Claude、ChatGPT、Gemini。毎月のサブスクを払っているのに、AIエージェントを試すたびに別のAPIキーを取り、従量課金を足していませんか。
その手間を減らしてくれそうなオープンソースのAIエージェントが、「goose」です。公式サイトは、APIキーのほかに、Claude、ChatGPT、Geminiのサブスクも使えると説明しています。
ただ、僕が試した範囲では、サブスクのまま使えたのはChatGPTだけでした。
この記事では、gooseで何ができるのか、どんな標準で他の道具とつながるのか、そして「AIを選べる」ことの先に何が残るのかを、順に見ていきます。
目次

gooseは、商用利用も改変もできるApache 2.0ライセンスで公開されている、オープンソースのAIエージェントです。Anthropic、OpenAI、Google、Ollama、OpenRouter、Azure、Bedrockなど、15以上のプロバイダーに対応しています。
同じ画面から、使うAIを切り替えられるということです。用途や料金に合わせて、OpenAI、Claude、Gemini、自分のPCで動くローカルLLMを使い分けたい人に向いた設計です。
気になるのは、契約中のサブスクをそのまま使えるかどうかです。公式のREADMEは、APIキーのほか、既存のClaude・ChatGPT・Geminiのサブスクも、ACP経由で使えると説明しています。ACPとは、エディタなどのアプリとAIエージェントがやり取りするための共通規格のことです。
しかし、僕が試したところ、サブスクのまま使えたのはChatGPTだけでした。
公式ドキュメントを見ると、その差は手順の書かれ方にも表れています。ChatGPTは、デスクトップ版の初期画面で「ChatGPT Subscription」を選び、Plus/Proのアカウントでサインインするだけです。APIキーは要りません。
一方、ClaudeのサブスクはACPの設定手順に載っていて、Claude Codeのサブスクと認証済みのclaudeコマンドを用意し、アダプターを入れるところから始まります。
Geminiは、案内が食い違っています。設定ドキュメントのプロバイダー一覧に載っているのは、GoogleのAPIキーで使う方式だけです。一方、公式ブログには、Googleアカウントでサインインして使えるという説明があります。
「サブスクが使える」は一括の機能ではなく、プロバイダーごとに準備の手間が違います。 契約中のサブスクを生かしたいなら、まず自分が使いたい会社の手順を確認し、実際に試して確かめるのが近道です。

gooseの入口は、デスクトップアプリ、CLI、APIの3つです。デスクトップ版はmacOS、Linux、Windowsに対応しています。
同じ中身を、使う人に合わせて3つの形で出している、という整理です。
GIGAZINEの検証記事では、デスクトップ版で作業フォルダーを設定し、チャットで「HTMLで簡単なWebページを作成してください」と指示すると、作業フォルダーにindex.htmlが作成されたと紹介されています。入力は「フォルダ+指示」、処理は選んだAIモデルの呼び出し、出力は手元のファイルです。
さらに、拡張機能の「Computer Controller」をオンにすると、PC自体の操作もできます。同じ記事では、ブラウザが起動してページが表示されたと報告されています。
非エンジニアなら、まずデスクトップ版で「1つのフォルダに、簡単なHTMLを作ってもらう」あたりから始めるのが安全です。PCを操作させる拡張は、作業フォルダでの動きに慣れてから入れたほうが、想定外の操作に驚かずに済みます。

gooseは、AIに検索やファイル操作などの道具を渡すMCPの、早い時期からの採用者です。公式サイトによると、文書化された拡張機能は70以上あり、MCPとして用意されています。GIGAZINEの記事では、Context7のようなMCPサーバーを自分で追加できることも紹介されています。
ACPは、別の方向をつなぎます。gooseはACPサーバーとして動くので、Zed、JetBrains、VS Codeから接続できます。逆に、Claude CodeやCodexのような他社のエージェントを、gooseの中から「プロバイダー」として呼び出すこともできます。
整理すると、次の分担です。
gooseは、Claude CodeやCodexを競合として排除するのではなく、自分の中に取り込む作りをしています。標準に乗ることで、単体のアプリではなく「つなぎ役」になる設計だと見ています。
ただし、同じ種類の他のオープンソースエージェントと比べて、標準への対応がどこまで進んでいるのかは、公式サイトに比較がありません。「gooseが特に優れている」とまでは言えないのが現状です。

gooseには、作業を再現・共有するための機能がいくつかあります。
1つ目は「レシピ」です。作業手順をYAML形式で保存し、指示、拡張機能、パラメータ、サブレシピまで含められます。チームで共有したり、CIで実行したりできると、公式サイトは説明しています。
2つ目はサブエージェントです。独立した助手を並列に立ち上げて、コードレビュー、調査、ファイル処理などを任せます。本体の会話が散らかりません。
3つ目は安全面の機能です。プロンプトインジェクションの検知、ツールの権限制御、サンドボックスモード、危険な操作を見張るレビュー役が用意されています。
ところが、GIGAZINEの検証では、2026年9月10日時点でレシピ機能がうまく動作しなかったと報告されています。試されたのは、あらかじめ登録した天気予報レシピの実行です。機能があることと、期待どおり動くことは別です。
安全面の機能も同じで、防御の効果を測った第三者のデータは、確認できた範囲では見当たりません。業務で使う前に、自分の環境で動きを確かめる前提で読んでください。

gooseはもともと、Blockが公開したものです。2025年12月9日、Linux Foundationが「Agentic AI Foundation(AAIF)」を設立した際、AnthropicのMCP、OpenAIのAGENTS.mdとともに、Blockからgooseが寄贈されました。リポジトリとドキュメントがAAIF側へ移ったのは、2026年4月です。
特定の1社ではなく、中立的な団体のもとで運営されるので、1社の経営判断でプロジェクトの向きが急に変わるリスクは下がると考えられます。
意思決定の仕組みは、リポジトリのGOVERNANCE.mdに書かれています。日常の判断は、プルリクエストやDiscordでの合意で進みます。大きな方向転換には、コアメンテナーの過半数の承認が必要です。行き詰まったときは、創設者が決着をつける規定もあります。
▶︎ あわせて読みたい:MCPは道具、A2Aは同僚——APIとの違いから理解するエージェント間連携
規模を示す数字も、公式サイトにあります。GitHubスターが45,000以上、コントリビューターが500人以上、MCP拡張が70以上です。スターはGitHubのページでも確認でき、9月20日時点では約54,000と、公式サイトの表示より増えています。
これらは開発の活発さを見る目安にはなりますが、自社の仕事で使いやすいかどうかは、別の話です。

今後も、各社から様々なAIモデルが出てきます。モデルごとに得意なことも、費用対効果も違うので、「いつ、何を使うか」が大きな論点になると見ています。
そのとき、1社のAIベンダーだけに頼っていると、選べるモデルにも、サブスクの利用枠にも限界があります。
AIを選べることと、仕事の進め方を自分で握れることは、別の話だと考えています。gooseを使う場面は、次の4つの層に分けて見ると整理しやすくなります。
レシピは持ち運べるYAMLで、拡張機能もMCPという標準に沿っています。モデルを替えても、使い回しやすい設計です。ただしACP経由では、使われる道具が接続先のエージェント側になる場合があります。
しかも、指示の読み取り方や道具の使い方の正確さは、モデルごとに違います。手順書は持ち出せても、手順書どおりに動かす腕までは持ち出せません。
ChatGPTだけがすぐ使えたように、実際に選べる範囲は準備の手間でも決まります。選択肢が増えるほど、悩みは「どれを選ぶか」から、「その組み合わせで本当に動くかの確認」へ移ります。
もう1つ、データの問題があります。1社のAIにすべての仕事を任せると、その会社に、仕事やタスクのデータが集まっていきます。
手元で動くオープンソースのエージェントを間に置き、仕事を分割して複数の会社に渡す設計にすれば、データは各社に届くものの、全体を握っているのは自分、という形にしやすくなります。どの仕事をどの会社に渡すかを決めるのは、自分たちです。特定の1社にすべてのデータを送るリスクを、減らせる設計だと考えています。
主導権を握れるかどうかは、モデルの数ではなく、手順・権限・接続先・データの行き先を自分たちで管理し、必要なときに別の環境へ移せる状態を保てているかで決まります。

日本の職場で試すなら、導入の前に次の3つを確認しておくと安心です。
日本企業での導入事例は、確認できた範囲では見つかりませんでした。効率への効果については、Block社が2025年4月の公式ブログで、社員の多くが一般的な作業で時間を50〜75%節約できたと報告していると書いています。ただし自社の報告で、第三者の検証は確認できていません。
明日できることは、次の2つです。
選べる自由を使いこなす鍵は、同じ依頼で結果を見比べる習慣です。
goose本体は、Apache 2.0ライセンスのオープンソースなので、無料で入手して使えます。商用利用も改変も認められています。ただし、動かすAIの利用料は別です。APIキーで使うなら従量課金がかかり、契約中のサブスクで使うならその月額に含まれます。確認できた範囲では、公式サイトに商用サポートや料金体系の案内は見当たらないので、困ったときの相談先は自分たちで決めておく必要があります。
公式のREADMEは、APIキーのほかにClaude・ChatGPT・GeminiのサブスクもACP経由で使えると説明しています。ただし手順の粒度は会社ごとに違います。ChatGPTはデスクトップ版の初期画面で「ChatGPT Subscription」を選んでサインインするだけですが、ClaudeはClaude Codeの認証とACPアダプターの導入が必要で、Geminiは設定ドキュメントと公式ブログで案内が食い違います。僕が試した範囲で、サブスクのまま使えたのはChatGPTだけでした。
競合というより、つなぎ役です。gooseはACPサーバーとして動くので、Zed、JetBrains、VS Codeから接続できます。逆に、Claude CodeやCodexのような他社のエージェントを、gooseの中から「プロバイダー」として呼び出すこともできます。AIと道具をつなぐのがMCP、エディタや他のエージェントとgooseをつなぐのがACP、という役割分担です。
AIエージェントを自分の仕事に組み込む実演は、いけともハンズオンのアーカイブで扱っています:https://handson.workstyle-evolution.co.jp/
最新のAIニュースを継続的に追うなら、YouTube『いけともch』もあわせてどうぞ:https://www.youtube.com/@iketomo-ch