10月7日、AnthropicがClaude Haiku 5.5を公開しました。Claudeのモデルのなかで、いちばん小さく、いちばん安いモデルです。
API価格は、入力が100万トークンあたり0.10ドル、出力が0.50ドル(入力10万トークン以下の場合)。旧Haiku 4.5の10分の1で、OpenAIのGPT-6 Lunaとちょうど同額です。
ただ、普段SonnetやOpusで仕事をしている人ほど、「安いモデルの出番は、そんなにないのでは」と思うはずです。出番はあります。場所は3つ。サブエージェント、Mods、APIです。聞き慣れない言葉は、それぞれの章の最初で説明します。
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Haikuは、Claudeの小型モデルの名前です。賢さより、安さと速さを優先した位置づけで、Haiku 4.5までは「簡単な要約くらいしか任せられない」モデルでした。
Haiku 4.5の単価は、入力1ドル・出力5ドル。Haiku 5.5は公式のモデル仕様で0.10ドルと0.50ドルとされ、ちょうど10分の1です。Sonnet 5.5(入力2ドル・出力10ドル)と比べると、約20分の1にあたります。
安くなっただけでなく、できる仕事の幅が広がりました。 ベンチマーク(AIの能力を測る共通の試験)の数字は、このあと各章で出します。

サブエージェントとは、メインのAIエージェントの配下で、仕事を分担して引き受けるエージェントです。普段のセッションが「本体」だとすると、その裏側で立ち上がる子分にあたります。
たとえば、Claudeに「AI研修を提供している会社を10社調べて。サブエージェントを使ってしっかり調べて」と頼んだとします。すると本体は、5体のサブエージェントを立ち上げ、1体に2社ずつ割り振りました。画面でそれぞれをクリックすると、各エージェントが何を頼まれて調べているかが見えます。実際に3体が同時に動いていました。
役に立つのは、本体の机(AIが一度に持てる情報の量。コンテキストと呼びます)が埋まらないことです。いまのエージェントの机は、約100万トークン。1社5万文字ずつウェブを読めば、10社で約50万文字になり、机の半分近くが調査の紙束で埋まります。
サブエージェントに調べさせて、3,000文字ほどの報告だけを戻させれば、本体の机は空いたままです。並列で動くので、速くもなります。
代わりに、費用は積み上がります。 サブエージェントも、それぞれ別にモデルを動かすからです。「サブエージェントを使って」と頼めば確実に使われ、頼まなくても、気を利かせて使うことがあります。

Haiku 4.5は約1年前のモデルで、できることが少なく、サブエージェントでの出番も少なかったのです。ところがHaiku 5.5では、任せられる範囲が一気に広がりました。
Anthropicの発表したベンチマークで見ると、PC操作の試験(OSWorld)のスコアは、Haiku 4.5が約16%、Haiku 5.5が約72%です。Sonnet 5.5には及びませんが、簡単な仕事を割り振る下請けなら十分です。
ここで僕が試した結果があります。X記事を作る作業のなかで、ファクトチェックをSonnet 5.5のサブエージェントにやらせていました。これをHaikuに替えたところ、かかった時間はほぼ同じで、補助側の費用は約10分の1に下がりました。
本体のモデルは変えていないので、使っている感覚は変わりません。変えたのは下請けだけです。単価がSonnetの約20分の1なので、同じプランのなかで、より多くの依頼をこなせるようになります。
Haikuに向く仕事は、範囲が決まっていて、結果を確かめられるものです。ファイルや情報の探索、長いログの絞り込み、同じ形の大量の文書の要約・分類、単発の事実確認。答えが決まっていない難しい仕事は、いまのところSonnetに任せるほうが安全です。
設定は、Claude Codeに頼むだけで済みます。「サブエージェントに向く仕事と、Haikuで足りる仕事を調べて、そのとおりに設定して」と頼むと、Haikuを指定した形でセットしてくれます。言わないと、そうはしてくれません。Codexも同じ考え方で、簡単な仕事を安いモデルに回すよう頼めば、安く設定してくれます。

Modsとは、Claude Codeの見た目や動きをカスタマイズする機能です。10月1日に公式機能として加わりました。JavaScriptやTypeScriptで書く小さなプログラムで、作りたい動きを日本語でClaude Codeに頼めば、作ってくれます。
できることは4つ。画面の右や下に枠(ペイン)を足す、表示されるメッセージを差し替える、依頼の前後に決まった処理を挟む、自分用のコマンドを足す、です。
僕は自分用に3つ作りました。
1つ目は、右のペインに出すコンテキストの内訳です。何にどれだけ読み込みが発生しているかが見えます。体重計に一度乗らないと分からないのと同じで、中身を可視化すると、重いデータや無駄な読み込みを減らせます。

2つ目は、画面の下に出す「ここまで」と「次の一手」です。複数のセッションを同時に走らせていると、自分が何を頼んだか忘れます。帯を開けば、ここまでの経過と次にやることが、すぐ分かります。

3つ目は、セッション名の自動付け替えです。セッションが終わるたびに、状況を見て「確認待ち」「完了」「作業中」を判断し、名前の頭に付けます。何十個もセッションがあっても、「Mods」のような5文字以内の略称が付くので、どのフォルダの何の作業かが一目で分かります。

ここでHaikuが効きます。2つ目と3つ目は、毎ターン、Modsの途中でAIを呼んでいます。やっていることは、要約とタイトル付けとステータス判定で、難しくありません。
これまでは、Haikuの賢さが足りず、Sonnetを使うしかありませんでした。毎ターンSonnetを呼べば、小さな量でも費用は積み上がります。Haiku 5.5なら、同じ処理が約20分の1の単価で動きます。
入れるのは、信頼できるModsだけにしてください。Modsは自分の権限で動くので、プロンプトやファイルの中身にも触れられます。

APIとは、プログラムからAIを呼び出して使う仕組みです。チャット画面を使わず、自分のツールやシステムにAIを組み込むときの入り口で、料金は使ったトークンの量で決まります。
これまで米国系の最安は、GPT-6 Lunaでした。入力0.10ドル、出力0.50ドル。Haiku 4.5はLunaの10倍の単価だったので、並べて選ぶ対象になりませんでした。Haiku 5.5は、この単価にぴったり合わせてきました。しかも賢さは大きく変わっています。
Anthropicの発表では、Lunaとの比較が載っている項目は、すべてHaikuが上です。PC操作のOSWorldは約72%対約49%、端末操作のTerminal-Benchは約39%対約16%、コーディングのFrontierCodeは約46%対約42%です。いま、格安で処理を回す選択肢は、Haiku 5.5、GPT-6 Luna、中国勢のモデルあたりが並びます。
ただし、同額には条件があります。Haiku 5.5は、入力が10万トークンを超えると、そのリクエスト全体の単価が約5倍(入力0.50ドル・出力2.50ドル)になります。Lunaは約27万トークンまでは同額のままで、超えても入力2倍・出力1.5倍にとどまります。

ここまで読むと「何でもHaikuでいい」と思えますが、僕の実感は違います。
自分のツールでは、GPT-6 Lunaで安く回していた軽い処理がいくつもあります。コンテンツに軽く質問して返す、スライドを少し調整する、といったものです。Haikuに替え始めましたが、Lunaのほうが速い、精度がいい、と感じる処理も、実際にありました。
ベンチマークの数字は、時間やコストを問わず、モデルが最後までやり切れたかを測ったものです。1回送って、1回で返してもらう処理がどれだけ速くて正確かは、別の話です。
だから、数字は選ぶ材料の1つにとどめ、自分の処理で並べて試すのが確実です。選択肢が増えたこと自体が、いちばんの収穫です。

Haiku 5.5の価値は、呼ぶ回数が多い場所にあります。サブエージェントは下請けを替え、Modsは毎ターンの小さな処理を替え、APIは短い入力の大量処理を替えます。
今日やることは3つです。
1. サブエージェントの振り分けを頼む。 Claude Codeに、Haikuで足りる仕事を調べさせ、そのとおりに設定させます。
2. Modsの毎ターンの処理を、1つHaikuにする。 まとめ役やタイトル付けのような、軽い処理から始めます。
3. APIは、自分の処理で並べて比べる。 入力の長さを見て、10万トークンを超えるかどうかを確かめたうえで、Lunaと同じ入力を流します。
毎日トークンを使っているアプリがあるので、Lunaとの比較は僕もこれから進めます。
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入力が10万トークン以下なら、100万トークンあたり入力0.10ドル、出力0.50ドルです。Haiku 4.5(入力1ドル・出力5ドル)の10分の1、Sonnet 5.5(入力2ドル・出力10ドル)の約20分の1にあたります。入力が10万トークンを超えると、そのリクエスト全体が入力0.50ドル・出力2.50ドルに上がります(公式のモデル仕様)。
入力が10万トークン以下の短い処理なら、どちらも入力0.10ドル・出力0.50ドルで同額です。差が出るのは長い入力で、Haikuは10万トークン超で約5倍になります。Lunaは約27万トークンまで同額で、超えても入力2倍・出力1.5倍にとどまります。入力が長い処理が多いなら、Lunaのほうが安くなります。
本体のモデルは変えず、下請けだけを替えるので、使い心地は変わらず、補助側の費用だけが下がります。筆者の試行では、ファクトチェックをSonnet 5.5からHaikuに替えて、時間はほぼ同じ、補助側の費用は約10分の1でした。向くのは、範囲が決まっていて結果を確かめられる仕事です。答えが決まっていない難しい仕事は、Sonnetに任せるほうが安全です。
サブエージェントやModsを、実務に組み込むところまで。AIを徹底的に使いこなすためだけのコミュニティ「フロンティア・リーダーズ」で、使い方を持ち寄りながら探っています:https://frontier-leaders.vercel.app/
Claude Codeで自動化の仕組みを作る回も、2時間のハンズオンのアーカイブで学べます:https://handson.workstyle-evolution.co.jp/
Haiku 5.5の使い方は、YouTube『いけともch』でも解説しています:https://www.youtube.com/@iketomo-ch