日本語ポスターは5Bのオープンモデルで作れるのか?MOSS-Imageで確かめた3つの条件 - 生成AIビジネス活用研究所

日本語ポスターは5Bのオープンモデルで作れるのか?MOSS-Imageで確かめた3つの条件

日本語ポスターは5Bのオープンモデルで作れるのか?MOSS-Imageで確かめた3つの条件

  • 5Bのオープンモデル「MOSS-Image」は、日本語入りの図解や漫画を手元で描ける。
  • 文字と配置を人が指定すれば、読める日本語の画像を出せる土台がある。
  • 文字は崩れるため、検査と作り直しを前提に運用する必要がある。

画像生成のオープンなモデルは、これまでも数多くありました。ただ、日本語の文字が使えて、手元で実際に動かせるものは、私の実感では多くありませんでした。

10月16日に公開された「MOSS-Image」は、その数少ない選択肢です。私は自宅のMac miniで動かしています。重みが公開されたオープンウエイトで、商用利用もできるライセンスです。

これまでに、本の漫画化や、ニュースアプリの挿絵づくりで、かなりの枚数を描かせました。ASCIIの試用記事も出ています。気になるのは、日本語の画像が仕事で使えるのかどうかです。

答えは、使える土台がある、です。ただし条件が3つあります。文字と配置を人が指定すること、公式スコアの意味を読み違えないこと、手元で回し続ける負担を見込むことです。

公開されたもの:5B・Apache 2.0・BaseとSFT

漫画『システムゼロ』第1章をMOSS-Imageで漫画化した全12ページのうち、4ページを並べた画像。台詞のほとんどが読める日本語で、コマ割りと吹き出しも成り立っている

MOSS-Imageは、写真風からアニメ風まで描けて、日本語を含む文字も描画できる画像モデルです。モデルカードによると、重みと推論コードが公開されています。ライセンスはApache 2.0で、商用利用、改変、再配布ができます。

モデルは2種類あります。基礎になるものと、それを追加調整したものです。普通に画像を作るなら調整済み、自分の画風を追加学習したいなら基礎のほうが入口になります。基礎のモデルは軽量化の処理を施していないぶん、追加学習の土台にしやすいと、公式ガイドは説明しています。

最初に試したのは、本『システムゼロ』の第1章の漫画化です。上の画像は、全12ページのうちの4ページです。台詞はほとんど読める日本語で出て、コマ割りや吹き出しも成り立ちました。完全にローカルで動かした割には、悪くない出来だと感じました。

条件1・指定:文字と配置を設計図で渡す仕組み

MOSS-Imageで描いた漫画の1ページ。日本語の台詞が吹き出しに入り、コマ割りが成り立っている

画像モデルに一言頼むのではなく、設計図を渡して描かせる使い方です。公式の書式では、全体の説明と、文字や物体の一覧を書き、各項目に内容と置く範囲を添えます。座標はキャンバスの中央が原点です。見出しは上、イラストは下、と別々に決められます。ただし配置指定は、公式ガイドで「実験的」な機能とされています。

この前段も、公式の技術報告が説明しています。完成システムでは、外部の言語モデルが短い依頼から載せる文章と配置を決め、5Bの描画モデルに渡します。5Bは「描く側」で、段取りを考える側は別にいます。

私の使い方も同じ分担です。漫画は、上のページのように、台詞とコマの構図を先に決めて渡しました。挿絵は、別のローカルの言語モデルが見出しとキーワードを決めます。Mossは、それを描くだけです。

効いたのは、指定を短くすることでした。見出しは10字ほど、ラベルは数個で各数文字。最後に「これ以外の文字は描かない」と添えます。長い語や文のようなラベルは、偽の漢字になりがちでした。

条件2・評価:公式スコアが測っているもの

同じ見出し語の図解をMossとFLUXで描き比べた画像。左のMossは見出しもラベルも読める日本語、右のFLUXは偽の漢字になっている

公式は、3つのテストで強さを示しています。どれも開発側が自分で行った評価です。

最初は、文字の描画です。英語と中国語の長い文章で、指定した文字がどれだけ描けたかを測ります。MOSS-Imageは約96、比較相手は約65でした。日本語のテストではありません。

次は、配置です。物体を指定どおりの場所に置けたかを測ります。検出できた分の重なり度合いは、約0.9で、比較相手の約0.4を上回りました。

最後は、完成度です。ポスター、図解、画面設計の61課題を、モデル名を隠した人が比べます。結果は、GPT Image 2が首位で、MOSS-Imageが次点でした。ところが、全モデルに同じ詳しい文章を渡す比較では、MOSS-Imageが最上位になりました。仕様を固定すれば最上位で、一言で任せると次点です。

日本語は、自分で確かめました。同じ見出し語の図解を、別の画像モデルFLUXとも描き比べました。上の画像の左がMoss、右がFLUXです。Mossは見出しもラベルも読める日本語になり、FLUXは偽の漢字になりました。

条件3・運用:速さ・崩れ・回し続ける負担

漫画の1ページで「暑いからこそ」が「暑いからろそ」と誤字になった失敗例。MOSS-Imageでは文字が崩れることがある

Mac miniは上位のチップで、メモリは大きめです。軽量版のターボ設定なら、図解が1枚約1分半で、使うメモリも一部で済みました。標準の設定は何倍も遅く、実務では使えませんでした。

文字は、崩れます。上の画像は漫画の1ページで、「暑いからこそ」が「暑いからろそ」になっています。図解を別のPCで標準の設定で回したときも、15枚のうち崩れなしは4枚だけでした。ASCIIの試用でも、高速化の部品で約20秒まで縮めると、色が薄くなり文字が崩れた例がありました。速さと文字の正確さは、引き換えです。

だから、作り直しが前提です。絵の中の文字を画像認識で書き写して指定と照合し、ずれていれば、種を変えて最大3枚まで描き直します。5枚の図解を1講ぶん仕上げるのに、作り直しが重なると約25分かかります。

費用は、生成そのものは電気代だけです。有料の画像生成で週に数百枚を作ると、私の見積もりでは週に数千円から1万円ほどでした。一方で、計算機、保存容量、判定と作り直しの手間は自分持ちです。

人物は固定できません。漫画では、ポチの頭の形がページごとに変わりました。技術報告も、現行モデルは参考画像を直接入力に使えず、画像編集もできないと明記しています。

使いどころ:仕様を先に決める制作

ニュースアプリの挿絵として試作した図解。見出しとラベルが読める日本語で描かれている

ここまでを踏まえると、MOSS-Imageが向くのは、文章と配置を人が先に決める制作でしょう。図解、漫画、告知画像のように、載せる文言が決まっているものです。上は、挿絵の試作の1枚です。見出しもラベルも、読める日本語で出ています。

一言で「秋祭りのポスター」と頼んで完成品を待つ使い方なら、完成度の比較で1位だった、計画まで含む完成システムが頼りになります。同じ登場人物を全ページに出す用途も、まだ向きません。

私は、挿絵を全部に付けるのをやめました。無料で付くものの、なくてもいい画像が多かったからです。画像があるほうが役に立つかを先に判定し、必要なものだけを描かせています。

日本語の誤字率を測った公式の数字は、いまのところありません。自分の仕事に入れるなら、同じ素材と同じ合格条件で、他のモデルと並べて試すのが近道です。

結び:画像生成は「指定する仕事」へ

MOSS-Imageで描いた漫画の別のページ。コマ割りと吹き出しの中に日本語の台詞が入っている

画像生成の仕事は、うまい言葉を探す作業から、仕様を決めて、崩れを検査する作業に移っていくでしょう。何を載せ、どこに置くかを決めた人が、品質を握ります。

重みが公開されたことで、その仕組みを、自分の環境に合わせて作り込めます。参考画像を使えるモデルが出て人物の一貫性が解ければ、漫画や商品画像でも使いどころが広がっていくはずです。

発注する側は、文言と配置を先に決めておくほど、仕上がりが安定します。作る側は、指定を受け取り、崩れを見つけて描き直す仕組みを持つほど、強くなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. MOSS-Imageは商用利用できますか?

できます。重みが公開されたオープンウエイトで、ライセンスはApache 2.0です。商用利用、改変、再配布ができます。詳しくはモデルカードに載っています。

Q2. MOSS-Imageで日本語の文字は正確に描けますか?

読める日本語は出ますが、崩れることがあります。日本語の誤字率を測った公式の数字は、いまのところありません。見出しは10字ほど、ラベルは数個で各数文字と短く指定し、絵の中の文字を指定と照合して、ずれたら描き直す運用が前提です。

Q3. MOSS-Imageはどんな制作に向いていますか?

文章と配置を人が先に決める制作に向いています。図解、漫画、告知画像のように、載せる文言が決まっているものです。一言で任せて完成品を待つ使い方や、同じ登場人物を全ページに出す用途は、まだ向きません。


AIを徹底的に使いこなすためだけのコミュニティ「フロンティア・リーダーズ」。新しい画像モデルを、自分の仕事に組み込んで確かめる場です:https://frontier-leaders.vercel.app/

2時間で、AIを使った画像生成ツールを作る実践ハンズオン(過去回のアーカイブ):https://handson.workstyle-evolution.co.jp/

毎週のAIニュースを、動画で追えるYouTube『いけともch』:https://www.youtube.com/@iketomo-ch

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