プログラミングの世界に革命が起きています。Google AI StudioのBuild機能の進化により、コードを一行も書くことなく、自然言語だけで本格的なAIアプリケーションを構築できる時代が到来しました。
従来のアプリ開発では、複数のAPIを連携させ、複雑な設定を行い、デバッグに時間を費やすという煩雑なプロセスが必要でした。しかし、Google AI Studioの進化したBuildモードは、そうした技術的な障壁を完全に取り除き、「アイデアを説明するだけでアプリが完成する」という夢のような開発体験を実現しています。
この記事では、実際にVibe Codingを体験した私の視点から、この革新的な機能の詳細と、それがもたらす開発の未来について詳しく解説します。
目次
Vibe Codingは、AI研究者のAndrej Karpathyが2025年初頭に提唱した概念で、自然言語のプロンプトから機能的なコードを生成する新しいソフトウェア開発手法です。従来のプログラミングが「コードを一行ずつ書く」作業だったのに対し、Vibe Codingでは「AIアシスタントと対話しながらアプリケーションを構築する」という会話的なプロセスに変わります。
Google AI Studioでは、この概念を実用的なツールとして具現化しました。
ユーザーは「ユーザーがアップロードした画像を異なる10種類の画像スタイルに変換して表示できるような画像アプリを作りたい」といった自然な日本語で要求を伝えるだけで、AIが自動的にUI設計、ロジック構築、API連携まで行い、動作するアプリケーションを生成します。

Google AI Studioの最も画期的な機能の一つがAnnotation Modeです。この機能により、アプリの特定の部分を直接選択し、「この部分を変更したい」と視覚的に指示できるようになりました。
実際の使用体験では、アプリのプレビュー画面で変更したい要素をクリックし、「アップロードした画像がすべて表示されるようにしたい」「複数のタイトルを同時に選べるようにしたい」といった自然な指示を入力するだけで、AIが即座にコードを修正し、変更が反映されます。

この機能の革新性は、従来の「変更内容を詳細に文章で説明する」プロセスを「指差しと簡単な指示」に置き換えた点にあります。開発者は複雑なコード構造を理解する必要がなく、直感的な操作でアプリケーションを改良できます。
従来のAI機能統合では、各サービスのAPIキー(プログラムで利用するためのパスワード)を取得し、認証設定を行い、適切な形式でリクエストを送信するという複雑な作業が必要でした。Google AI Studioは、この技術的な複雑さを完全に排除しています。
例えば、画像生成機能を持つアプリを作成する場合、従来なら以下の手順が必要でした:
しかし、Google AI Studioでは「Nano Banana」(Googleの画像生成モデル)を選択するだけで、これらすべての設定が自動的に処理されます。ユーザーは技術的な詳細を気にすることなく、アプリの機能とユーザー体験に集中できます。
さらに、無料枠を使い切った場合でも、独自のAPIキーを追加することで開発を継続でき、無料枠が回復すると自動的に元の設定に戻る仕組みも用意されています。
Google AI Studioでは、以下のような多様なAI機能を組み合わせたアプリケーションを簡単に構築できます:

これらの機能を組み合わせることで、例えば「音声で指示を出すと、その内容に基づいて画像を生成し、関連する地図情報も表示する総合的なアシスタントアプリ」といった高度なマルチモーダルアプリケーションも、単一のプロンプトから構築可能です。
開発において最も困難な瞬間の一つが「何を作るか」を決めることです。Google AI Studioは、この創作の壁を「I’m Feeling Lucky」機能で解決しています。

この機能をクリックすると、AIが文脈に応じた多様なアプリアイデアを提案します。実際に体験した例では:
これらの提案は単なるアイデアの羅列ではなく、それぞれが実際に構築可能な具体的なアプリケーション概念として提示されます。開発者は提案されたアイデアをそのまま採用することも、インスピレーションとして活用することも可能です。
実際にVibe Codingを使用して画像スタイル変換アプリを構築した体験を詳しく紹介します。
初期プロンプト:
「ユーザーがアップロードした画像を異なる10種類の画像スタイルに変換して表示できるような画像アプリを作りたい」

このシンプルな指示だけで、AIは以下の機能を持つアプリケーションを生成しました:
しかし、初期バージョンでは一部の画像しか表示されない問題がありました。そこで、Annotation Modeを使用して改良を行いました:
改良指示:

これらの指示に基づいて、AIは即座にコードを修正し、要求された機能を実装しました。最終的に、3つのスタイルを同時に生成できる改良されたアプリケーションが完成しました。
Google AI Studio Vibe Codingは、以下のような場面で特に威力を発揮します:
クライアントへのプレゼンテーション用デモアプリを短時間で作成し、要件定義の精度を向上させることができます。
プログラミング初学者が、コードの詳細を理解する前に「アプリ開発の全体像」を体験できる教育ツールとして活用できます。
週末プロジェクトや個人的なツール開発において、アイデアを即座に形にできる環境を提供します。
既存のWebサービスに新機能を追加する際の、概念実証(PoC)ツールとして活用できます。
Google AI StudioのVibe Codingは、単なる新しい開発ツールではありません。これはソフトウェア開発の民主化を実現する革命的な技術です。
主要なポイントを整理すると:
従来のプログラミングが「コードを書く技術」だったとすれば、Vibe Codingは「アイデアを形にする技術」です。この変化により、技術的な専門知識を持たない人々も、自分のアイデアを実際に動作するアプリケーションとして実現できる時代が到来しました。
Google AI Studioは現在も急速に進化を続けており、今後数ヶ月でさらなる機能拡張が予定されています。開発者、起業家、学生、そしてアイデアを持つすべての人にとって、これは新しい創造の時代の始まりと言えるでしょう。
本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしています:
Vibe Codingは、Google AI Studioの新機能で、自然言語のプロンプト(指示)に基づいてAIが自動的にコードを生成し、アプリケーションを構築する新しい開発手法です。コードを一行も書かずに、アイデアを説明するだけでAIアプリを作成できます。
Annotation Modeは、アプリのプレビュー画面上で直接要素を選択し、変更指示を自然言語で入力することで、AIがコードを修正する機能です。例えば、「このボタンの色を変えて」といった指示を視覚的に行えます。
Google AI Studioでは、Nano Banana(画像生成)、Veo(動画生成)、Google Search、Google Maps、音声認識・合成、画像分析、文字起こしなど、多様なAI機能を組み合わせて利用できます。これらの機能を組み合わせることで、高度なマルチモーダルアプリケーションも構築可能です。
Google AI StudioのVibe Codingは、基本機能は無料で利用可能です(制限あり)。無料枠を使い切った場合は、独自のAPIキーを追加することで開発を継続できます。無料枠が回復すると自動的に元の設定に戻ります。
現在のVibe Codingは、ReactとTypeScriptのみをサポートしており、Vue.js、Next.js、Astroには対応していません。また、データベース、認証、ファイルストレージなどのバックエンド機能や、Google製以外のサードパーティAPIの統合も限定的です。ただし、これらの機能は今後実装予定とされています。
Workstyle Evolution代表。18万人超YouTuber&『ChatGPT最強の仕事術』著者。
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。YouTubeチャンネル「いけともch(チャンネル)」では、 AIエージェント時代の必須ノウハウ・スキルや、最新AIツールの活用法を独自のビジネス視点から解説し、 チャンネル登録数は18万人超(2025年7月時点)。