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AI音声技術のリーディングカンパニー「ElevenLabs(イレブンラボ)」が、またも業界を驚かせる発表を行いました。先週発表された2つのアップデートは、AI音声がついに「実用レベル」から「ビジネスの中核」へと進化した瞬間を象徴しています。

公式サイト:https://elevenlabs.io/
💡 この記事はこんな方におすすめです!
2023〜2024年は「AI音声がすごくリアルになった」時代でした。しかし2025年は、「AI音声が本格的なビジネスになる」時代へと突入しています。実際、ElevenLabsは2025年に入ってからの数ヶ月で売上を2倍にし、広告・映画・企業ワークフローすべてを支配するインフラを構築しつつあります。
では、今回発表された2つの革新的機能を詳しく見ていきましょう!
本題に入る前に、ElevenLabsについて簡単にご説明します。
ElevenLabsは、超リアルなAI音声合成技術を提供する企業です。テキストを入力するだけで、まるで人間が話しているかのような自然な音声を生成できます。ナレーション、ポッドキャスト、オーディオブック、広告など、幅広い用途で活用されています。
✅ 主な特徴
AI音声合成って聞くと、なんだか難しそうですが、実際にどんな場面で使えるんですか?
実はビジネスでもプライベートでも、意外と身近なところで活用できます。例えば、YouTubeやポッドキャストのナレーション、企業の研修動画、商品紹介の音声、オーディオブックの制作など、「声が必要だけど毎回収録するのは大変」という場面で便利です。特に多言語展開が必要な企業では、一度作ったコンテンツを90以上の言語に音声化できるため、グローバル展開の時間とコストを大幅に削減できます。個人クリエイターの方なら、自分の声をAI化しておけば、体調が悪い日でも安定した品質の動画を投稿し続けられます。
ElevenLabsは、実在する有名人のAI音声を、完全にライセンスされた形で提供するマーケットプレイスをスタートしました。
🎤 現在利用可能な声

従来、プロの声優や有名人の声を使った制作には、以下のような課題がありました:
しかし、ElevenLabsの新しいマーケットプレイスを使えば、合法的かつ透明性のある形で、有名人の声をすぐに利用できます。これは単なる「ディープフェイク」とは違い、権利者の承認を得た、倫理的なサービスです。
✨ こんな使い方ができます!
有名人の声をAIで使うって、法律的に問題ないんですか?勝手に声をコピーしているわけじゃないですよね?
ご安心ください。ElevenLabsのIconic Voice Marketplaceは、権利者の正式な承認を得た完全に合法的なサービスです。従来の「無断でディープフェイク音声を作る」のとは全く異なり、有名人本人や遺族・権利管理団体と正式にライセンス契約を結んでいます。利用する際も、プロジェクトの詳細を提出して権利者の承認を得る必要があるため、透明性の高い仕組みになっています。つまり、従来のタレント起用と同じように、正式な手続きを経て合法的に使用できるということです。

ElevenLabsの音声文字起こしツール「Scribe(スクライブ)」が、大幅にパワーアップしました。
🚀 Scribe v2 Realtimeの新機能
従来の文字起こしツールは、「個人利用」や「小規模チーム」向けがほとんどでした。しかしScribe v2は、医療、法律、メディア、政府機関、グローバル企業といったエンタープライズ(大企業)向けに設計されています。
つまり、もはや「ツール」ではなく「インフラ」なのです。
💼 企業にとってのメリット
リアルタイム文字起こしって、会議の議事録を取るくらいしか使い道がないんじゃないですか?
いえ、実はもっと幅広い活用シーンがあります。確かに会議の議事録作成は便利ですが、それ以外にも、カスタマーサポートの電話対応をリアルタイムでテキスト化して品質管理に活用したり、医療現場で医師の診察内容を即座に記録したり、オンラインセミナーのライブ字幕として配信したりと、様々な使い方ができます。特に90言語対応なので、海外拠点との会議でも、それぞれの言語で話した内容を自動的にテキスト化できます。150ミリ秒という超低遅延なので、話している内容がほぼリアルタイムで文字になるのも大きな特徴です。
ここで、ElevenLabsの驚異的な成長を示す数字をご紹介します。
📈 ElevenLabsの成長データ
| 指標 | データ |
|---|---|
| 年間経常収益(ARR) | 2025年4月に$100M、2025年9月に$200M到達 |
| 音声AI市場規模(2023年) | $35億 |
| 音声AI市場規模(2030年予測) | $200億以上 |
これは「普通の成長」ではありません。これは「カテゴリーリーダー」としての動きです。
そして、以下の要素を組み合わせると、さらに大きな可能性が見えてきます:
これらが揃うことで、音声コンテンツを数分で制作・翻訳・適応・配信できる世界が実現します。従来は数週間かかっていたプロセスが、数分で完了するのです。
✅ スタジオ予算なしで、プロ品質のコンテンツを制作できる
→ 個人クリエイターでも、有名人の声を使った動画を作れる時代に。
✅ グローバル版のコンテンツを即座に作成できる
→ 日本語で作った動画を、90言語に翻訳・音声化して世界中に配信可能。
✅ 長期プロジェクトで一貫した声を維持できる
→ シリーズ物の動画やポッドキャストで、同じ声を使い続けられる。
✅ 俳優や権利者にとっての新しい収益源
→ 自分の声をAI化してライセンス販売することで、継続的な収益が得られる。
✅ 制作スピードの大幅な短縮
→ キャスティング、スケジュール調整、スタジオ収録の手間を省略。
✅ 法的トラブルの心配が減る
→ 権利処理がクリアなので、安心して商用利用できる。
✅ より細かなコントロールが可能
→ 音声のトーン、速度、感情表現を自由に調整できる。

ElevenLabsは、AIエコシステムにおける「音声レイヤー」のポジションを確立しようとしています。
つまり、以下のすべての領域において、音声コンテンツの基盤となることを目指しているのです:
もしこの勢いが続けば、音声AIはもはや「便利なサイドツール」ではなく、年間100〜200億ドル規模のカテゴリーになります。
そして私たちは、その瞬間をリアルタイムで目撃しているのです。
ElevenLabsの2つのアップデートは、AI音声技術が「実験段階」から「ビジネスの中核」へと進化したことを示しています。
🎯 この記事を読んだあなたが今すぐできること
好奇心を持ち続けましょう。
私たちは皆、一緒にこの変化の波に乗っています。次に何が起こるか、一緒に創造し、学び、探求していきましょう。
ジェネレーティブツール、映画、デジタルアートを横断するクリエイティブプロデューサー兼AIビジュアルアーティスト。
ジェネレーティブツール、映画、デジタルアートの境界を行き来するクリエイティブプロデューサー兼AIビジュアルアーティスト。Kinomoto.Magを立ち上げ、この旅の記録を残しています。学んだことを共有し、インスピレーションを刺激し、AIが芸術表現に果たす役割についての批判的な対話の場を開くことを目的としている。
この記事は著者の許可を得て公開しています。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部突破。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。