
2025/07/25(金)
AIアシスタントが私たちの過去の会話を記憶し、より個人に最適化された回答を提供する時代が到来しました。2025年7月から8月にかけて、GoogleのGeminiとAnthropicのClaudeが相次いで「過去のチャット参照機能」を実装し、AIパーソナライゼーションの新たな段階に突入しています。
これまでのAIアシスタントは、各会話セッションが独立しており、過去のやり取りを活用することができませんでした。しかし、新機能により、AIが過去の会話内容を理解した上で、あなたの好みや関心事に合わせたより精度の高い回答を提供できるようになったのです。
本記事では、GeminiとClaudeの新機能の詳細な仕組み、実際の活用方法、そしてこれらの機能がもたらすAIパーソナライゼーションの未来について、実際の検証結果を交えながら詳しく解説します。
目次
Googleは2025年7月、Geminiアプリをアップデートし、「よりパーソナルで積極的なアシスタント」として機能するよう大幅に改良しました。この新機能により、過去のチャットを利用してよりパーソナライズされた回答を得られるようになっています。
具体的な活用例として、以前に好きなコミックの登場人物の力の進化について話したことがある場合、Geminiはその情報を記憶し、関連する質問に対してより個人的で詳細な回答を提供できるようになります。これは単なる情報検索ではなく、あなたの興味や関心を理解した上での真のパーソナライゼーションと言えるでしょう。
この機能は段階的に導入されており、まずGemini 2.5 Proモデルで利用可能となり、その後Gemini 2.5 Flashモデルでも使用できるようになります。2025年8月15日から数週間かけて順次展開される予定で、多くのユーザーが恩恵を受けられるよう配慮されています。
重要な点として、この機能はデフォルトでオンになっているものの、ユーザーが自由にオン・オフを切り替えることができます。さらに、「テンポラリーチャット」モードも用意されており、最近の話とは一切関係なく、過去の記憶を参照せずに会話できるオプションも提供されています。
設定画面では「パーソナルコンテンツ」として、インストラクションと過去の記録を覚えるかという二つの選択肢が用意されており、ユーザーが自分のプライバシーレベルに応じて細かく調整できるようになっています。
Anthropicも同様に、Claudeに過去のチャット参照機能を実装しました。ただし、Claudeのアプローチは「必要なときだけ探してくれる」という、より制御可能な仕組みを採用している点が特徴的です。
実際に「先週何の仕事をしてましたか」という質問をした場合、Claudeは過去のチャット履歴を検索し、関連する会話を見つけて回答してくれます。検索結果として複数の会話が表示され、それらを参考にして総合的な回答を生成する仕組みになっています。
より抽象的な質問、例えば「これまで私があなたに相談していた中でAIの活用に関して、改めて振り返っておくべき内容や覚えておくべき内容があったら探してリストアップして」といった要求にも対応でき、過去の会話から関連する内容を抽出してまとめてくれます。
これらの新機能により、以下のような具体的なメリットが期待できます:
メリット | 具体例 | 効果 |
継続的な学習支援 | プログラミング学習の進捗を記憶し、次のステップを提案 | 学習効率の向上 |
プロジェクト管理 | 過去の企画内容を参照し、一貫性のある提案を生成 | 業務の質向上 |
個人的な相談 | 過去の悩みや解決策を踏まえた、より適切なアドバイス | 問題解決の精度向上 |
創作活動支援 | 過去の作品傾向を理解し、一貫したスタイルでの創作支援 | 創作の質と効率向上 |
GeminiとClaudeの新機能は、AIパーソナライゼーションの発展における重要な一歩です。これらの機能により、AIアシスタントは単なる質問応答ツールから、個人の特性や好みを理解し、継続的に学習するパートナーへと進化しています。ChatGPTもすでに同様の機能を実装しています。
今後は、さらに高度なパーソナライゼーション機能が実装され、AIが個人の行動パターンや思考プロセスをより深く理解し、先回りした提案やサポートを提供できるようになることが期待されます。
各社が競争することで、より高度で使いやすいパーソナライゼーション機能が開発され、ユーザーにとってより価値の高いAIアシスタントが実現されるでしょう。
GeminiとClaudeの過去チャット参照機能の実装により、AIパーソナライゼーションは新たな段階に入りました。これらの機能により、以下のような変化が期待できます:
これらの機能を適切に活用することで、AIアシスタントをより効果的に業務や学習に活用できるようになります。ただし、プライバシーとセキュリティに十分配慮しながら、自分に最適な設定と使用方法を見つけることが重要です。AIパーソナライゼーションの時代において、これらの新機能は私たちの働き方や学習方法を大きく変える可能性を秘めています。
本記事の内容は、以下の資料も参考にしています:
Geminiの過去チャット参照機能は、過去の会話内容をAIが記憶し、それに基づいてよりパーソナライズされた回答を提供する機能です。以前の会話内容や好み、関心事を理解した上で、より精度の高い情報や提案をしてくれます。この機能はGemini 2.5 ProモデルとGemini 2.5 Flashモデルで利用可能です。
Claudeの過去チャット検索機能は、過去のチャット履歴から必要な情報を検索し、現在の会話に活用できる機能です。例えば、「先週何の仕事をしていましたか」と質問すると、過去のチャット履歴を検索して関連する会話を見つけ、回答してくれます。過去の会話をRAG(検索拡張生成)で活用できるため、より能動的な情報活用が可能です。
Geminiでは、過去チャット参照機能はデフォルトでオンですが、ユーザーが自由にオン・オフを切り替えられます。「テンポラリーチャット」モードも利用でき、過去の記憶を参照せずに会話することも可能です。Claudeでは、特定のチャットを検索から除外する機能や、プロフィール設定で基本情報や好みを設定できます。どちらのサービスも、ユーザーが自分の情報をコントロールできる仕組みを提供しています。
過去のチャット内容が記憶されることで便利になる一方で、機密情報や個人的な内容が長期間保存されることになります。機密性の高い業務情報については、テンポラリーチャットモードを使用したり、検索除外設定を活用したりすることで、適切なプライバシー保護を図ることが推奨されます。また、定期的に不要な会話履歴を削除することも重要です。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。