AIコーディングの履歴を1か所にまとめて検索できるツール「AgentsView」が話題です。Claude CodeやCodexなど、複数のエージェントの記録を、手元のデータベースに集めます。
作ったのは、Wes McKinney氏が率いる小さな開発チームです。無料のオープンソースで、保存先は手元が基本です。
集めて見るだけでも、費用と作業の振り返りに役立ちます。ただ、本命は、過去の会話から次の仕事に使える知識を取り出す「Recall」です。取り出した知識は、人が承認して初めて、信頼できる形になります。
僕の手元には、12種類のエージェント、約1.4万件の履歴が入っていました。そこから約5.9万件の知識を取り出しています。実際の画面とあわせて、集めたあとの使い道まで見ていきます。

AgentsViewは、エージェントがもともと保存している履歴を自動で見つけ、手元のデータベースに取り込みます。公式は、60種類を超える形式に対応しているとしています。
僕の環境の画面が、こちらです。取り込まれたのは約1.4万件で、中身は次の12種類です。

件数は、この夏から急に増えました。いまは月に1,000〜3,000件のペースです。半分強は、親のエージェントが呼び出したサブエージェントの作業です。
検索欄に言葉を入れると、元の会話とツールの実行まで、一気にさかのぼれます。日本語も、そのまま全文検索できます。試しに「承認」と入れると、数百件の発言が見つかりました。

使用量の画面では、モデル別・日別・エージェント別に、推定の費用が見えます。出し方は、ログに金額が記録されていればそれを使い、なければトークン数と公開の料金表から推定する、というものです。
僕の履歴では、API料金に換算した推定が、全期間で約4万ドルでした。直近の30日だけで約1万ドルで、全期間では9割以上をClaude Codeが占めます。契約によって実際の支払いはこの額にならないので、「API料金で払えばこの規模」という物差しとして見ます。

作業の質は、失敗や再試行の信号から点数が付きます。僕の履歴では、評価の付いた約5,500件のうち、最高ランクが約3分の2、上位2つのランクを合わせると約9割でした。

ただし、一度失敗しても後の呼び出しで回復した場合に、仕事全体の成功は証明されないと公式は注意しています。点数は順位づけではなく、原因をたどる入口です。

全文検索は、「あのとき何を話したか」に戻る道です。Recallは、事実・手順・決定・警告・好みといった項目に整理して、各項目から根拠の発言へ戻れる形で保存します。
例えば、デプロイが失敗した長いやり取りから、「先に設定を確認する」という手順の候補を取り出す使い方が考えられます。モデルを学習し直すのではなく、次の仕事に渡す情報を整理する仕組みです。
自動の抽出は、自分で有効にしない限り動きません。公式も、実験的な機能と位置づけています。
使ったのは、手元のMac miniで動くローカルのAI「Qwen3.6」です。外部のサービスを使わないので、抽出に料金はかかりません。
画面の「抽出状況」には、約660件の履歴から約5.9万件を取り出した、と出ています。内訳は事実と手順がほぼ半々で、残りの約1.2万件は、これから処理します。

自動で取り出した項目は、未点検の状態で保存されます。次の仕事で信頼して読み出せるのは、人が承認し、転用でき、根拠も有効な項目だけです。
根拠は、元の発言の位置や内容に結び付いていて、元の履歴が消えたり変わったりすると失効します。ただし、根拠が合っていても、手順がいまの環境で通じる保証にはなりません。
承認のときは、提案の段階だったのか、実際に採用された判断なのか、どの環境の話なのかまで、人が見る必要があります。機械の抽出は一瞬で終わり、判断は人に残ります。

履歴を次の仕事に戻す道の1つが、MCPです。読み取り専用で、検索、セッションの概要、本文の取得、使用量などが使えます。
断片だけで結論を出さず、検索で絞って、概要を見て、本文を読む順に進めるのが基本です。検索は、初期設定で直近10分に動いたセッションを除くので、空振りでも「存在しない」と決めつけないことです。
戻す道は、MCPだけではありません。僕は、集計して人が選び、設定ファイルに入れる形で戻しました。
直近10日・約320件の履歴から取り出した約1.9万件を集計し、繰り返されている失敗を探しました。約1,600種類の警告と判断はサブエージェントに束ねさせ、代表例は自分で元の発言と照合しました。
多かったのは、証明書エラー、シェルの文字化け、同期フォルダ上のファイルの競合、ローカルビルドの失敗です。意外だったのは、この対処が1つのツールの設定にしか書かれていなかったことでした。いちばん踏んでいたのは、別の2つのツールです。
そこで、共通のメモを1枚作りました。Claude Code、Codex、Antigravityの設定ファイルから、「この場面では先に読む」と参照させています。
3つに書き写さず、1枚にしたのは、直す場所を1か所にするためです。
効いたかどうかは、Codexに「コミット前の準備」を頼んで確かめました。共通メモの名前は伝えていないのに、2手目で共通メモを読み、そのあとに変更の確認へ進みました。
ここでも、人の目は欠かせませんでした。抽出された「好み・ルール」には、撤回済みのものが混ざっていたからです。誰がいつ言ったかを確かめてから、設定に入れます。
もう1つ、送信先の管理があります。保存先がローカルでも、知識の抽出に使うモデルの置き場所は別です。公式は、抽出先に会話由来の内容が送られると説明していて、ローカルのモデルも使えます。僕はローカルなので、外には出ていません。
履歴には、鍵も混ざります。AgentsViewの検出では、半数を超えるセッションに鍵らしき文字列が見つかり、確度が高いものも約500件ありました。共有や外部モデルでの抽出に渡す前に、この検出を確かめる必要があります。

履歴を溜める段階は、もう難しくありません。AgentsViewは、取り込むだけで動きました。重心は、承認して戻す段階に移るでしょう。
抽出が速く安くなるほど、足りなくなるのは人の判断の時間です。次に競われるのは、承認の負担をどれだけ下げられるか。対象のプロジェクトを絞る、よく使う手順から優先する、といった工夫が分かれ目になると読めます。
約5.9万件を、全部承認する必要はありません。僕が設定に戻したのは、5つの項目だけでした。使い始めた人から、自分の仕事のやり方が資産として積み上がります。
個人でもチームでも、承認の習慣を先に持った側が、同じ調査を何度もやり直さずに済みます。履歴の価値は、溜めた量ではなく、承認して戻した量で決まります。
無料のオープンソースで、保存先は手元が基本です。取り込んだ履歴は手元のデータベースに入るため、集めて検索するだけなら外部に送る必要はありません。
同じではありません。ログに金額があればそれを使い、なければトークン数と公開の料金表から推定します。契約によって実際の支払いは変わるので、API料金で払えばこの規模、という物差しとして見るのが安全です。
そのままは使えません。自動で取り出した項目は未点検の状態で保存され、人が承認し、転用でき、根拠も有効な項目だけが信頼して読み出せます。撤回済みのルールが混ざることもあるため、誰がいつ言ったかを確かめてから設定に入れます。
AIエージェントを使い倒して、自分の仕事のやり方を資産にするところまで。AIを徹底的に使いこなすためだけのコミュニティ「フロンティア・リーダーズ」で、実務を持ち寄りながら探っています:https://frontier-leaders.vercel.app/
エージェントとデータベースをつないで、自分の道具を作る回もあります。2時間で、AI活用術を実践のハンズオンで学べます(過去回のアーカイブ):https://handson.workstyle-evolution.co.jp/
AIニュースの解説は、YouTube『いけともch』でも続けています:https://www.youtube.com/@iketomo-ch