の言語設定を英語に変更する必要があります。
Workflowsは、Outlook、Teams、SharePoint、Planner、Approvalsなど、様々なMicrosoft 365サービスと連携して自動化を実現します。例えば、Outlookでのメール送受信、Teamsでのチャット投稿、SharePointでのドキュメント管理などを自動化できます。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。