
2025/07/19(土)
Microsoft Teamsに新たなAI革命が到来しています。従来のCopilotとは一線を画す「Copilot Agent」が、会議のファシリテーションからチャネル管理、コミュニティサポートまで、チームワークの在り方を根本から変えようとしています。
これまでのCopilotが「質問に答えてくれるアシスタント」だったとすれば、新しいCopilot Agentは「チームの一員として自律的に働く仲間」です。会議中にアジェンダの進行を管理し、必要な情報を自動で調べ、タスクを作成し、さらには議事録まで自動生成する。そんな未来が、もう目の前に迫っています。
本記事では、Teams Copilot Agentの革新的な機能と、それがもたらす業務効率化の可能性について、具体的な活用シーンとともに詳しく解説します。
目次
まず理解しておきたいのは、従来のMicrosoft CopilotとCopilot Agentの根本的な違いです。
Microsoft Copilotは「人の横に並ぶ共同作業者」として位置づけられており、ユーザーの指示に対して即座に応答する対話型AIアシスタントです。例えば「会議の議事録を要約して」と依頼すれば、その場で要約を提示してくれます。
一方、Copilot Agentは「特定の役割をもつ代理人」として働く存在で、より自律的な処理が可能です。同じ会議記録の例でも、「会議記録を整理して、担当者ごとのアクションリストを作成し、共有フォルダに保存、関係者にメールで通知」という一連の流れを自律的に処理できます。
つまり、Copilotが「質問に答える」存在だとすれば、Copilot Agentは「バーチャルチームメイトとして機能し、タスクの先頭に立ち、質問に対するタイムリーな回答を達成する」存在なのです。
Teams Copilot Agentの最も注目すべき機能の一つが、会議におけるファシリテーション能力です。これまでの会議運営の課題を解決する、3つの革新的な機能を見ていきましょう。
会議開始時に「Please track progress against my agenda. Here is my agenda. Load map update. Project progress」と指示すると、エージェントがアジェンダを会議画面の上部に表示し、会議の進行に合わせて進捗状況を自動的に追跡します。
これにより、ファシリテーターは議論の内容に集中でき、「次に何を話すべきか」「どの項目がまだ残っているか」を常に把握できるようになります。会議の効率性が飛躍的に向上し、時間内に全ての議題を確実にカバーできるようになります。
会議中に疑問が生じた際、エージェントがWebから関連情報を自動的に検索し、会議チャットに投稿します。これにより、「後で調べて回答します」という先送りを避け、その場で情報に基づいた意思決定を行うことが可能になります。
例えば、新商品の競合分析について議論している際に、最新の市場データや競合他社の動向を即座に取得し、会議参加者全員で共有できます。これまでのように会議を中断して調べる必要がなく、議論の流れを維持しながら質の高い意思決定を実現できます。
会議中の議論を分析し、「戦略を整理した文書を作成する必要がある」といった要求を自動的に検出します。エージェントはその場でタスクを作成し、さらに文書の下書きまで作成してくれます。
会議終了時には、「エージェントに議論したタスクをリストアップしてもらう」ことで、抜け漏れのない完全なタスクリストが自動生成されます。不足しているタスクがあれば、その場で追加指示を出すことで、即座に担当者付きのタスクとして議事録とPlannerの両方に追加されます。
Teams Copilot Agentのもう一つの革新的な機能が、各チャネルに配置される専用エージェントです。
新商品立ち上げプロジェクトを例に取ると、各チャネルごとにエージェントが配置され、そのチャネルの情報を深く理解します。「現在のマーケット状況と競合他社との比較はどうなっているか」といった質問に対して、チャネル内の過去の議論や共有された資料を基に、的確な回答を提供します。
これにより、プロジェクトメンバーは「あの資料はどこにあったか」「前回の会議で何が決まったか」といった情報を探す時間を大幅に削減でき、本質的な業務に集中できるようになります。
エージェントはチャネルの状況を定期的にチェックし、週次での進捗レポートを自動生成します。プロジェクトマネージャーは、複数のチャネルを横断して最新の状況を把握でき、適切なタイミングでサポートや方向修正を行うことができます。
Viva Engageアプリ内のコミュニティにおいても、Copilot Agentは強力な支援を提供します。
製品販売サポートコミュニティを例に取ると、エージェントはコミュニティ内の議論や関連するSharePointサイトの情報を活用して、質問に対する回答を自動的に生成し始めます。重要なのは、これが「質問が投稿されてから」ではなく、「関連する議論が行われている間に」プロアクティブに実行される点です。
エージェントが生成した回答には、その根拠となる情報源が明示されます。これにより、管理者は回答の妥当性を迅速に判断し、自信を持ってコミュニティに投稿することができます。従来であれば、質問への回答に多くの時間を要していた作業が、大幅に効率化されます。
Teams Copilot Agentは、単なるAIツールを超えて、チームワークの在り方そのものを変革する可能性を秘めています。主要なポイントを整理すると以下の通りです:
Teams Copilot Agentは、私たちの働き方を根本から変える可能性を持つ革新的な技術です。適切な準備と段階的なアプローチにより、チームの生産性と協働の質を大幅に向上させることができるでしょう。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Teams Copilot Agentは、Microsoft Teams内で動作するAIエージェントで、従来のCopilotよりも自律的なタスク実行が可能です。従来のCopilotが質問に答えるアシスタントであるのに対し、Copilot Agentは会議のファシリテーション、チャネル管理、コミュニティサポートなど、特定の役割を持つバーチャルチームメイトとして機能します。
Teams Copilot Agentは、会議中にアジェンダの管理と進捗追跡を自動で行い、Webから関連情報をリアルタイムで検索して意思決定を支援します。また、会議での議論内容に基づいてタスクを自動的に作成し、文書の下書きを生成することも可能です。
チャネル専用エージェントは、各チャネルの情報を深く理解し、プロジェクトの状況に関する質問に対して的確な回答を提供します。また、チャネルの状況を定期的にチェックし、週次での進捗レポートを自動生成することで、プロジェクトマネージャーの状況把握を支援します。
Teams Copilot Agentの利用には、Microsoft 365 CopilotとCopilot Studioの組み合わせが必要です。Microsoft 365 Copilotは月額4,497円/ユーザー(税抜)から、Copilot Studioは月額200ドル(約32,000円)から利用できます。Copilot Studioには、メッセージ数に応じた従量課金制のオプションもあります。
Teams Copilot Agentを企業で導入する際は、情報漏洩リスクへの対策が重要です。Microsoft 365 Copilotの法人版を選択し、適切なデータガバナンス体制を整備する必要があります。また、小規模なチームでトライアルを実施し、効果を検証してから全社展開を行う段階的なアプローチが効果的です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。